見出し画像

大瀧詠一

大瀧詠一(ファーストアルバム)[72]-大瀧詠一

BELLWOOD (FIRST PRESS ORIGINAL)*見本盤

***[初回盤では(いかすぜ! この恋)曲が終わった数秒後、テレコの止まるスイチ音が記録されている!帯付!]

当初、はっぴいえんどのメンバーに手伝ってもらい、シングル盤を6枚先行リリースしそれらを集めたものをアルバム[オムニバス-乗合馬車]と言うタイトルで出す予定だったが、諸々の事情(原盤供給の権利問題)により"シングル6枚構想"は"ソロ・アルバム構想"に変更され、大瀧は2枚のシングル(恋の汽車ポッポ/空飛ぶくじら)はとりあえず習作と考え、1972年4月から新たにアルバム制作が開始された。シングル6枚構想が崩れた時点で[オムニバス]というアルバム・タイトルも消滅し、そこで考えられたのが自身の原点であるエルヴィス・プレスリーのデビュー・アルバムのタイトルだった。[ELVIS PRESLEY]というシンプルなものだったことから、このファースト・アルバムも名前だけの[大瀧詠一]となった。ただし、アーティスト名と区別するため、一般には[ファースト]と呼ばれている。アルバムのデザインは"WORKSHOP MU!!"が手がけているが、奥村靫正によればジャケットおよび、レコード・レーベルのイラストは立川か横田のガレージセールのようなところで見つけたSearsの1950年代のカタログのイラストレーションをアレンジしたもの。全曲2分~3分のThree minutes paradise(三分間だけの楽園)の美学に貫かれた名盤!アルバム中袋にはこのアルバムを支えた人たちの写真と、ハーモニカを手に持った2歳ぐらいの時の大瀧自身の写真が付けられている。日本とアメリカでカッティングされた歴史上初のアルバム!(はっぴいえんどのラスト・レコーディング時に大瀧詠一がカッティングした)

おもい
それはぼくぢゃないよ
指切り
びんぼう
五月雨
ウララカ
あつさのせい
朝寝坊
水彩画の町
乱れ髪
恋の汽車ポッポ第二部
いかすぜ! この恋

*おもい
1968年に大瀧が細野晴臣と知り合った時、仲介したのが中田佳彦(作曲家中田喜直の甥)で大瀧/細野/中田の3人で日曜日ごとに細野の自宅に集まってポップスの勉強会が開かれ、それがやがて"LAMPPOST"というグループへと発展した。大瀧はビーチ・ボーイズ的なアカペラでミックスするつもりだったがミキサー吉野金次からの(薄くでもギターがあった方がよい)という助言でこの形になった。

*それはぼくぢゃないよ
シングル・バージョンからベースが差し替えられ、ドラムもリフが追加。更にシングルの時に時間がなく未消化だったボーカルの完全版が出来たことが大瀧にとって最大の収穫だったとし、ここで聴かれるボーカルが後に、自身にとって生涯でのベスト・ボーカルだったのではないかと思うようになったという。シングルでは“それはぼくじゃないよ”だったタイトルが、アルバムでは“それはぼくぢゃないよ”に変更されている。あがた森魚1973年の自主制作映画(ぼくは天使じゃないよ)の主題歌に使用され、大瀧も端役で映画に出演した。

*指切り
この曲はアル・グリーン<LET'S STAY TOGETER>を目論んで作られたが、ベースまでそのままでは面白くないとのことでザ・ステイプル・シンガーズ<RESPECT YOURSELF>にしたという。後にシュガー・ベイブのデモ・テープにてレコーディングされた。

*びんぼう
この曲はのちにウルフルズによって<びんぼう'94>としてカヴァーされ、大瀧による3番の歌詞が新たに提供された。

*五月雨
シングル・バージョンはコーラス以外がモノラル・ミックスだったので、そのステレオ・ミックスとなっている。ただ、このままでは<びんぼう>とタイプがまったく同じだったので、鈴木茂のギターがダビングされ、手拍子とコーラスを追加。さらにダブル・ボーカルで少しポップ調に変更されて、アルバム内でのバランスが取られている。アルバム(NIAGARA CALENDAR)に5月の歌としてセルフ・カバーされた。

*ウララカ
一部のカラオケにも入っている初期の大瀧を代表する楽曲。はっぴいえんどはこの曲に(はいからはくち)の歌詞をのせてライブで何度か演奏している。後にベスト・アルバム(DEBUT)で<ウララカ'78>としてリテイクされた。

*あつさのせい
<指切り>に続きシンガーズ・スリーが参加、後に[Caramel Mama]を結成する4人(細野/鈴木/林/松任谷)をバックにした歴史的演奏!これなら女性ドゥーワップもできると踏んで<恋の汽車ポッポ第二部>につながったという。

*朝寝坊
はっぴいえんどの雰囲気を残した楽曲。ニューオーリンズバージョンと言うピアノをフィーチャーした全く違うバージョンが存在する。

*水彩画の町
後にベスト・アルバム(DEBUT)で<水彩画の町'78>としてリテイクされた。

*乱れ髪
大瀧作品初のストリングス入りの曲で、ストリングス・アレンジは吉野。ボーカルは<指切り>同様、一回目のもの。後にベスト・アルバム(DEBUT)で<乱れ髪'78>としてリテイクされた。

*恋の汽車ポッポ第二部
シングルとして発売された恋の汽車ポッポのアルバムバージョンとして制作された楽曲。最初の部分の歌詞や譜割りが一部異なっている。恋の汽車ポッポは全三部作構成。シングルで発売されたシングルバージョンが第一部、本作に収録されたこの第二部、そして、ライブのみで披露されている<海を渡る恋の汽車ポッポ>という第三部が存在する。第三部は途中でリズムトラックが似ている洋楽の<Stay>が混ざっていて、シュガー・ベイブの演奏とともに披露された。

