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はじめてのストリップ観劇

去る9月18日(敬老の日)、生まれて初めてストリップショーを観劇した。一言でいうならアメイジング(最上級にすばらしい)でした…この感動を少しでも残しておきたく、感じたことなどを書いてゆこうと思います。もしかすると仕組みなど勘違いしていることもあるかもしれないですが、よろしくお願いします(たぶん長くなります)。

まず、なぜ「ストリップを観たい!」と思ったのか。これは完全に、憧れの歌人・桐島あおさんの影響である。高円寺で8月に開かれた桐島さんの個展におじゃました際、桐島さんと漫画家の岡藤真依さん、そしてストリッパーの黒井ひとみさんのトークショーにも参加した。お三方のお話はとてもおもしろくて何度も頷きつつ聴いていたら時間があっという間だったし、会話からお互いへのリスペクトが感じられるところもすごく良かった…
岡藤さんのことは存じ上げていて、以前から綺麗で切なくて素敵な作品だなぁ…と思っていたのだが、正直なところストリップは本当に未知の世界だった。

桐島さんの短歌✖️岡藤さんのイラスト(良すぎる)
ちゃっかり個展会場のノートも書かせてもらった

トークショーに参加した人の多くはストリップにも精通している雰囲気だったが、私のような参加者にもわかるよう進行してくれていたと感じる。
トークを聴きながら思ったことは、たとえば、ストリップショーは1回16分なんだなぁ、内容も音楽も衣装も全部踊り子さんが決めるんだ⁈自己プロデュース力がすごい、「どうげき」はたぶん劇場の名前なんだろうなぁ、など。
岡藤さんが描いた黒井さんのイラストなども見せてもらい(めちゃめちゃかわいかった)、まだ見ぬストリップへの期待が膨らんでいった。もともと演劇が好きだったこともあり、お芝居の要素があるところにも惹かれた。
何より、桐島さんの推しである黒井さんご本人が、気さくでチャーミングでクレバーでとても眩しかったことが大きい。9月に渋谷で公演があるらしい、ということを覚えて帰った。

インターネットで渋谷道頓堀劇場のホームページに辿り着く。18歳以上ですか?もちろんYES。そうか「どうげき」はここのことだったんだなぁ、と今さら一致する。黒井さんのお名前を発見する。「偶数回チームショー」?公演時間は4回目まで書いてあるから2回目と4回目にしか出演しないんだろうか?そもそも予約は必要なんだろうか?とわからないことがそれなりに出てきた。今度一緒にストリップ観に行きましょう!と言ってくださった桐島さんに思い切ってご連絡したところ、桐島さんもお目当てがあったそうでご一緒できることになった。なんてありがたい…うれしく、心強すぎた。

渋谷は、若者と建物と坂が多いなぁ、と来るたびに思う。待ち合わせしていた桐島さんにありがたく着いて行く。普段はあまりゆっくり通り過ぎないエリアに入ったなと思ったら、もう劇場に着いていた。大きな看板。渋谷の道頓堀。

受付。通常料金は5000円だけれど、女性は3000円でとても安く感じる。途中で抜けることもできるから、1日フリーパスのようなイメージなんだな。
祝日だから立ち見を覚悟していたが、開演まで30分を切ったくらいに到着するとまだ席は空いていた。缶のお酒を飲んだりしながら待つお客さんたちと、円形のステージを囲むような客席。最前列はさすがに埋まっているな、と思うとともに、想像以上にステージが近くて少し驚く。私たちは3列目の正面あたりに座った。大きなミラーボール。大学生の頃、ふと思い立ってひとりで人生初のクラブに行ったときのことをぼんやり思い出す。劇場はエアコンが効いていて涼しい。この日は残暑が厳しく寒さは感じなかったが、長時間なので羽織るものがあると便利と思う(トイレに行くときなど、席の確保にも使える)
上演待ちの時間、桐島さんの踊り子さん写真コレクションを見せていただく。かわいい…衣装もさまざまで、同じ方でも演目によって雰囲気が全然違うんだろうなぁと思った。

チャイムと、少しレトロなアナウンス音声。いよいよ始まる。暗転した場内に蓄光テープの小さな光。ワクワクする。暗闇のなかに人影が動いていて、クラゲみたいな大きなベールがうっすら見えた。

