【超短編小説】僕の告白。
「彼女に告白しよう!」
ずっと友達だった。その関係を壊したくなかった。それでも、彼女への想いは止められなかった。
だから僕は彼女に告白する。
では、いつ、どのような手段で告白するか。
拒否されたくはなかった。何よりもそれを恐れていた。
考えても、考えても、答えは出ない。
時ばかりが過ぎていく。
焦りがつのる。
早くしないと、彼女にいい人ができてしまうんじゃないか?
しかし、彼女に浮いた話が出ることはなかった。
なぜだろう。
彼女は本当に魅力的な女性で、同性、異性関わらず圧倒的に人気があったのに。
聞くところによると、彼女は交際を申し込まれても、断るのだという。
何を思っての事なのか?
もしかして、そういう話に興味がないのだろうか?
だが、彼女はよく僕に、
「私たちも早く結婚しなきゃねー。子供も欲しいし」
などというのだ。
ではなぜ。
もしかして。もしかする?
ある日、意を決してその言葉を口からだす。
「あ、あのさ。もし良ければだけど、付き合って欲しいんだ」
彼女は不思議そうな顔で、
「どこへ?」
と聞いてくる。
ああ。このパターンはマンガとかでよくあるやつ。
僕の気勢はすっかり削がれ、
「いや、やっぱいい」
と言う。
彼女は笑って、
「なに? なに? どこへ、付き合って欲しかったの? 場所によるけどいいよ」
僕は苦笑いすることしかできない。
「いや。ちょっとさ、付き合って欲しかった場所があったんだよ」
ああ、何言っちゃってるんだよ、僕。
「うーん。場所によるね。」
と、彼女。
「場所によるかあ。」
「うん、そう。そうだなあ、たとえば・・・」
そこで彼女は、ちょっと笑いの種類を変えると、
「二人の幸せな未来、とか?」
そう言って僕の方を見ないで笑っている。
その横顔を僕は驚いて見つめた。
僕は、しばし唖然としていたが、
「あ、ああ! そこそこ。僕もそこへ行きたかったんだった」
と、慌てて言う。
「そーなんだあ。いいよ。じゃあ行こうか、一緒に」
「う、うん」
そして、僕らはそこへ向かう旅に出る。
一緒に。
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