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”ならコイン”活用法のあれこれ

奈良クラブは、2022年3月から”ならコイン”を発行しています。導入にあたっての目的や目指すところは以下のようにリリースされています。

今回、奈良クラブは「YELLtum(エールタム)」導入により、地域通貨として機能するファントークン「ならコイン」を発行することで、地域住民が日常の様々な場面でファントークンを利用し、チームとの繋がりを感じられるようになり、奈良市、奈良県のより多くの人がスポーツ(サッカー)に親しみ、奈良クラブが、地域の連帯感の醸成、地域社会の活性化、奈良のシンボルになることを目指していきます。

「ならコイン」の発行は、奈良クラブの新しい収益源の創出と、ホームタウンである奈良市、奈良県全域を中心とした地域活性化および地域創生の実現を目指すモデルです。地域住民、ファン・サポーターが地域の加盟店での商品購入時に「ならコイン」で決済することで、決済代金の一部が奈良クラブに還元され、「ならコイン」の利用が直接クラブの応援に繋がります。そして、地域内での消費を促し、地域内でより多くのお金が循環することで、地域活性化を目指します。

ならコイン発行のリリース@PR TIMES

なかなか素晴らしい内容ではありますが、実態はまだまだこれからというところでしょうか。導入店舗からすれば、少なくとも決済手数料がかかるわけですから、ある程度は流通してくれなければメリットが出にくい。

”ならコイン”に関しては、利用可能店舗は増えている一方で、そもそもの流通量増(≒利用者増)、加えて利用機会増が今後の課題のひとつだと勝手に思っています。

そこで、同様にYELLtumを導入している他のクラブがどんなことをしているのかをちょっと調べてみました。

スタンプラリー(1)

観戦試合数に応じてコインやクーポンが獲得できる仕組み。1試合以上観戦で100コイン。2試合以上観戦でコイン加盟店で利用できるクーポンをプレゼント。

初めてスタジアムに足を運んで、そこで得た体験から次も観たいと感じたファンには有効な仕組みかもしれません。

ちなみに、スタンプラリーって子供だましなって感じるかもしれませんが、意外とシンプルなゲーム性が効果を発揮してくれることがあります。

スタンプラリー(2)

ホームタウンの要所(駅や商業施設)にQRコードパネルを設置するとともに、スタジアムのスタッフ名札にもQRコードを印刷。ホームタウンの回遊を促しつつ、スタッフとコミュニケーションを取ってスタンプを集める。抽選で設置パネルプレゼントやスタンプ数に応じてコインをプレゼント。

駅からロートフィールド奈良へのルート上にQRコードパネルを設置することで、徒歩来場を誘導したり、アウェイ観戦者のスタジアム周辺での滞在時間を伸ばしたりする一つの方法かもしれません。

YELL to Earn

Twitterで指定のハッシュタグをつけて応援メッセージを投稿するとコインがゲットできる仕組み。これは以前、奈良クラブでも実施されました。

目的は拡散だろうけど、ターゲットは誰になるのかな?Twitterで日頃からクラブについて発信しているコアサポや既に何度かスタジアムに足を運んでいるファンは反応しやすいけど、全くの新規はなかなか難しいかもしれませんね。

1st GOAL予想

指定する試合の最初の得点選手を予想しTwitterで投稿。的中者にはもれなく、または抽選でコインをプレゼントするという仕組み。

サッカーのリーグ戦では、0−0ということもあるので、いまいち盛り上がらず終わる危険も。バスケなどでは成り立つか?

スタメン予想とか来客人数予想とかも考えられるが、ある程度の知識を要するため新規には辛いかも。

スコア予想

Twitterでスコアの予想を投稿。的中者の中から抽選で選手サイン入りグッズやコインなどをプレゼントする仕組み。

1st GOAL予想より参加しやすいと思われる。マッチデースポンサーのノベルティに選手サインとかもありですね。また、SNSに抵抗のある人も参加できるように、アプリからも予想の応募ができるようにした方がいいかもですね。

キャッシュバックキャンペーン

スタジアムで利用した金額に応じて、コインをハズレ無しでキャッシュバックする仕組み。還元率は、100%、10%、3%など。キャッシュバック上限は5000円程度。

応援グッズなどを単純に10%OFFなどするよりはずっと良いかと思います。スタジアムの雰囲気に呑まれて現地では意外と浪費してしまうものです。キャッシュバックで得たコインでスタグルを利用したり、試合終了後に近くの提携店でお茶して帰るなど新たな循環の機会を創ることができますね。

ひまわりの種つかみ取りイベント

ひまわりの種を指定の重さを目指してコップですくう。ピッタリ賞には10,000コイン、ゾロ目賞には100コイン、参加賞で10コインなどをプレゼントする企画。

奈良クラブだったら、金魚すくい?奈良クラブ米?鹿せんべい?Away戦でお越しいただいた人たちにも楽しんでもらいながら、消費に繋げることができればいいですね。

QRコード読み込みでコインプレゼント

スタジアムやコイン提携店舗でQRコードを読み込むことで、その場でコインが獲得できる仕組み。現在、優勝&J3参入記念として、ならコインでもやっているキャンペーンですね。

