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しんせきのものづくり

 確か、これも10年以上前にウェブサイトで、公開してたもの。整理してたら、出てきたので、思わず読み返しちゃったもんね。これ書いたの誰w。

●きほんのところ   店長のバイブル
ものづくりの端くれとして大切にしていることがあります。
それは、モノにも心があると云う事です。
もちろん、それは、最初からあるわけではなく、
作り手である私が魂を込めないといけないのです。
「物には気合を入れると魂がこもるんだ。」

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と教えてくれたのは、吉村秀雄氏でした。
そうやって仕事をつづけて来ました。

最近になって改めて教えてくれたのは、
ノブさんという1960年代の自動車修理工場の
おじさんです。

「ものをつくることは、つくる人の魂を込めることだ。」

前者は、実在した人物ですが、後者は、「ジュンとひみつの友だち」
という物語上の人物です。

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この本は、大切な一冊となりました。その中に、
機械いじりが好きな女の子が、登場しますが、
こんな事を云います。
「機械ってね、ばらばらにしていくと、たいていは、かちんかちん
のかたいものでできているのよ。だけど、それをじょうずに
組み合わせてやると、とってもやわらかくなるみたい。
しっかり、かっちり組み合わせるほど全体がやわらかくなるわ。
そこがふしぎね。」
これが、自転車の組立における基本だと、今は、思っています。

●つくりかた   おいしいカレーをつくるのと同じ
自転車の組立なんて
マニュアル通りにやれば誰でもできます。
できあがりは、同じに見えます。
でも、シンプルなだけに、その人の個性が、出やすいのです。
わかりやすく云うと、
カレーを作るのと同じ。
同じカレーでも、各家庭で、すべて味が違うはずです。
また、レトルトという選択もあるかもしれません。
できあがりは、同じだけど、
誰がつくるかによって味は、違ってきます。
もちろんプロの手にかかれば、さらにおいしくなる。

自転車の組立だってカレーと同じなんです。
製品そのものが持つ良さ以外の
目立たぬところから、光るものを
見つけ出すのが、組立のセンスであり、
経験の深さ、確かさではないでしょうか。
●こだわり   この道具が、要なんです。

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この道具何だかわかりますか?
これは、自転車のホイールの組立、
リムの振れの点検調整を行なう道具です。
先代の頃から、受け継いでいる大事な道具です。

自転車で一番大事な部分は、車輪です。
これがしっかりしていないと
走れません。
ファッションでも足元は、重要でしょ。
しんせきのこだわりは、ここです。
振れ取りという作業。
ホイールが、左右にぶれずに回転するように
スポークの張りを調整し、リムの振れゆがみを
直してやる作業です。

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この作業は、スポーク一本一本を手で締めて
少しずつ行なうので、調整に時間がかかります。
車種によって精度も違うので、こんな面倒くさい
作業を、1台組み立てる度にやるのは、
生産性からすると非効率です。確かに、ほとんどの
店は、やっていません。
そりゃあバカげていると
周りからは、言われていますが、これだけは、譲れない。
できあがった自転車は、外見は、同じかもしれないが、
この作業をやった自転車とやらなかった自転車では、違うのです。
スポーク一本一本に、魂を込め調整する。
その気持ちが、あるかないかが、
いい自転車か、どうかの分かれ目ではないでしょうか。
「やるべきことがわかっているうちは、
手を抜かずに、そいつをやり通さなくちゃ。」
トリツカレ男のお気に入りの一説です。

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はい、若いですね。ハゲてないし。w 

なにものにもこだわらない。これが今です。臨機応変、日日是好日でいきましょう!


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