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【ライブレポ】群青の世界 BAND SET LIVE 青の幻想曲~Blue Fantasia~

フットペダルが踏まれてバスドラから大きな音が聴こえてくるだけで、まだライブが始まってもいないのに特別な感情が生まれてきました。
いつもとは違うことがここで起こるのだなという感慨です。

2022年8月9日(水)、新宿BLAZEにて4人組アイドルグループ・群青の世界によるワンマンライブ「青の幻想曲~Blue Fantasia~」が開催されました。
2018年12月のデビューから3年半以上、グループとして初のバンドセット付きライブです。

念願のバンドセット

通称「青セカ」のこのグループの特徴は、表現に特化したパフォーマンスにあります。
全身を使い、時にコンテンポラリーダンスのようにもみえるスケールの大きな動作からは目が離せませんし、歌姫・工藤みかさんを筆頭とした流れるような歌声は起伏あるメロディーの中で豊かな世界観を語ります。
そして欠かせないのが曲の良さです。
一曲の間に大きな展開を見せるメロディーと、一人称の主人公的な視点がメインの歌詞。
最初期はわりと比喩的な表現が多く、最近は状況をストレートに伝えるような言い回しが多くなってきているという変化を感じますが、いずれの曲もどういう組み合わせでも違和感なくセットリストに入ってきます。

バンドセットありでライブを開催すると知ったとき、遂にやってきたという思いがありました。
群青の世界の曲はざっくりいえば青を感じさせる爽やかなロックテイストで、伴奏の鍵盤やドラムス、竿隊などにも聴きごたえがあります。
持ち曲のほとんどを収めたインストCDが売れているのも、メンバーのボーカルを抜いても有り余るほどの魅力が伴奏にあるからだと思います。
インストCDの存在は非常にありがたく、自分もCDを聴いてはなかなかライブで感じることのできない楽器の音を楽しんでいました。

恐らく伴奏はほとんどの場合打ち込みのはずです。
しかしこの日は生バンド。
顔のない機械が精巧に似せた音に変わり、この日ばかりは人の体温が通った音色です。

ライブアイドルで生バンド付きのライブを出来るグループなんて限られています。
成功させるにはパフォーマンスの強度に加え、人と人とのステージで生まれる出来事への臨機応変な対応といった経験値的な部分も必要かと思います。
村崎ゆうなさんと水野まゆさんが加入してからこの日でちょうど2年。
機は熟しました。
今や群青の世界は、バンドを従えるに十分すぎるパフォーマンスを備えています。
昨2021年の8月9日には、白金高輪にて巨大ビジョンを使った視覚効果抜群の新体制1周年記念ライブ「Future me」を、グループの結成3周年を祝した12月のライブ「Blue Symphony」を恵比寿ザガーデンホールにて開催し、まるでオーケストラのような荘厳さをもって成功を収めました。

仕切り2

ライブの日のことを振り返っていきます。
ここまでの群青の世界は多忙を極めていました。
直前のライブではTOKYO IDOL FESTIVAL 2022(TIF)の初日(8/5)と最終日(8/7)の二日間に出演。
中1日で臨むこの日はまだ、TIFの余韻も疲れも抜け切っていなかっただろうと思います。
ただでさえフェスや対バンなどで忙しい8月、この日のワンマンが急遽決まった日程でもなく、ハードスケジュールを承知の上で組んだのだとは分かっていても、メンバーのことを案じてしまいます。
7月末にちらっとみた一宮さんの弱音ツイートも頭をかすめます。
そこまで重々しい内容ではありませんでしたが、ちょっと心配になります。
群青の世界メンバーは愚痴っぽいことはもとより、弱気なことすらSNSにほとんどツイートしません。
それだけに、ふと目にした一宮さんのツイートは気がかりでした。
吐き出してしまうくらい、準備が大変なのでしょうか。
もっともこれがバンドセットワンマンと関係しているのかは分かりませんが。

バンドセットワンマン自体はもちろん楽しみですが、ライブアイドルの宿命とはいえライブに次ぐライブによる負担の大きさが気になるという思いも抱えつつ迎えた当日、開場は18時15分です。
新宿BLAZEは初めて来た会場だったのですが、「見やすい」という噂通り後方には段差がありますしステージ幅も広い。
高さもあるので、段差の手前の、前方の半分以上を占めるフラットなエリアであっても見通しは悪くないです。
しかも自分はかなり整理番号が良く、前から二列めくらいに入ることができました。
人一人通れるくらいのスペースが空き、もうその先にはステージがあります。
視界は開けていました。

