悲しみの果てに何があるかなんて俺は知らない/木村夏樹の覚え書き/2022.12

旧交を温める2022年12月の木村夏樹

多田李衣菜のSSRに木村夏樹が映り込み

限定SSR [プレシャス・ホーリーナイト]多田李衣菜に、木村夏樹が映り込み、その姿も、雪が積もるほどの寒さの中でもへそ出しルックで、いつの間にか定番になっていた、真冬でも異様に薄着という、木村夏樹らしさを感じられる。

そしてシンデレラ劇場でもロック・ザ・ビート全開、台詞も木村夏樹に言及する内容も多く、衣装に合わせた演技も「なつきちを参考にした」というほど、ここ最近にないほど木村夏樹と多田李衣菜の関係性を感じられる「だりなつ」らしい「だりなつ」だった。

イヴ・サンタクロース主役の営業コミュに木村夏樹が登場

クリスマスに合わせて、イヴ・サンタクロース主役の営業コミュが公開、そのコミュに木村夏樹も登場した。

木村夏樹と共に、向井拓海に藤本里奈、そして大和亜季も登場となると「炎陣」繋がりのようだが、今回はクリスマスプレゼントを運ぶために一役買う乗り物系アイドルのくくりで、木村夏樹も単車乗りとして登場。木村夏樹のユニット「マッシブライダース」さらには原田美世も登場するので「 イージーノイジーライダース」そのうえ多田李衣菜も登場するので「ノイジー・ハート・ビート」の繋がりも感じられる。

ユニットの繋がりが、旧交になってしまった。

それにしても多田李衣菜のSSRに木村夏樹が映り込むまで、ずいぶん遅かったじゃないか、いまさらなんだ。

6年前に木村夏樹の初めてのSSRで、多田李衣菜が映り込み、台詞でも言及があるなど、その後に実装された木村夏樹のSSRでも継続的に「だりなつ」要素を感じさせるなど、木村夏樹は多田李衣菜にこれまでずっと寄り添ってきた。だというのに、多田李衣菜はSSRに木村夏樹が映り込むだけに何年もかかった。

一方で木村夏樹は徐々にロック・ザ・ビートや多田李衣菜、「だりなつ」の要素が少なくなり、間近のSSR[My Life,My Sounds]でも多田李衣菜に言及する台詞もほぼない。何年も木村夏樹を袖にしてきた多田李衣菜がいまさら木村夏樹に近づいても、当の木村夏樹は遠ざかっているのだった。

そして木村夏樹と原田美世は、単車乗りとメカニック系アイドルと言うことで、折に触れて接点もあった。思い返せば「炎陣」というユニットも登場初期は、その名前と関係性から、大和亜季よりも原田美世がメンバーに相応しいのではないかとプロデューサー間で言われていたほどだった。「炎陣」が木村夏樹の代表的なユニットの一つに収まる前にはひと悶着合ったはずだったことも忘れられつつある。

こうして思えば、木村夏樹にとっては多田李衣菜との関係も、原田美世との関係も、薄れつつある「旧交」になっている。その「旧交」をいまさら温めようとしているようだ。

木村夏樹の弱さもカッコ悪さも明るみに出た2022年

2022年の木村夏樹を振り返ってみると特筆すべきは、4枚目のSSRで、しかもブラン限定の[My Life,My Sounds]実装。さらに7年待ち望んだソロ2曲目「Bullet Ride」を歌ったこと。その制作陣による特別対談動画も公開、そして収録CD発売直後にライブでも披露されるなど、木村夏樹の女性的な魅力あから、キメッキメのカッコよさまで表現されて、客観的に見れば大変に充実している。

声がいまだ実装されないアイドル、声が実装されても何年もソロ曲を手にできないアイドルが大勢いるアイドルマスターシンデレラガールズというコンテンツを思えば、木村夏樹は恵まれている。今年の木村夏樹は十二分に活躍したと言えるだろう。

だがしかし、木村夏樹をアイドルマスターシンデレラガールズというコンテンツ全体の流れの中で見てみたらどうだろうか、コンテンツ全体の流れに乗って木村夏樹は存在感を見せられただろうか、そう考えていくと今年の木村夏樹は弱さも、カッコわるさも、明るみに出た年ではないか。

2022年はデレマスの基幹であったモバマスのサービス終了が発表されて、大団円を演出する様々なイベントがあった。そしてデレマス10周年記念した、10周年ライブツアーファイナル公演ではゲームやライブの垣根を超えてコンテンツ全体を振り返るような構成で魅了して、さらには10周年記念アニメ「ETERNITY MEMORIES」も公開されるなど、2022年はデレマスというコンテンツそのものが集大成を見せるようだった。

