所持している辞典・字典を10冊紹介する

Cyanです。所有してる辞典・字典を紹介しようと思います。狙って10冊にしたわけではなく、適当に抜粋したら勝手に10冊になりました。コレクターだったりマイナー辞典好きというわけでもないので誰得ですが、よしなに。
紹介は五十音順です。

1.三省堂『当て字・当て読み漢字表現辞典』

ひとつ目からやや変化球。後述する難読漢字辞典と併せて買いました。

面白いところはズバリ、こちらの辞典のウリでもある「普通の辞書には載らない漢字表現を満載」しているところ!

「運命(さだめ)」や「本気(マジ)」のような当て字は勿論、「夜露死苦」などの伝統的な(?)当て字、「⿰魚好(こう)」といった創作漢字や「木木木木木木木木木木木(つまこずともきみなかず)」といったぶっ飛んだ当て字まで広く収録されています。素敵。

但しひとつ、引きづらさが難点です。この辞典には索引というものがありません。頭文字しか探す手がかりがないというのは、使い勝手の悪さが否めません。

2.雄山閣出版『当て字用例辞典 名作にみる日本語表記のたのしみ』

2冊目の当て字辞典。書名のとおり、全ての当て字が過去の名作から採られています。漢和辞典のように漢字が並べられ、その字が先頭に使われた当て字が紹介されています。見出し語総索引があるので引きやすく、全ての語に出典が載っているのも有り難い。
おまけに「動物・植物・外国名=地名・外国人名あて字一覧/旧国名一覧/珍姓一見」や「《あて字》概説」も載っており、当て字文化にまで詳しくなることができます。素敵。

3.柏書房『異体字解読字典』

古本屋で700円程度で購入。異体字が好きなのもありますが、読めない字が異体字であることもままあるので後述する五體字類と併せて使用しています。最近では啢(オンス)の異体字を解読するのに使いました。

この字典の良いところは
・主要な異体字は概ね収録されていること
・様々な引き方ができること


微妙だな〜と思うところは
・手書きなので構造がわかりづらい字がある(これは良い面もある)
・字の並び方が多くの漢和辞典と異なり、慣れるまでは引きづらい
・異体字の説明はない

こんな感じです。字の並び方が各部の総画数順なので、使い始めてしばらくは引くたびに混乱します。また、主要な異体字は概ね収録されてるとはいえ、異体字を多く知ってから読むとやや物足りなく感じます。そういうわけで今欲しい異体字字典があるのですが...(金欠)

4.学研『漢字源』

後述する漢和大字典及び編者の藤堂明保先生の意志を継いだ漢和辞典。字源にはあまり興味がないのですが、約17500字という親字数に惹かれて購入しました。知らない字があったら取り敢えずこれで引くといいと思います。2色刷りで読みやすいのも良いです。
以前Twitterで「私の高校の教科書で使われている髯の字体が珍しい」という話をしたのですが、手元の辞典では大漢和辞典とこれにしか載っていない、逆に言えば大漢和辞典レベルの辞典でないと載っていないような字体を載せているということで漢字源の株が上がりました(私の中で)。
↓件のツイート
https://twitter.com/Cyan_TAS/status/1231041314302480384?s=20

また、植物名、動物名索引というものもあります。珍しい上にこれが中々面白いです。

因みに肝心な字源についてですが正直、眉唾と言いますか、懐疑的に見ることをお勧めします。これ以上の深掘りは...やめておきましょう。私がダメージを負いかねません。

5.学研『漢和大字典』

前述した漢字源の前身にあたる字典になります。スッキリした名前がいいですね。スッキリしすぎて同じ名前の字典が複数あります。探しづらいのでやめてください。

この字典はまず、物理的に大きいです。具体的に言うなら、机上版広辞苑くらいのサイズ感です。私のは曽祖母の遺品を貰い受けた形になるのですが、受け取ったときその大きさに若干ビビりました。後に大漢和辞典のせいで全てのサイズ感が狂うことになります。

この字典の特徴としては、古訓が載っていること、字源概説まで載っていることが挙げられます。字源解説はともかく、古訓は面白いですね。歴史的仮名遣い(多分)で書かれてるので若干読みづらいのが個人的に難点ですが... 趣味に支障をきたしているので、いい加減スラスラ読めるようにならないと。(というか、古訓が歴史的仮名遣いで書かれていること自体は普通である)

