彼の不在とかけがえのない日常
私が自転車に乗り出して、日常のサイクリングを楽しむようになったのは6年前
きっかけは些細なものだったが、決定的なものだった
楽しみ方の発見
日常を豊かにする方法が自転車にあると気づいたのだ
早く遠くに行くのみならず、
四季を感じながら近所を走るだけで
コーヒーを飲みに行くだけで
友人と走るだけで
日々を楽しく味付けしてくれる そんなツールが自転車だった
そして先人や友人の存在も大きかった
スタイルや機材にとらわれず、自転車を使って楽しむことを追求する
もっと自由でいい 巷の意見は関係ないし、判断軸は自分にあっていい
星野源さんの「日常」という曲がある
「みんなが嫌うものが好きでも それでもいいのよ
みんなが好きなものが好きでも それでもいいのよ」
日々を楽しむことにフォーカスすれば自然と自分に必要なものは選択できる
自分の感情に正直に生きていいんだと心を軽くしてくれる歌である
エイリン丸太町店とスタッフの伊井君との出会いは今思えば「日常」と文脈を同じくするものだった
南部店長の生み出した自転車「メジャートム」は、現状のマーケットへの疑問を提示し、京都というローカルの地に根差した自由な「リベラル」バイクを標榜する
毎週日曜日に開催される「ハテナサイクリング」は京都の自然、食、文化、仲間、体験をサイクリングを通して「日常」に落とし込む実践の場だ
2024年1月19日「伊井君を偲ぶ会」に参加した
スライドショーに流れる彼の笑顔と自転車を楽しむ姿を見ていると、不在なのが嘘のようだった これからも一緒に走りたかった
一方で、彼が精一杯自転車を楽しみ、自然を楽しみ、時にはちゃめちゃな姿を見せてきたこと
その笑顔と経験から裏打ちされた接客で的確な機材のアドバイスをくれたこと(メジャートムを組んでくれたこと)
なにより自転車を「自由に」楽しむ文化を身をもって体現してくれていたこと
それは私たちが紡いでいくことが大切だと感じている
2024年1月21日 どうしても参加したかったハテナサイクリングに参加した
小雨の中決行された参加者たちは皆薄着で、京都の街を北上していく
途中で丁稚羊羹を購入して狸谷山不動院へわいわいと進む
交通安全を祈願する 遅れてきたスタッフを茶化す
購入した和菓子を食べる
なんてことないサイクリングと何気ない瞬間を忘れないように
気負わず続けていくことを彼に誓う
浅はかな私たちは「かけがえのない日常」がいつまでも続くものだとすぐに誤解してしまう
彼に教わった大切な日常に感謝して進みたい
「少しだけ大事な物があれば それだけで 日々は動き 今が生まれる」
「だれかそこで必ず聴いているさ 君の笑い声を」
また会おう。伊井君!
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