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一気に終わらせるか、少しずつ進めるか

大きな仕事は「少しずつ進める」ことが推奨されます。

「少しずつ進める」ことで以下のようなメリットが得られるからです。

  • 取りかかりのハードルを下げることができる

  • 1回当たりの負荷を下げることができる

  • 疲れたら、そこで切り上げることができる

  • 残り作業の見通しがつけやすくなる

これを図にすると以下のようになります。

上記のようなベルトコンベアに荷物を運ぶ仕事があったとき、左の人よりも右の人の方が「完遂率」が高そうです。

左の人は1回あたりの負荷が大きいため、気合いを入れないと取りかかれないでしょう。

仮に、左の人が運んでいるサイズの荷物を毎日1つずつ運ぶ必要がある場合、その日の荷物を運べなかったら「穴」が空くことになります。

日によって運べたり運べなかったりとムラができるため、残り作業の見通しがつけづらくなるでしょう。

一方、右の人は1回あたりの負荷が小さいため、ちょっとした空き時間に1回分をサッと運ぶことができそうです。

1日分の荷物を小分けにすることになるため、「ターン数」は増えてしまいますが、疲れているときでも「とりあえず1回分だけ」ということで「部分点」を積み上げることができます。

日によって運べる量が変動するかもしれませんが、その平均をとることで残り作業の見通しはつけやすくなるはずです。

本当にそうでしょうか?

自分で書いていて、「確かにそうだな~」と納得しそうになりましたが、すんでのところで「いやいや、本当にそうかな?」と我に返りました。

もちろん、仕事の内容によっては上記の「法則」通りに運ぶこともあります。

でも、「例外」もあるのです。

むしろ「例外」の方が多いのではないかと疑っています。

12月14日(土)に「タスクシュート総決算2024」という1dayイベントに登壇し、30分ほどの講演を担当しました。

講演することはずいぶん前から決まっていたので、それこそ「少しずつ進める」方式で進めることができたはずです。

でも、実際に講演スライドを作り始めたのは前日の12月13日(金)の22:00でした。

以下が実際の実行ログです。

まず、「大橋セミナースライド作成」というタスクは毎日繰り返すリピートタスクで、見積もり時間は15分になっています。

このようなリピートタスクを毎日その日のタスクリストに登場させているということは、僕は右の人のような進め方でこの仕事を進めようとしていたことになります。

もちろん、実際に「着手」する日もありましたが、スライド作成という最終アウトプットに取りかかったのは前日。

そうであれば、わざわざ毎日繰り返すリピートタスクにせず、前日の、それこそ22:00開始予定の単発タスクとして登録しておけば良かったはずです。

これなら「計画通り」に実行できたことになるからです。

言い換えれば、今回の講演スライド作成という仕事は毎日欠かさず「計画倒れ」を繰り返しながら、最後の最後で一気に回収したことになります。

この感じ、既視感があります。

それは、アクション映画です。

すべてが計画通りに運び、何らダメージを受けることなく、大事なものや人をいっさい失うことなく、誰からも裏切られることなく、プランBを発動する必要もなく、期限通りに所期の目的を果たすだけの話だったら、作品として成立しないでしょう。

そうなると

  • 計画通りに仕事を完遂できることは「ぜんぜん面白くない」とどこかで考えているのではないか

  • 「せっかくやるなら面白くやりたい」と無意識に考えていて、この思考が密かに「計画倒れ」の糸を引いているのではないか

という「陰謀」を疑い始めます。

実はこの「陰謀」、自ら仕込んでいるのだと思います。

例えば、毎日現れるリピートタスクの正体は「工作員」なのではないか説。

映画においては、高頻度で「あ、この人は悪いヤツなのではないか?」と思わせる人物が登場します。

この人物がストレートに「悪いヤツ」であることもあるのですが、実はそのように見せかけて観客をミスリードし、最後にまんまとひっくり返す、その演出のための仕掛け人であることが少なくありません。

毎日現れる「工作員」を疑い始め、しかし最後の最後で実は味方であることが分かり、土壇場で一致協力して黒幕をやっつける。

この一連の流れを何となく想像しながら、しかし、それを意識しすぎると「計画通り」になってしまうため、あえて気づかないふりをして日々をやり過ごす。

誰よりもまず自分自身にバレないように振る舞うことが重要なのです。

毎日リピートタスクをこなしているフリをして、実は別のところで粛々と準備を進め、最後の最後で裏をかく。

この過程に面白さがあるのです。

従って、毎日その日のプランを作ってはいますが、これは騙されたふりをするための、まさにフリに過ぎな・・・おや、誰か来たようだ。

次回に続く

本記事は、「時間的豊かさを追求する」ユタカジンへの寄稿となります。
次回は2025年1月17日(月)に更新予定です。


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