明転の瞬間、異界から踊り子さんが一瞬で現れたようでドキッとする。着物のような衣装にベールと扇子。この日トップバッターのeyeさん。BGMは私も大好きなバンドの曲でうれしくなった(ちなみにいまその曲を聴きながらこれを書いている)。
和楽器を使った幻想的な音楽にぴったりのアンニュイな表情、遠い眼差しに釘付けになった。綺麗…こんなに客席に近いのに、ここにいるのにいないみたいで、それを観ていることにゾクっとした喜びを感じた。人間に似ている神様みたいだと思う。もしくは意思のあるお人形かも。
表情に引き込まれて目が離せないな…え、ええ?身体表現がすごすぎる。こんなにアクロバティックなんだ!なんてしなやかな動き、糸で吊られているみたい。重力に抗うような、鍛え抜かれた肉体がなせるパフォーマンスだ。踊り子、だ。

曲が終わって暗転、終わり?ではなく一旦はけてすぐに登場。やっぱり踊りも表情も衣装も全部素敵…。回転しているステージが途中で高くなったりする。動く台の上で姿勢を崩さず踊れるの、すごくないですか…?
そして、いよいよ服を脱ぐシーンを見た。初めてこんなにまじまじと女性の体を見たと思う。自分の体だってこんなふうに見たことはない。ライトを浴びて薄いピンクに光る肌、こんなに綺麗なんだ…いやらしさより、芸術作品の美しさ。なぜ裸婦の絵画や彫刻があるのか、わかった気がした。部位というより、すべてつながって動いている体全体が美しい。涙腺が緩む。ポジティブな輝きを放っていて、同じ女性として肯定してもらえるような、自分の体も美しいのではと思えるような感覚があった。
開脚するときは拍手、周りに倣ったが、心から拍手したかった。躍動する肉体を通して、魂の美しさを見せてもらっているような心地だった。

演目が終わり明転。放心する私を、大先輩•桐島さんが優しい眼差しで見ている。「どうでした?」と聞かれると「す、すごい〜…」と言いながら思わず泣いてしまった。
その後、写真を撮れるコーナーがあり、あまりに感動した私は迷わず列に並んだ。500円で、踊り子さんの写真を1枚撮影できるのだが、2ショットでもいいらしい。迷ったが、桐島さんに勧めてもらい、初めて観に来た記念に2ショットをお願いした。eyeさんは、明るくてかっこいいギャル的な雰囲気が素敵で、演目中の神秘的な雰囲気とのギャップにグッときた。オドオドしつつ初めて観にきたことを告げ、カチカチになりながら写真を撮ってもらった(桐島さんありがとうございます)。写真の裏にサインやメッセージを書いていただけるとのこと、もちろんお願いした。500円でいいんだろうかと思った。
その後踊り子さんにおひねりを渡せるショータイム(たしかオープンショーという)があった。お札を受け取るときまでセクシーでカッコいい…。
「みなさま、お気を確かに〜」と言って去って行くところも最高だった。

このような流れのパフォーマンスを全員で5人の踊り子さんが繰り返してゆき、1回目の公演が終わった。一人ひとり書きたいがどこまでも長くなってしまうので、今回はこの辺にしておこうと思います。
踊り子さんそれぞれの個性がとてつもなく輝いていて、みなさんとても素敵だった…。表現の方法がさまざまで受ける印象が違うから、ストリップと一言に言っても、演目ごとに自分の心の動きがすべて違っていた。この方は海のような樹木のような、自然そのもののような美しさが肉体に宿っているな、など。
そして、黒井ひとみさんは、なんてチャーミングな方なんだろうと改めて思った。泣いているような、困っているような、かわいい表情。ストーリー仕立ての演目で、次は何が起きるんだろう?とハラハラ目が離せなかった。縄を使ったパフォーマンスもすごかった…大変セクシーでドキドキしました。声も出していいんだ、と思った。
そしてみなさんだが、演目が変わると別人のようになる。その表現力の高さに感動した。
演目の自由度の高さ、踊り子さんの分だけある個性、ストリップの奥深さを体感できたような気がします。チームショーも本当に素晴らしかったし、観ていいんですか!と思うほどエッチでした。

そして、踊り子さんとお客さんたちの交流もあたたかくて素敵だなぁと思った(サイリウムやタンバリンなどで応援している人もいた)観劇中、ふと目に入った推しを見つめるお客さんの眼差しが、なんとも言えず良かった。何度通っても、最高のパフォーマンスに魅せられているんだろうな、と感じた。

個人的に失敗したなぁと思ったのが、筆記用具を忘れたこと。場内はスマホ禁止なので、思ったことをメモするための手帳などがあると良い。今回は桐島さんに貸していただいた。何から何までありがとうございます…!

とりとめなく書いてしまい長くなりましたが、とにかく観に行って本当によかったです。すごい体験ができます、おすすめです。



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