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【雑記】クロスオーバーはなぜ開催直前が盛り上がりのピークなのか【シャドバ/クロスオーバー/CDB】

 こんにちは、牡蠣食えばです。

 今回はタイトルの通り現在(2022/12/08~2022/12/27)開催中であるシャドバのクロスオーバーフォーマットについての記事となります。

 9ヶ月ほど空けての復刻である今回の開催告知に大いに盛り上がったのも束の間、実際に始まってみるとあちこちから怨嗟の声が絶えないことでお馴染みのフォーマット、クロスオーバー。
 この記事ではクロスオーバーが前評判は高いのにいざ始まるとつまらなく感じる原因について分析していきます。

 結論を端的に述べると以下のようになります。

・デッキ案を考えるのは楽しいので開催前はそれなりに盛り上がるけど、実際にランクマッチに行こうとするとエーテルが足りなくてデッキを思う存分組めない。
クロスオーバー特有の構築制限が構造的にもたらすクラス間の格差が環境を歪ませている一方、運営に環境を調整する気があるように見えるが実際にはない。
→以上の2点によりクロスオーバーはランクマッチに潜れば潜るほどストレスが溜まる。

 以下で詳細に検討していきます。

〈追記 2023/12/05〉

再びクロスオーバーの開催が告知されました。

今回は事前に禁止制限をかける時期が予告されており、いつあるかもわからない環境調整にヤキモキしながらクソ環境を闇雲に駆け抜けるというストレスは取り除かれたように思われます。

今回こそは円満楽しいクロスオーバーにならんことを。(追記終わり)

(以下常体)

⒈クロスオーバー、エーテル足りない問題

①湧き出るアイデアに追いつかない所持カード

 クロスオーバーの一番の醍醐味はやはり「あのカードをこのクラスにくれ〜」って願いを実現できるところにあると考えている。特に現在のクラスのカードプールでは不遇な扱いを受けているようなカードこそクロスオーバーならではのデッキで活躍させてみたいと思うのがカードゲーマーの性である。
 
「ランプしてレジェコマを早出ししたら流石に強いだろう」
「ユキシマのバフを新クイブレにかけたら面白そうだな」
「エルフのバウンスを使えばポーンのカウントを効率よく稼げる」
「グライアスのアクセラを使えば0コスでスペブを2も貯められて宇宙」
「インペリアルセイントに怨讐の絶叫かけたら盤面面白くなりそう」などなど。

 アイデアは尽きることがなく、むしろランクマッチに潜るたびに対面のデッキから新たな刺激を受けてさらに組みたいデッキが生まれる具合である。

 しかしながら、実際にアイデアをデッキにしてランクマッチに潜ろうとするとカードを揃えなければならないという壁に直面する。ここでは現在の常設フォーマットであるローテでもアンリミでも大して活躍していないカード(特にレジェンド)を1ヶ月しか遊べないフォーマットのために生成するか?ということが問題になる。
 そして多くのユーザーにとっての結論は否である。
 上記のレジェコマやミスティックキングようなイロモノはもとより、そもそも特定のクラスばかりで遊んでいる人にとってはクロスオーバーのデッキ一つ組むにしても大変な出費になる。

②結局は既存構築の延長

 クロスオーバーならではの構築を組む余裕がない場合、手持ちの構築をちょっとアレンジする、ないしはクロスオーバーが終わってもローテやアンリミで活躍するようなカードの多い構築を使うというのが次善の策となる。

 多くのユーザーがこの戦略を採用した結果、現在のクロスオーバー環境は【人形ホズミ】、【ハンドレスドラゴン】、【ディスカヴァンプ】、【葬送カラミティ】が席巻することになっている。
 いずれも相性の良いカードを他クラスから引っ張ってきただけでデッキコンセプト自体はどこかで見たようなものばかりである。

※”サブにドラゴンを入れてランプする構築”の流行については後述する。

 環境の面子は大体ローテと変わらず、しかも環境のバランスはローテよりもはるかに歪んでいるようなフォーマットに人気が出ないのは当然のことのように思われる。

③ルームマッチ……する?

シャドバ公式Twitterより

 カード不足は運営の懸念するところでもあり、一応の対応策としてルームマッチ限定であるが未所持のカードも使用可能という措置が取られている。
 しかし、実際にクロスオーバーで報酬をもらうにはランクマッチでランクをあげなければならず根本的には何の対策にもなっていない。また、DCGはボタン一つで対戦相手とマッチングできるのが強みであり、対戦相手をTwitter等で募集する手間がかかるルームマッチはそこまで盛んではない。

 そもそもルームマッチなんてしないし、したところで旨味がない。そのためいくらルームマッチで未所持カードを使用可能にしたところで焼石に水なのである。

 ローテのレジェンドを1枚ずつクロスオーバー限定のテンポラリーカードとして使えるようにする、くらいの配慮があっても良いのではないかと思う次第である。

⒉クロスオーバー、環境歪みすぎ問題

 前節で扱った問題よりもさらに深刻なのがこれから扱う問題である。

①実質的なニュートラルカードの使用制限

 クロスオーバーにはメインクラス24枚以上、サブクラス9枚以上を必ず採用しなければならないという構築制限が存在しているため、必然的にニュートラルカードを入れられる枠が限定されている。すなわち最大でも各デッキに7枚までしかニュートラルカードを入れることができない