大字典というだけあって読み応えがあります。親字数は中型字典として秀でているという程でもありませんが(約11000字)熟語数も多く、今とは収録基準が異なるので珍しい字もまま載っています。黭とか載っています。面白い。


6.岩波書店『広辞苑』

言わずと知れた中型辞典。私が所有しているのは第7版です。高校入学祝いで買ってもらいました。

これはかなり有名ですね。有名すぎて特に語れることがありません。先人の記事を読みましょう。

私のiPhoneカバーは広辞苑デザインなのですが、かなりウケがいいです。別売の広辞苑バッグと合わせて効果絶大です。

ところが「カバーは広辞苑なんですけど大辞林しか入ってないんですよね〜www」という私のオモシロは全く通用したためしがありません。なんで?
先日、はれてアプリ版広辞苑を購入したのでこのオモシロとは決別することになります。さようなら。

7.西東書房『五體字類』

こちらは祖母から譲り受けました。改訂新版です。

書道経験者なら一度は目にしたことがあるかもしれない、様々な字の楷書、行書、草書、隷書、篆書の五体(體)が載っている字典です。私は書道を習っていましたが今ではすっかり書かなくなったので、もっぱら解読に用いています。役立つ機会は稀ですが、五体載っているというのは強みです。あと、万葉仮名も纏められています。個人的にはこれが嬉しいですね。万葉仮名一覧は一応PDFで所持していたのですが、筆で書かれたものの一覧というのは持っていなかったので有り難みがあります。しかもめっちゃ載ってます。
小型で扱いが簡単なのも良いです。素敵。

8.大修館書店『大漢和辭典』

私が所持しているのは縮写版。通常版はアルバイトもできない学生身分にはキツいものがありました。神保町で7000円。

これもかなり有名ですね。現在は第2版まで出ています。

この辞典、要素が多すぎて何から話せばいいのかいまいちわかりません。膨大な字数は勿論のこと、熟語数や不思議な形の字の数々、長い訓読みと勘違いされる字訓...語り始めるとキリがありません。気になる方は(今は行けないかもしれないけど)図書館に行ってみてください。必ず置いてあるはずなので。漢字の深淵への第一歩です。

余談ですが、私の通う高校の図書館では、調べ物コーナーから最も離れたエリアに置いてありました。解せぬ。

9.三省堂『難読漢字辞典』

当て字・当て読み辞典と併せて買ったやつ。約25000語もの難読漢字が載っています。これは難読漢字なのか?と思うようなものもありますが、一方で「鵞毛玉鳳花(さぎそう)」のような厳ついものも載っています。また、地名や人名に力を入れているようで、ザッと眺めると半分くらいは地名、人名な気がします。

並び方は当て字用例辞典と同様で、漢字、読み方の両方から調べることができます。

ところでこれを書きながら、最近読んでないな...と思い出しました。最近は学術方面にハマりすぎていたので、肩肘張らずに難読漢字を楽しむのもいいかもしれません。

10.隆文館『法華三大部難字記』

私が所持している中で1番の奇書。あまり出回っておらず、定価2500円なのにAmazonで10000円しました。当然中古ですし、これでもかなり安い方でした。

【追記】
4700円で売られているのを発見しました。へへ...

三大部とは「法華玄義」、「法華文句」、「摩訶止観」を指します。

難字記とありますが、恐らく皆さんが想像できる範疇を超えていると思います。あとで画像を追加するつもりですが、大漢和辞典に載っている変な形の字がまともに見えます。

かなり古い字典なので、所々字が読めなかったりするのが難点。私の能力的にではなく。ただ、それで困ることは基本的に一切ないというか、東大王や漢検一級程度の難易度で楽しむぶんには全く必要ない本です。はい。


と、いうわけで私が所持する辞典・字典から10冊抜粋して紹介しました。本当はアプリ版大辞林、漢辞海を最も多用してるのですが、物書堂ありきの説明しかできず、ネタに困ったので紹介しませんでした。物書堂が何だかわからない人は是非検索してみてください。現代における辞典の最も楽な扱いができます。

国字字典や別の異体字字典、最新の大漢和辞典や漢字海、古壮字字典にも興味があるので、いつかは買いたいところ...
それでは、ありがとうございました。

をわり。

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