すでにステージにはドラムを中心にベース、ギター2本、キーボードに加えてアンプや使い方の分からないエフェクターなどが乗っかっていました。
奥行きのあるステージの奥半分くらいは楽器やら機材やらで埋まっています。

開場から開演までは45分もあります。
時間は18時50分頃(定かではありません)。
空調はかなり強めに効いていました。
しばらく待ったところで、やってきたのはバンドメンバー。
ギターに角谷俊之介さん(@01RIPTONE31)と雨倉 順平さん(@Tomamerock)、ベースに白山治輝さん(@haruki_the_sun)、ドラムに高浦"suzzy"充孝さん(@mitutakasikura)、そしてキーボードには鮎京春輝さん(@ayuharu0411)。

この5人が出てきて、まず軽めに音を出しました。
チューニングというより、人で埋まった開場での音の鳴り方を今一度チェックしているようです。
冒頭に書いた、ペダルに足が下ろされてバスドラが鳴り出したときにテンションが上がったのはここのシーンでした。

その後彼らは一旦引っ込み、再び登場して持ち場につきました。
記憶が正しければ、下手から白山さん、角谷さん、高浦さん、鮎京さん、雨倉さんという並びだったかと思います。
ベース、ギター、ドラム、キーボード、ギターという下手からの順番です。
音の最終チェックなどをしたあと、手で大きく丸を作りました。
群青の世界メンバー登場への準備が整ったという、PA席へのサインでしょうか。
いよいよライブが始まると、そのジェスチャーをみて察します。

仕切り2

ライブ本編

定刻を過ぎました。
場内が暗転、譜面台の近くにたかれた小型ランプが心細げに光る中、バンドメンバーによってSEが鳴らされます。
いつもメンバー登場前に耳にするSEですが、生の音ともなると違いは歴然です。
ドラムの音がかなり大きめに聴こえてきます。
群青の世界の4人は、間をおかず下手から出てきました。
衣装はこの日のためにおろされた、濃淡さまざまな青系の色が白地の上に投げつけられて模様を成したようなロング丈のワンピース。
こちらから見上げるようなかたちで4人の顔を覗くと、張り詰めた表情をしています。

青セカ特別衣装

まず1曲目は「COLOR
鍵盤の駆け下りてくるメロディーと、それに重なる工藤みかさんの鮮烈な歌声、遅れてギターは2小節分ほどソロで続きます。
ドラムやベースが加わり、Aメロからはフロアの走り気味なクラップ。
一曲目から、まさにバンドの編成でやるにピッタリな曲がやってきました。

まさにこれを観たかったのです。
具体的に「COLOR」をイメージしていたわけではありませんが、バンドセットと聞いて思い描いていたライブはまさにこんな形でした。
ステージとの距離が近いので、演奏している姿と聴こえてくる音との間にラグが一切なく、目の前で音を浴びている感覚はひとしおでした。
このあと印象的なシーンはいくつも訪れますが、最後まで頭に残っていたのは「COLOR」の一連の演奏でした。
いきなり受けたこの衝撃が、ライブ後までずっと尾を引いていたのでした。

2曲目は「夢を語って生きていくの

1曲目に引き続き、メンバーの表情に笑顔が見えません。
登場してからの張り詰めた顔を保ちながらずっとパフォーマンスしています。
グループカラーである青は、青臭さも持ち合わせています。
鬱屈した気持ちを抱えて生きる様子を歌った、いわば青臭い曲が冒頭の2曲で続きました。
これもまた、期待していた展開でした。
出てこれないほど深いところまで沈むのも、群青の世界のライブという感じがします。

ところで「夢語」では鍵盤から始まるイントロからやや走り気味に聴こえました。
ストリングスなど、この日のバンドセット以外の音要素が伴奏にある曲は、オケを流して足りないパートを補う一方で、バンドのみでカバーできる曲はオケなしで生の音のみ流れていたようです。
夢語は後者であり、音の主導権がステージにわたったため原曲よりもテンポが早めになったのでしょう。
しかしこれも生の魅力です。
性急な印象のこの曲にはむしろ、走り気味と感じるくらいがちょうどいいかもしれません。
いつものテンポに馴れきっているメンバーも、ここの対応は自然でした。

3曲目、「アンノウンプラネット」でようやくメンバーの表情がゆるみました。
いつもであればイントロと同時に水野まゆさんが「こんにちは、群青の世界です!」と声をかけるイメージがありますが、この日はイントロよりも前、4人がフォーメーションについたところでの一声でした。
曲と曲との間に若干の空白が空きました。
だから一言差し込めたのでしょう、
こうした空白も、人と人とのやりとりである生バンドならではです。
ステージ上で呼吸を合わせ、整ったところで次の展開に進んでいく。
まさにライブという感じがします。

