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ラリー"クロス"ゲームの未来


 たぶん普段の執筆スピードとリアルの用事を勘案するとこの記事が出る頃にはWRCジェネレーションズが発売され、コンソール勢もRally1車両のハイブリッド制御マップの選定に頭を悩ませているころだろう。僕が買うかは執筆時点ではまだ決めかねている。ようやくの収録となったシトロエンC4が限定版にしかなさそう(後からみたらDLCとして単体購入が可能だった)とか、e-Sportsでは使わないとか、そういう情報が原因だ。
 さてこの周知のとおりWRCジェネレーションズ(以下、便宜的にWRC11と呼称し、以降のタイトルもこのシーケンスに則って表記する)はKylotonn Racing が現状最後に手掛けるWRC公式ゲームであり、翌2023年からはエレクトリックアーツ(EA)傘下のCodeMastersが引き継ぐことが決まっている。CodeMastersは既にF1の公式ゲームライセンスを保有しているし、DiRTシリーズという老舗とも呼べるオフロードゲームをリリースしている。
 DiRTシリーズはDiRT Rally/ DiRT Rally 2.0というハードコアシミュレーションをスピンオフとし、2020年に発売したDiRT5はよりアーケードゲームに寄せた作りとして棲み分けを行っている。DiRT Rally 2.0の発売が2019年だから、僕は当初、"WRC12"はDiRT Rally 3 として発売し、以後年次アップデートやDLCで2024年シーズン以降をカバーするという形をとるのかと思った。つまり、DiRT Rally 2.0に対しWRCプロモーターからのお墨付きをもらい、GRヤリスとプーマとi20とその他諸々を加えた格好だ。
 ところが、先述のとおりCodeMastersはEAの傘下であり、DiRTシリーズとして運営されていた各ソーシャルメディアのアカウントもEA Sport Rallyに名義が変更されている。となると"WRC12"もEAスポーツの慣例(NBAやFIFAが分かりやすいか)にならい、WRC23とかそういうタイトルになる可能性がある。というか、F1シリーズも独立時代はF1 20XXとして発売されていたが今年からF1 22になっているから、ほぼそうなるだろう。そうなればWRCと名乗っている以上恐らくそこにはRally1/Rally2/Rally3と幾ばくかのヒストリックラリーカーしか残らないと考えるのが自然だ。
  そうなるとWRC12とは別にDiRT Rally 3が出てくる可能性も残されているが、こちらについては開発が中止されたとの報道がある。

ここで一つ疑問が生じる。DiRT Rally 2.0に収録されていたラリークロスはどこへ行ってしまうのか。いや、既に初代DiRT Rallyからヒルクライムがオミットされた経緯はあるのだが、そちらとは違ってラリークロスはそこからDiRT4をとおして世界ラリークロス選手権(WRX)の公式タイトルとしての側面も持ち合わせているのだ。仮に前述のとおりWRC12=WRC23のみ2023年にがリリースされ、その中身がヤリスとプーマとi20、それにファビア、C3、フィエスタの6台だけだとしたら、ラリークロスのファンは何処へいけばよいのだろうか。
  希望的観測としては"WRX23"とかそういうタイトルが出るという可能性もあるが、CodeMastersのポートフォリオを見る限り「毎年F1ともう一作」というシーケンスなのでそんな芸当はそうそう起こらない気もする。

勿論、WRC12にラリークロスが相乗りしてくる、という可能性も存在するが、それはCodeMastersの中枢部にしかわからないことだ。
  果たして、シムレーサーがRX1eのステアリングを握る日は来るのだろうか。