では、そうしたデレマスというコンテンツ全体の流れの中で、木村夏樹は何をしたかと言えば、なにもなかった。

集大成に何の花も添えられなかった木村夏樹

2022年12月にモバマス最後のイベントであるプロダクションマッチフェスティバルが終わり、ついにモバマスはサービス終了を待つばかりになった。

モバマスのサービス終了発表からこっち、木村夏樹は結局なんのイベントにもガシャにもシンヒスにも、その他の集大成の演出にも、特筆するような関わりがなにもなかった。そのせいか最後だってのに何の感慨もない

初期衣装組であるブルーナポレオンが最後のアイプロでこれまでの積み重ねを感じさせるフィナーレを飾るのに対して、同じ初期衣装組である木村夏樹が属するライトグリーンセーフは何もなかった。

モバマスで最初で最後のアイドルセッションを行い、アイチャレで2度目のユニットイベントまでやったはずのロック・ザ・ビートも何もなかった。

なぜ木村夏樹はモバマスの集大成に何の花を添えることも出来なかったのか、それはひとえに木村夏樹が、何かを積み重ねることなく、積んでは崩すことを繰り返して、過去を振り返ることなく過去を蔑ろにしてきたことの末路ではないか。

木村夏樹のこれまではモバマスに限らず、ロック・ザ・ビートという、木村夏樹にとっての相棒である多田李衣菜との活動に偏っている。その一方でロック・ザ・ビートはその意義を失くしては、また再構築するというマイナスをゼロに戻す活動ばかりで、積み重ねては崩してきた。

デレアニにおける「アスタリスクが私にとってのロック」「ぶつかり合うことが私にとってのロック」という多田李衣菜の台詞で失われた、ロック・ザ・ビートの高め合い認め合うロックの意義、それをデレステでは「Jet to the Future」コミュで、ぶつかり合うことで再構築した。そしてまた「Unlock Starbeat」で多田李衣菜がギターを弾けるようになったことから、「Jet to the Future」で見出したギターよりも個性を伸ばすというロック・ザ・ビートの意義が揺らいだことで「ハーモニクス」でもう一度正面から向き合い、木村夏樹と多田李衣菜のライバルとしての意義を再構築した。

こうして木村夏樹は積んでは崩すという賽の河原のようにロック・ザ・ビートに活動を割いてきた、その反面でアイドルとしての他の活動や、他のユニットの関係性はおろそかにされてきたのが実情ではないか。

モバマスにおいても、ロック・ザ・ビートを振り返ろうとしても、最後に登場したのは2年以上前ですっかりご無沙汰の馴染みのないユニットになってしまった。初期衣装組であるライトセーフグリーンはろくに関係性を積み重ねることもなく、ついにサービス終了を迎えてしまった。木村夏樹にとってモバマスとは何だったのか。

過去に向き合うこと強さはなく、過去にすがる弱さは、カッコ悪い

木村夏樹は過去を振り返るよりも未来を見て、さらには今の一瞬が全てのような刹那的な性分がある。「Bullet Ride」でもその一面が伺える。

“道の先にある景色を目指そうI’ll just bite the bullet速度を上げて 後ろは崖っぷちで構わない振り切れた針が示す場所まで”

かと言って、木村夏樹が過去を完全に振り切っているかと言えば、そうではない。

アイドルになる以前からの過去について、自身の才能の有無や、周囲の環境について、いくらか言及がある。「Jet to the Future」や「空想探査計画」のコミュでは“ロックな音楽だけじゃやっていけなかった”“「お前には才能がない」なんて他人の言葉を素直に聞いてやる必要なんてない”など、過去の境遇について直接言及したり、また推察される言及もある。

そしてアイドルになってからも、様々な活動を重ねて、ユニットや交友関係も広がり、確かな軌跡がある。そうした中で[My Life, My Sounds]コミュでは、抱えていた胸中を吐露した。

だがこうして木村夏樹が過去を振り返ったとしても、それが次の活動に繋がることがない。そしてまた推察される過去も、もう何年も掘り起こされることはない。「Jet to the Future」は6年前、「空想探査計画」は3年前だ。

木村夏樹は過去にまともに向き合うことなく、今日まで来てしまった。

同じロックを志すアイドルである松永涼とは対象的だ。松永涼がお嬢様育ちから反発の過去と、情熱を持て余して鬱屈した過去と向き合い、ついにはモバマスのサービス終了前に、どうやら両親との邂逅も果たしたことで、過去を乗り越えつあるのに対して、木村夏樹はどうだろうか。 

木村夏樹は、いつまでもカッコつけてアイドルになる前の過去を明らかにせず隠しており、過去と決別するわけでもない。

その一方でアイドルになってからの活動は、ロック・ザ・ビートに偏重しており、ユニットの関係性に縋るようだ。その反面で、その他のアイドルとしての活動やユニットがおろそかにされてきた。だから集大成で振り返るに値するだけの積み重ねがなかった。