 これがいかに重い制限であるかは想像に難くない。序盤のドロソであるベルエンジェルや恩寵、中盤の回復や終盤のフィニッシャーをこなすギルネ等、最近のデッキのインフラとなっている強力なニュートラルカードたちを十分に採用できなくなっている。

②最近のカードデザインの傾向に逆行

 ここ数弾のカードデザインはデッキの初動や強力なフィニッシャーとなるカードをニュートラルに用意することでデッキの安定感やフィニッシュ力においてクラス間格差が生まれないように配慮しているように思われる。その上で各クラスにそれぞれの特色を生かした重めの切り札級のカードを配り、序盤はニュートラルカードを中心にデッキを回し、中盤以降はそれぞれのクラスの特徴が出てくる、そしてあまり早期に決着がつかないようにすることを狙っている。

 このような思想のもとデザインされたカードプールにおいてニュートラルカードの使用を制限した場合、ニュートラルカードによって担われていた役割をクラス内のカードで代用できないクラスの構築は軒並み歪まざるを得ない。
 そして、ニュートラルカードに頼らずともクラス内のカードでデッキを回すことのできるクラスか、はたまた各クラスに配られている大型の切り札に早期にアクセスできるようになるクラスがクロスオーバーというフォーマットにおいて優位に立つことは以上のことから明らかとなる。

③ドラゴン入りかそれ以外か

 さて、ここでドラゴンクラスを見てみよう。

 ドラゴンはニュートラルカードであるメタトロンを除きPPブーストが可能なカードを持つただ一つのクラスである。この時点でニュートラルカードが実質制限されているクロスオーバーにおいて優位に立っている
 前回では託宣が制限カードに指定されていた上、そもそもPPブースト札が少なかったためドラゴンをサブクラスに入れてもPPブーストというメリットよりもデッキに不純物が入るデメリットの方が大きいように感じられた。しかし、今回は事情が異なる。ただでさえ託宣が無制限な上、スーロンやアルジャンテなどが追加されそもそもPPブースト札が質・量共に向上しているためランプアップのためだけにでもドラゴンをサブに入れる価値が以前よりはるかに高まっている

 しかし、今回のクロスオーバーにてドラゴン入りがそうでない構築を圧倒しているのはPPブーストの存在だけではない。ディスカ軸の存在が話をややこしくしている。

 砕石竜やオーブキャンサー、アルジャンテ等の所謂ルーターを用いることでドラゴンはクラス内のカードだけで十分な初動を確保することができている。そのため、クロスオーバーにおけるニュートラルカードの使用制限の影響を比較的に受けにくくなっており、ここでも他クラスよりも優位に立っている。

 以上をまとめると、ドラゴンクラスはPPブーストという唯一無二の動きを独占しながらディスカ軸でニュートラルカードに依存しない初動の安定性を確保することによりクロスオーバーフォーマットにおけるトップメタに位置することになったと言える。 

 単にPPブーストするのクラスをサブに入れるだけならリソース稼ぎを犠牲にしている分バランスが取れているが、同じドラゴンクラスの中でリソース稼ぎまでできてしまうとドラゴンをメインかサブに採用しない理由がなくなる。この結果、クロスオーバー環境がPPブーストを前提とした速度まで加速してしまい、ドラゴンを混ぜない構築は対面のランプアップよりもさらに早期に決着をつける(ホズミやハンドレス)か、対面のどんな展開もいなす(カラミティ)かのどちらでもなければ生き残ることができなくなっている。

④運営はクロスオーバーをどうしたいのか

シャドバ公式Twitterより

 クロスオーバーは不定期開催のフォーマットである以上、まともな対戦環境を構築したければある程度の調整は不可欠である。
 実際、前回開催時はクロノウィッチと託宣が制限指定され、開催中にはエリカが禁止となった。今回も事前にカゲミツに一部制限をかけており、環境調整をする気があるような様子を運営は見せている。

 一方で、前回開催時の運営は開幕4日でエリカを禁止指定し、今後も環境調整を続けるような姿勢を見せながらも混沌やラティカが蔓延る前回のクロスオーバー環境に対して結局何ら対応することがなかったり、今回もシーズンの約1/4が終了しているのにも関わらず特に環境調整についての音沙汰はない。

 クロスオーバーは所詮はローテーションのカードプールで戦わなければならないため、アンリミのようにパワカにはパワカでメタるといった方面で環境が自律的に調整されることは考えにくい。特に、メタカードの多くが使用を実質的に制限されているニュートラルに揃っているためなおさらである。

⒊まとめ

 クロスオーバーというアイデアは非常に面白く、また既存の常設フォーマットでは実現できない多くのデッキ案が眠っている非常に可能性に満ちたものである。クロスオーバーが不評なのはクロスオーバーというアイデア自体に問題があるのではなく、その面白さの可能性を十分に味わえないストレスに由来するものである。
 所持カードやエーテルが足りなくて自分の思いついたデッキをランクマに持っていけない。たとえランクマに持って行ったとしてもドラゴンのランプアップを前提とした環境に速度負けして対戦を楽しめない。
 このような問題について運営は早急に対処してほしいと思うところである。

⒋おわりに

 ここまで読んでいただきありがとうございました。

 この記事についてご意見・ご感想等ございましたら是非コメントまたは私のTwitterまでお寄せください。


ではまた。

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