現地に行くことで実現するというのがポイント。こちらの方がどちらかというとYELL to Earnのような気がします。ただし、行ったのに貰えなかったときにはクレームに繋がる危険があるので設計や案内には注意が必要ですね。

観戦プラントークン

選手の見送りや希望選手のサイン入り色紙などの特典付き観戦プランを提供する仕組み。

スタジアムでの楽しみ方って色々とあるので、それをプランとして特別に開放し限定販売するのは理にかなっている。

選手との交流に課金すると距離感が離れやすくなるので、日頃は立ち入りが制限される場所へのアクセスを一時的に開放するなど、スタジアムのスペースの価値を再定義して活用するのがいいかもしれません。

スタジアム抽選会

スタジアムでQRコードを読み取り、抽選券を発行。試合中にSMSで当選者の発表を通知し、試合後に現地で景品を受け取るという仕組み。景品は、サイン入り公式試合球やレプリカユニフォーム、コイン、サイン入り色紙など。

ファン感謝デーなどのイベントにも使えそうです。

ハズレ無しスペシャル抽選会

利用者が事前に500コイン程度で抽選の権利を取得。販売総数300口ほどでハズレ無しのガラポン抽選会をスタジアムで開催。景品は、サイン入り公式試合球や選手実使用のGKグローブやスパイク、クラブグッズなどなど。

子どもたち向けのファミリーイベントと連動させると、ほっこり感が出てよろしいのではないでしょうか。

ギフティング(投げ銭)

投げ銭の金額に応じた限定プレゼントを後日郵送。俗に言うチップ、ギフティング、投げ銭、スパチャというものです。YELLtumってこんなこともできるんですね。

この投げ銭の機能は、ハーフタイムショーなどで頑張ってくれているチアダンスチームの子どもたちやブラスバンドなどで盛り上げてくれる地域の大学生、高校生への支援に使えたら素敵だなと思います。

他には、「今日も運営ボランティアありがとう!ポチッ100コイン」とか「グランド準備やボールボーイしてくれている育成年代の子どもたち応援!ポチッ100コイン」などなど裏方で頑張ってくださっている方へのリスペクトの気持ちとか、スタジアムのホスピタリティの評価としてとか。

スタジアム運営やクラブ運営に関して、地域の若者への職業体験のチャンスを用意してチャレンジする若者への支援のポチッとか。

もしくは、試合の盛り上がりで投げ銭してくれた人には、試合終了後に近くのお店で使えるクーポンを配信するなどして、そのまま歓喜の一杯を促すとか。

現場ならではのポチッの使い方はいろいろあると思います。

投げ銭に関しては、見返り目的というよりも熱量や気持ちが行動に繋がる部分が大きいので、そこをしっかりとブーストする必要がありますね。

新規登録で壁紙プレゼント

新規登録の促進キャンペーンとして、お手軽にスマホなどの壁紙をプレゼントするというもの。新規登録するとSMSで壁紙のダンロードURLが配信されるという仕組み。

ほぼコストかからないので、イベントなどと組み合わせてやれますね。



という感じで、いろんなキャンペーンを打ちながら各チーム頑張っているようです。基本的には、いかにスタジアムに来てもらうか、いかに新規登録者を増やすかという観点の企画が多いですね。導入時だからまぁそうなります。

なので、今はキャンペーンのときだけ利用量が増えて、急速にシュリンクするという状態だと思います。登録者が増えてきたら、次はいかに定常的に使われるようにするかという課題に取り組む必要があり、これは個々の提携店だけではどうしようもない部分も出てきたりで、クラブ主体、いやもっと広域の枠組みで地道にマネジメントする必要が出てくると思われます。

最後に個人的に思うところを2つ。

1つ目は、奈良市に関しては”Top Sports City Nara”なんて言ってるわけですから、認定チームすべてが使える地域スポーツ通貨などに発展すればいいのになぁってこと。

スポーツという共通項を通じて、地域の人達との日常でのタッチポイントを増やせればいいですよね。

ただ、行政が入ると急にややこしい話が絡んでくるので主導権はクラブでアレしてやですが。

2つ目が、クラブがよくやる無料の催し。例えば、キッズサッカー教室などを無料で開催してくれて大変有り難いのですが、もし無料であるがゆえにドタキャン率が高ければ、1000円ほどを事前に申し受けて教室終了時に1000コインを配布するようにすれば、今まで還流しなかった1000円が地域に還流し、手数料の一部がクラブに戻ってくるようになります。

無料ってあまりいい効果が続かないイメージがあります。少額でも支払いが出ることで人って価値を見出そうとするし、実質無料ってのは利用者にとって失敗の保険でもあるわけです。

ちゃんと価値のあるコンテンツであれば、簡単に無料にするのではなく、Winになるところが増えるようになっていったらいいのになぁと。無料が貢献だ、サービスだと思っちゃ駄目です。

"ならコイン"そのものが新たな収益源の創出をするのではなく、その過程や一定量流通して初めて収益の種が生まれるものなので、地道にうまく利用しながら発展させてほしいと思っています。

その先にはNFTやトークンマーケティングな世界も見えているので、結構ワクワクしているのですが、まだ先かな?

ま、長々書いてますが、全てがアプリが使いやすくなったらという前提があっての話ですけどね。

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