刹那的な性分で過去を振り返らないならまだしも、過去のユニット活動をすがるように引きずっているのが木村夏樹だ。それをカッコ悪いと言わずに何と言うか。

過去のカッコ悪い自身に向き合い、過去のしがらみに縛られたユニット関係を断たないことには、木村夏樹はカッコ悪いままだ。

こうして過去に向き合えず、モマバスの集大成の演出に何一つ関われなかった木村夏樹が、唯一関係してると言えるのは、過去に向き合えず逃げ惑い、弱くカッコ悪い木村夏樹をメタ的に描いた「追想公演」が、人気投票で選ばれて、モバマスのサービス終了前に復刻されるイベントの一つになったというのは余りにも皮肉じゃないか。


デレマスというコンテンツそのものが過去に向き合うことより、切り捨てることを選んだ

木村夏樹が過去に向き合わない弱さとカッコ悪さについて、あれこれ言ったが、そもそも過去を振り返ることよりも、過去を切り捨てて、都合のいい時に過去を引っ張り出してまたなかったことにするのが、デレマスというコンテンツ全体の傾向だ。

10周年記念アニメ「ETERNITY MEMORIES」では過去を振り返りながらも、デレマスの世界線は多次元的に存在するマルチバースであり、モバマスがサービス終了してもデレマスの世界は広がることを暗に示した。

だがそれは、アイドルたちの過去の積み重ねさえも不確かにすることでもあり、それはアイドルたちの人格さえも危うくすることだった。

こうしてデレマス運営は過去を切り捨てる方針に舵を切った。

そうした過去を蔑ろにする傾向は運営だけではない、プロデューサーたちもそうだ。7th大阪公演で、木村夏樹を感動ポルノ扱いしたことも、それどころか賛美両論であったことさえも、プロデューサーたちの間では認識すらされていない。2年経った2022年10月に、7th大阪公演を公式配信した際にも、木村夏樹を都合のいいモノ扱いする「木村夏樹の女」という言葉をプロデューサーたちが繰り返した。

「木村夏樹の女」や「なつきちの女」など言う輩に限って、木村夏樹が過去にアイドルコミュ3で「そっちの趣味はない」と差別的ですらある発言をしていることも知らない、都合のいいモノ扱いしている。

今更ながらモバマスの終了に手向けの言葉を述べておこう

ありがとう、クソったれのモバマス、お前から解放されて嬉しいぜ。

最後の最後のイベントだってのに、モバマスのイベントそのものが選ばれたメンツ以外には、恩恵がない。せめて選ばれたメンツ以外にも何か締め括りを感じる演出が欲しかったよ。

特にモバマスイベは、ほぼ義務感と惰性で虚無な時間を過ごすから、最後なんだから何かしらの計らいが欲しかった。サ終することで解放されるものがある、あの虚無な時間を他の有意義なことに使えるのだと思うとせいせいするほどだ。

そして気がついた。ひたすらポチるだけの虚無で、やる気がないから全然成果も出ないし資産も余るモバマスのイベをだらだらやっていたら、モバマスにせよデレステにせよ、そもそもデレマスがそんなもんだ、デレマスを楽しめる人は虚無を楽しめる人種なんだと気がついた。

そしてまた気がついた。こうして毎月の覚え書きを書く中で、過去に向き合えない木村夏樹の弱さ、過去を切り捨てるアイドルマスターシンデレラガールズの不義理に。

それに付き合いきれないのが俺の弱さだった。だから俺はプロデューサーを辞めたんだ。

俺は過去さえも確かではない人格のないアイドルの担当プロデューサーを張れるほど、強くなかった。

俺はアイドルマスターシンデレラガールズの運営を信じきれない。

俺は虚無を楽しめる人種じゃなかった。

だから俺はプロデューサーを辞めたんだ。

なおもそれでも、俺はデレマスから離れきれていない、みっともなく付き纏う、それみたことか!その一言を言うために、担当を辞めた後でも、俺が木村夏樹に付き纏うのは、木村夏樹が過去に向き合わず醜態を晒す時に、それ見たことか!の一言を言うためだけだ。

そして2022年も押し迫った時期に、デレマスのみならずアイマス全体の統括する新しいプロジェクトを始めるようで「PROJECT IM@S 3.0 VISION」が発表された。これまで以上のIP戦略さらに、VRやMR技術を応用して、ついにVtuberの世界に本格参戦するようだが、そのプロジェクト“PROJECT IM@S vα-liv”には「アイドルマスター」の名を冠していない。

ついにアイマスはアイドル育成ゲームというジャンルから外れて、ユーザーをプロデューサーとして捉えてもない方針に舵を切ったということだろうか。

いよいよプロデューサーを辞めたことが正解だったようだ。

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