3曲を終えたあと、MCコーナーに入りました。
初めてのイヤモニをつけてのパフォーマンスということで、そちらの話題が多かったような記憶があります(この次のMCかもしれません)。
皆顔が小さいことから(本人たちがそう言ったわけではありません)上手くフィットせず肌色のテープで耳に固定していること、自分の声が直に耳に入ってくるから歌いやすいこと、バンドサウンドと自らの歌声の奥からうっすらクラップが聴こえてきて頼もしかったことなど、初めてのイヤモニ体験をうれしそうに語っていました。
耳を触ってイヤモニを気にしながらのパフォーマンスも、バンドセットならではです。

ゆるんだメンバーの顔を見て安心したのも束の間でした。
4曲目「BLUE OVER」は、村崎さんの言葉を借りれば深淵のような、あるいは奈落のような曲です。
再びメンバーの顔は表現者に戻ります。
メンバーからのレスはちょこちょこと貰える(ほぼ)最前列ですが、例えば顔をキメて静止するようなシーンでの視線は遠くにあるため、こちらはその表情を下から煽るように眺めるような感じになります。
村崎さんが真正面に来て遠くを見つめたとき、ダンスで乱れた髪が左目を上手いこと隠していました。
本人をして、ここは決まったと思ったのではないでしょうか。
入れたばかりの髪色は青みがかったグレー。
色落ちして、照明に当たるとその角度によって見え方が違います。

セットリストは、感情をおおいに揺さぶってきました。
BLUE OVER」の次は青春模様の「青い光」、そして「アイ・ワナ・ビー」でまた苦悩の顔を見せ「最終章のないストーリー」で1,2,3,4,5と指を広げていくという、まるでテンションの違う曲を猫の目のように組み合わせてきました。

アイ・ワナ・ビー」はイントロが2段階あると思っています。
冒頭、人ごみを表現したようなSEの後に鳴り出す鍵盤の音とともにメンバーが歩き出すシーンと、一宮ゆいさんを先頭に一発目の音に合わせて胸に手を置くシーン、この二つからなると思っているのですが、2段階目の強拍が、バンドメンバーの出す音と群青の世界メンバーの動きとでピッタリ合っていました。
スタジオでの練習を重ねてこそでしょうが、ライブが深まっていくにつれてツーカーの信頼関係も出来上がっているのかなという感覚です。
音を合わせる以上のところで通じ合っているような気がしました。

このことに重ねて書くと、この日凄く印象的だったのが、バンドメンバーの楽し気な様子でした。
センターに位置するドラムの高浦さんの、叩きながら気持ちよさそうな顔や、自分のいた上手側のギターだったと思われる雨倉さんの大きめの動きなど。

周りにいたファンの方の会話にも出てくるくらい、フロアから見ていても気分の上がってくるような乗り方でした。
仕事と割り切ってつまらなそうに弾く方も、別のライブでは見かけたりしていたのですが、やはり楽しそうにしていてくれたほうが嬉しいです。
この日はバンドメンバーの仕草に乗せられたようなところもあったかもしれません。

アイ・ワナ・ビー」のあとはふたたびMCタイムへ。
ひとしきり喋った後、遅ればせながらのバンドメンバー紹介となります。
ドラムに始まり竿隊、最後はキーボードだったでしょうか。
紹介されたバンドメンバーは一人ずつ自らの楽器を鳴らしていき、一つ、また一つと音が重なっていきます。
最後は5人のアンサンブルになりました。
奏でられているのは次に披露する曲の一部分なのかなとは思いましたが、それが何の曲かまではわかりませんでした。
音の数が増えていき、ここで察する方も多かったようです。
自分はメンバーの告げる曲名でやっとわかりました。

シンデレラエモーション」。
ある場面で一宮ゆいさんが上手側に来たときの表情が印象的でした。
一宮さんについてはまず表情を見てしまいます。
息をつき下を向いたとき、一瞬思い詰めたような顔つきをしていたのが、前を向いたときには明るく変わっていました。

正面から見た水野まゆさんはキラキラしています。
見た目だけでなく、まとっているオーラからして光っているのです。
少し下からというレアな角度から見上げると、背中に照明が当たるような角度となり、後光が差しているようにも見えます。

ここから終盤となり「メロドラマ」「未来シルエット」へと続くのですが、後半戦あたりから自分の視線は真正面に見える楽器に釘付けになっていました。
上手1番(?)のその場所には、キーボードがあります。
入場したときにはそんなことは全く頭になかったのですが、自分の立っている位置はキーボードと正対する位置でした。
偶然でしたが、この上ないベストポジションでした。

