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【鎌倉時代】〜手作りの金剛力士像編〜

今回は【鎌倉時代】についてご紹介していきます。
今回の川原堂造形作品の最大の難所とも言える【金剛力士像】。
時代が進むにつれて難易度が上がっている感じがして、この一年で段々とできることも増えていったように思います。

それではまず、鎌倉時代について確認していきましょう。

・鎌倉時代について

第82代後鳥羽天皇により征夷大将軍に任命された源頼朝により鎌倉に幕府が成立。
12世紀末~室町幕府成立までの間を指します。
朝廷と武家政権が並び立つ時代に入ります。
元寇(蒙古襲来)という、未曾有の国難があったのもこの時代です。

武士の影響により、素朴で力強い文化が生まれていきました。
戦乱や災害、飢餓、末法思想の到来を背景に、新しい宗派の仏教も登場します。

・東大寺金剛力士立像について


東大寺金剛力士立像 とうだいじこんごうりきしりつぞう 国宝
重源(ちょうげん)の東大寺復興の一環として再建された、南大門の仁王。口を開いた阿形・口をへの字に結んだ吽形があり、運慶・快慶・定覚・湛慶の慶派一門により、1203年に69日間で制作された寄木造(部材数約3000)の傑作。1991年の解体修理の際、阿形像の金剛杵から墨書銘がみつかり、吽形は定覚じょうかくと湛慶たんけい、阿形は運慶と快慶が主に担当したことが判明した。

(世界の歴史マップさまから引用)


・制作について


時代が進んでいくにつれて、芸術の表現も幅広くなっていきます。
それと同時に作品も多様化していくため、もう奈良時代以降、普通に職人技の域です。
楽しく気楽に土偶をこねていたのは遥か遠く、、、、
鎌倉時代になればこの「金剛力士像」を作らなくてはいけない現実を受け入れるのにとても時間がかかりました。

漂う強キャラ感


筋肉、服のシワ、そして睨みの効いた表情。
ただならぬ気迫を感じます。

・・・

一筋縄ではいかない相手ですので、作り始める前に入念に計画を立てます。
大きさを決めて、パーツ構成を考えます。


今回芯材にアルミホイルを使い、首まで一体型で作るようにしました。
弥勒菩薩半跏思惟像の仕上げで、ナイフを使って細かいシルエットを出していく手法が思いのほか良かった(楽しかった)ので、肉付け時はラフな感じでやっていきました。

多少不恰好でも、まず形にしていく。
こうする事で次々にやることが見えてきます。
手を動かすことでモチベーションが上がっていく、そんな制作でした。

乾燥したらカッターナイフで削っていきます。
この作業でだんだんと作品に命が吹き込まれていく感じがします。
やっぱり今回一番難しかったのは筋肉の表現でした。
筋肉ってどんな風に付いてるんだっけ?
この盛り上がりって不自然じゃないかな?
そんなことを考えながら造形していました。

今回も全身を確認できるような資料が見つけられなかったため、なかなか苦労しましたが、なんとか形にすることができました。

台座に針金を仕込み、仁王像の足に刺せるようにしました。こういうガンプラの台座みたいな仕組み、とてもワクワクします。

塗装は試行錯誤しながら何度か塗り重ねました。
深みを出したくて、どうにかできないかと考えていた時に思いついたのですが、

「いくつも重ねて塗って、ヤスリで表面磨いたら、いい感じに下地が出てくるのでは?」

天才かも?と思い、試してみましたが、下地を通り越して素材の粘土の白が見えてしまい諦めることに。

そうこう試しながら紙ヤスリで磨いたり、ティッシュで擦ったりしていると謎の光沢が出ることが判明しました。

これが思いのほかいい感じだったので、この仕上げでいくことに。
ニスを塗ったようなツヤ、木のような質感が出せていて意外なところに着地しました。

作る前は阿形、吽形、二体作ると決めていましたが、あまりにも大変すぎたので今回は吽形だけで終了です。

繊細な作品ですが、是非実物に触れていただいて、取り外し可能な台座や、左手から取り外せる武器(?)も見ていただきたいです。

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