*いかすぜ! この恋
大瀧にとって原点であるELVIS PRESLEYでしめるのは、デビュー・アルバムとしては当然のことだったという。曲はELVISのタイトルだけを集めた、いわゆる"折込みポップス"。コーラスは、はっぴいえんどが初めて日比谷野音に出演する際にコーラス・メンバーに起用した鈴木慶一と大瀧。ELVISのバック・コーラスが"ジョーダネーヤーズ"だったので、"冗談じゃねーやーず"と命名された。アルバムにはカセット音で収録されているが、曲が終わるとテープの消し残りの<あつさのせい>のイントロが始まり“面白い”ということでそのまま録音していたら、カセット・テープの残量がなくなってオート・シャット・オフ機能が働いて“パチン”と止まる音まで入ってしまった。後に<烏賊酢是! 此乃鯉>と改題されてアルバム(LET'S ONDO AGAIN-所有)でリメイクされたほか、西田敏行によってカバーされた。

おもい
words, music 大瀧詠一
arrangements 中田佳彦
guitar, vocals 大瀧

それはぼくぢゃないよ
words 松本隆
music 大瀧詠一
arrangements ちぇるしい
drums イーハトヴ田五三九
bass 南部半九郎
pedal-steel 駒沢裕城
band neon 池田光夫
12st guitar, vocal 大瀧

指切り
words 松本隆
music and arrangements 大瀧詠一
drums 松本隆
bass 細野晴臣
-Featurin'-
piano and flute 吉田美奈子
chorus シンガーズ “Sexy” スリー
percussion 江戸門, 宇野, 多羅尾
vocal 大瀧

びんぼう
words, music and arrangements 大瀧詠一
bass 細野晴臣
drums 松本隆
-Featurin'-
鈴木茂 Hoseam-o-style guitar
宇野主水 on organ
chorus -guest singer- 布谷文夫
guitar, vocal 大瀧

五月雨
words, music and arrangements 大瀧詠一
drums イーハトヴ田五三九
-Featurin'-
野地義行 “samidare” bass
guitar 鈴木茂
clapping 三浦, 多羅尾, ほしいも
chorus ドゥルゥトゥル愛好会
percussion 多羅尾伴内
vocal 大瀧

ウララカ
words, music 大瀧詠一
arrangements 多羅尾伴内
drums 松本隆
bass 細野晴臣
-Featurin'-
chorus 大團圓合唱団
鈴木茂 Uraraka-guitar
宇野主水 guitar, Ron-Ron-piano
guitar, vocals 大瀧
大團圓合唱団 : 多羅尾, 宇野, ほしいも, 鈴木慶一

あつさのせい
words, music and arrangements 大瀧詠一
“Hot” drums 林立夫
“Cool” bass 細野晴臣
-Featurin'-
鈴木茂 “Hot” guitar
松任谷正隆 “Hot” piano
シンガーズ・スリー “Hot” chorus
vocal 大瀧
Introduction, conceived by 林, 鈴木, 大瀧
words inspiration by 布谷文夫

朝寝坊
words, music and arrangements 大瀧詠一
bass 原田政長
drums ジミー竹内
-Featurin'-
cla. 佐野博美
per. 福島照之
Fingertips 森, 多羅尾
guitar, vocal and whistle 大瀧

水彩画の町
words 松本隆
music and arrangements 大瀧詠一
-Featurin'-
chorus 上星川コーラス同好会
conga 多羅尾伴内
guitar, vocal and whistle 大瀧

乱れ髪
words 松本隆
music and arrangements 大瀧詠一
strings Arr. 吉野金次
-Featurin'-
drums 林立夫
bass 細野晴臣
piano 宇野主水
strings ストリングスハーモニーオーケストラ交響楽団
conducted by 吉野金次
vocal 大瀧

恋の汽車ポッポ第二部
words 江戸門弾鉄, 多羅尾伴内
music and arrangements 多羅尾伴内
drums 宇野主水, 多羅尾伴内
bass 南部半九郎
-Featurin'-
chorus シンガーズ・スリー
guitar 鈴木茂
clapping 三浦, 吉野, 森, 多羅尾
vocal 大瀧

いかすぜ! この恋
words, music and arrangements 多羅尾伴内
-Featurin'-
多羅尾伴内 “qluis style vocal”
drums 松本隆
wood bass 細野晴臣
宇野主水 on “string” piano
chorus
-冗談じゃねーやーず-
(多羅尾&慶一)

RECORDING MIXIBNG ENGINEER
吉野金次
ASSISTANT
モウリスタジオ・オールスターズ, 野村正樹
RECORDING STUDIO
モウリスタジオ, 目黒
MANAGEMENTS
風都市
Thanks to 石浦, 前島 Bros., 上村
AGENT
中村誠
SCORING
吉野金次
DIRECTION
三浦光紀
PHOTO
野上眞宏
DESIGN
Work Shop MU!!
PRODUCED BY 大瀧詠一
Dedicated To “P”

*Moby Grape:1960年代後半に活動したアメリカ合衆国のPsychedelic Rock Band。1966年、カリフォルニア州サンフランシスコにて結成。ヒット曲は殆ど無いが、後に有名になる多くのミュージシャンに多大な影響を与えた(はっぴいえんどetc)
 
https://youtu.be/6XiwUojhDh4
 
 
 

ここから先は

0字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?