少し自分のことを勝手ながら書くと、自分の音楽の楽しみ方の一つに、鍵盤のように指を動かすというのがあります。
昔ピアノを少しやっていたこともあり、なんとなく音の動きが分かるので(BLUE OVER とスーパーノヴァは音がとても取りやすいのですがNonstopは難しいです)、ライブ中腕を下げて太ももの横あたりを鍵盤に見立てて運指する、というやりかたで乗っていたりするのですが、目の前のキーボードを弾く鮎京さんはこの上ない見本でした。
この機会を逃すまいと、正直後半はキーボードをほとんど追っていたようなところがありました。
ほぼ最前列でライブが見られる機会もなかなか巡ってきませんが、バンドセットの、それもキーボードの真正面ともなるとなお貴重です。
いつものライブでは、歌もダンスも自分とは無縁なのでパフォーマンスを観ても上手いなと思うだけで終わってしまいますが、キーボードとなるとそれに加えて参考にしたいという探求心も混ざっていました。
プロのキーボードさばきを見ると、当然ながらこんな素人と比べるのも失礼なほど上手いです。
耳では単純な一音のみに聴こえても、運指を見れば和音で構成されており、無意識のうちに取り込んだ和音が曲を魅力的に仕上げているのだなと感じることもありました。

加えて鮎京さんは曲中、積極的にアレンジを入れてきました。
ペダルを踏んでエフェクトをかけ、出てきた音は聴きなれた原曲とは違うメロディーということが何度もありました。
どんな感じだったかを再現できないのが残念ですが、音で遊んでいるところも素晴らしいです。
できれば映像として残っていてほしいのですが...

本編ラストの曲は「僕等のスーパーノヴァ」でした。
冒頭のハイハットを生で聴けるときを待っていました。
これで11曲目、そろそろ終わりの気配を感じたのは、バンドセットの音が一段と大きくなったからでした。
伴奏が張り切って厚みを増し、イヤモニからダイレクトにその音を聴いたメンバーも負けじと声を出します。
会場の空気がひっかきまわされ、ぐちゃぐちゃになったような感覚をこの時得ました。
ライブを観ていて時々やってくる感覚です。
「ライブ感」という漠然とした単語のど真ん中にこの感覚があるような気がしています。

これで最後ですとメンバーが言い、バンドメンバーとともに4人が捌けていきました。
すかさず拍手が鳴り出します。

仕切り2

アンコール

やけに長かったアンコール、ようやく出てきたメンバーを見てその理由が分かりました。
先ほどまでの特別衣装ではなく、また別の見たことがない衣装を着ています。
これが、グループの新衣装でした。
一度のライブで初お披露目の衣装を二種類も見られるなんて相当贅沢な機会です。
新衣装は、照明も絞られたなかで見たらグレーっぽい色合いに見えていたのですが、実際は水色。
やはり群青の世界のカラーを守っています。
他の3人はそれぞれデザインの違うスカートですが工藤さんのみパンツスタイルです。
全体的なデザインは、軍服っぽいなんて声も出ていましたし貴族っぽくも見えました。
ライブ中はさすがに外していますが、アーティスト写真では白の手袋をつけていて、ただでさえ溢れる気品が際立っています。

青セカ新衣装

アンコールで出てきたのはメンバー4人だけ。
空っぽの楽器があるだけで、バンドメンバーはどこにもいません。
新衣装を見せたところで、バンド抜きの4人による新曲披露が待っていました。

曲名は「RIBBON」。
「前に進んでいく私たちの曲です」
こういう曲振りでした。
系統で言うと「僕等のスーパーノヴァ」に近く、決意表明の曲といった感じ。
一聴して元気が湧いてくる曲です。
歌いだしの「僕」という一人称が頭に残ります。
のちに公開された音源を聴くと、水野さんの歌唱力の伸びを感じました。
伴奏はこれまでの群青の世界を踏襲したロック調で、バンドセットに加えて鍵盤の音もしっかり聞こえてきます。
これこそ生バンドありで聴きたかったなと思いながら観ていました。
2番あたりで(恐らく)一宮さんと水野さんの間を上手に向かって工藤さんが抜けて膝立ちになる動作があったとおもうのですが、衣装もあり滑り込むような動きがカッコ良かったです。

