アースクエイク

アースクエイク

食欲の秋、田んぼの雀達も喜んでたわわに実ったお米をついばんでは、ガス鉄砲のドン!!という衝撃波の音にびっくりして逃げてはまた田んぼに舞い戻る、そんな田舎の風景が懐かしい頃。

場末のBAR M&Nでは…

ねねが、「ふかし芋やけたにゃ!!」

音ちゃんが、「甘栗も剥けたぞ!!」

みつも、「梨剝けたよ!!ブドウもあるよ!!」

甘美タイムに女性陣は歓喜の声を上げていた!!

そこへ…チリンチリン♪御来客の様子。

「あ~!!お腹すいた~!!マスター、サンドイッチとオレンジジュース下さいな!!」

と、勢い良くクルミはいった。

「はいよー」と、みつ。

BAR M&Nでは、少しの軽食も提供している。

どうぞ。

卵サラダと、ハムとレタス、チーズのはさんであるサンドイッチとオレンジジュース。

それを瞬く間に平らげると、クルミはすぐに、

「まだ食べたりない…スパゲッティーナポリタン下さい!!」と元気に言う。

「おー、よく食べること!何か運動でもしてきたのかい?食べ盛り、伸び盛りで良いなぁ!!」

クルミは、音ちゃんのそんなきっぷのいい発言さえ無視して、黙々とスパゲッティーナポリタンを食べ始める。

食べ終えたら…何と、今度は…!!

「カレーライス下さい!!」

「!?!?!?!?何にゃ!?何にゃ!?一体どれだけの食べ物を食べるつもりにゃ!?
今日は、大食い選手権にゃんてやってないにゃんよ!?一体どうしたんにゃ!?」
驚愕するねねを尻目に興奮気味のクルミ。

そこへ、チリンチリン♪テンマがやって来た。

「やぁ~、皆さん、おそろいで!!あら?今日もお客さん?
おっ!!スレンダーでナイスバディーで、お顔のほっぺのほくろがチャーミングなかわいい子…、僕と仲良くならない!?」

「嫌ぁあぁ!!バチーン!!」

「!?何で俺、叩かれたの!?何か悪いことでも言った!?」
急にほっぺを叩かれたテンマは、目を白黒させて

「ちょっと待つにゃ、どうしたにゃ??何があったにゃ??
コイツに怒るのは、勝手だけど」戸惑うねね

「勝手だけどって、おいおい、ねね様…」困惑するテンマに

「叩くのは、ちょっとダメじゃにゃい??」正論を言うねね

「とりあえず、これ、飲みなさい…」

ホットココアをみつは優しくクルミに差し出す。

それを熱そうにふーふーしてからこくっと飲むとクルミは…

「私、クルミと言うんですが、私…私…自分の見た目が大っ嫌い!!デブで、ブスで、おまけに、顔の変なところにほくろまであって、だから、男の人からバカにされたり、付き合っても長続きしない…どうせ自分に近づいてくる男なんて、身体目的なのよ!!嫌らしい!!そういう人達を引き寄せる自分も、もっと大っ嫌いなんだから!!わぁぁぁー!!」

号泣し始めるクルミに、テンマは、

「いや…きみの気に障ることを言ったのなら、謝るよ、許してほしい。でも、本当に君のことを可愛いと思ったし、体型も素敵だよ。それに、BAR M&Nのお客さんは僕の友達になって欲しい。
決して、下心があって話しかけていなかったこと、分かってほしいな…」
シルエットはほっそりしていて、ボディーラインも程よい感じのクルミにテンマは言うと
「テンマさん…叩いてごめんなさい」
クルミもテンマに謝った。

「にゃーに?新手のナンパかにゃにか?」

「ギクッ!…ち…違うけど…。勘弁してよ、ねね様、一応わきまえているから」

「何をわきまえているかわからにゃいけど?」

「ところで…沢山食べても気が済まないってことは、クルミちゃん、あなた、過食っぽいわね」

「ええっ!?私が過食!?そんな!?」驚くクルミ。

そんなクルミにみつは言う。

「今日は、気が済むまで食べてもらっちゃっても良いわよ、今日のお代は、テンマが払うから…」

「ちょっ!!待ってよみっちゃん!!俺、今月ピンチなんだから!!」焦るテンマ。

「…というのは冗談にして、お代は本当に気にしないで頂戴、でも、あくまで腹が満たされて気持ちいいくらいでとどめておいて頂戴ね」

みつは続ける、

「例えば、沢山食べた後に、そんな自分に嫌気がさして、トイレで嘔吐するのが続いてきたら、それは拒食症になるから、ひどいと点滴になるからね…」

「ヒッ!!点滴ぃ!?あたし、注射とか無理…!!」
おびえるクルミに

「だったらなおさらよ、そう、魔法の言葉を教えてあげる。
私は鏡が嫌いだから、あまりやらないけれど、鏡に向かって
『今日の私って素敵ね、大好きよ』って言ってみて」

「えっ…??恥ずかしい…」

「それが、あなたがあなた自身を認めて、あなたがあなたを好きになる言葉」

「今のあなたは、周りからの愛が足らないんじゃなくて、自分への愛が足りないのよ。少しでいいから、自分を愛してあげて。自分を愛してあげると、自ずと自信も出るわ。自信過剰なのは困るけどね」

「僕は、自分のことが誰よりも好きだな…」そうテンマが自負すると

「あんたのことは、聞いてないよ!!アンタはそれこそ自信過剰なんだよ!!」

ビシッ!!と音ちゃんのツッコミ

「喉が渇いてきたにゃんね、にゃんか飲もうにゃん!?」

「はいはい…ねねには、猫用ミルク、水、マタタビ酒どれがいい?」

「マタタビ酒ー!!」

「じゃあ、皆さんにはカクテルを準備…あ、テンちゃんは、酔うと何するか分からないから、ソフトドリンクね!!」

「何だよ…ちぇー!!」

「さてさて…今日のカクテルは…」

材料…ドライジン…20ml
   ウィスキー…20ml
   ベルノ(アブサン)…20ml

作り方…材料をシェイカーに入れてシェークして、カクテルグラスに注ぐ。

アースクエイク(40度辛口)の出来上がり。

ジンとウイスキーの濃厚な大人っぽい味わいと、ハーブ系リキュールの爽やかさが合わさった味わい。

飲みすぎるとアースクエイク(地震)のようにグラグラ頭が揺れる。

カクテルの意味は衝動。

衝動的に何かをするには、リスクがつきものなので、気をつけましょうね。

「さっ、また甘美パーティーの続きをしましょうね!!」

チリンチリン♪

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