サビで手を「く」の字を描くように動かしたり、首元で指をループ状に動かす振り付けは、恐らく曲名にあるリボンをイメージした振り付けなのでしょう。

良い印象で包まれた「RIBBON」のあとは告知でした。
もう一つの新曲「BEST FRIEND」を後日披露すること、そして5箇所を巡るツアーを10月より開催すること、さらには4周年記念ライブを12月(?)に開催することなどです。
ライブアイドルに再度行き始めて2年くらい経った今思いますが、ツアーやワンマンライブを開催してくれることのありがたみを、ライブアイドルに行き始めた8年前くらいより強く感じるようになりました。
言葉上だけではなく、心からそう思います。
今は厳しい時代で、オタクの絶対数が減りました。
小さなパイを奪い合う状況を見て人は衰退とさえ言います。
ライブに次ぐライブで大変だろうなとは思いますが、ツアーをまわっているその瞬間だけはありがたみや余韻をできるだけ噛みしめておきたいものと思います。

仕切り2

告知のあとはバンドメンバーが再登場し、既存曲を披露しました。
まずは「カルミア」。
横一列になったユニゾンのあと、フロアが一斉に飛び跳ねました。
とはいってもほぼ最前で実際の様子は見えていませんが、いつものライブの光景からして恐らくそうなのでしょう。

そんなことはないはずなのですが、村崎さんの髪色がライブ開幕の頃に見た色とはまた違う色合いをなしているように見えました。
こんな短期間で色落ちしたなんて考えにくいですが、ライブを経て自分の見える世界にフィルターがかかっていったのかもしれません。

ガシャガシャと楽器隊が音を鳴らし、その周りをメンバーが走りまわるというお決まりのくだりを経て最後は「However long」。

一宮さんがどこかのパートでソロを歌うとき、こちら側の上手にやってきました。
その時、フロアからたくさんの手が伸びてくるのが分かりました。
前にいても圧を感じます。
水野さんのソロのときも同様でした。
バンドセットではありますが、アイドルのライブを取り戻しています。

ライブ時間は1時間半程度。
耳を圧迫する確かな残響感はありましたが、非常に心地のいいものでした。
バンドを歌声で引っ張り続けた工藤さんの顔は珍しく赤く上気し、水野さんは恍惚の表情です。
確かな達成感が、会場に立ち込めていました。
村崎さんがマイクをとり、あいさつをします。
そういえば、5月に横田ふみかさんが卒業してから、(ふわっとですが)進行的な役割をしていた横田さんのかわりに収まったのが村崎さんのようでした。
自らと水野さんが加入してちょうど二年となることに対しての感謝や、バンドセットライブという夢の一つを叶えられたことへの思いなどを口にしています。
私たちだけではここに立つことが出来なかった...」
用意してきた最後のセリフを言いながら、あと少しというところで声を詰まらせます。
その姿をみて、昨年の「Blue Symphony」の最後のスピーチで泣きそうになっていた横田さんのことを思い出しました。
なんとか締めのセリフを言い、4人は袖に消えていきました。
手を振るときの村崎さんはグッズのタオルを顔に当てています。

横田さんが居ない今、MCでは先頭に立って得意の言葉を持って締める村崎さん。
ライブ中の表情もかなり良く、ダンスから溢れる表現力はすさまじいです。
「村崎ゆうなという個人よりも群青の世界をみてほしい」とインタビューでは答えていましたが、個人としての魅力は今目覚ましいほどに増してきています。
そんな村崎さんの去り際の涙には、やられてしまいました。

こうして、グループ初のバンドセットライブは終わりました。
誰の目にも成功と言えそうなこの日のバンドセットワンマンを終えて出てくるのは、ここで終わりにはしてもらいたくないということです。
この日をマイルストーンとするだけでなく、2回目3回目とつなげてくれないものでしょうか。

ホールが似合うグループ。
昨2021年12月の「Blue Symphony」で覚えた、オーケストラの演奏を聴いているかのような感覚を引きずり、そのイメージがついたままここまで来ましたが、この日分かったのはバンドとも相性がとても良いということです。
黒く光沢があり、数々の人に踏み締められ消えない跡が付いた床など、ザ・ライブハウスといった環境で、バンドメンバーとの呼吸を合わせて躍動するメンバーは素晴らしかった。
オーディション開催の話も出ていましたが、ツアーを終える秋冬には新メンバーも加入してくるのでしょうか。
形はどうあっても、この日のようなライブをまた観られればと願っています。

◆青セカBANDSET0809 セットリスト
M1. COLOR
M2. 夢を語って生きていくの
M3. アンノウンプラネット
M4. BLUE OVER
M5. 青い光
M6. アイ・ワナ・ビー
M7. 最終章のないストーリー
M8. シンデレラエモーション
M9. メロドラマ
M10. 未来シルエット
M11. 僕等のスーパーノヴァ
En1. RIBBON
En2. カルミア
En3. However long


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