LGBTと同性婚

LGBT法案が国会で議論されている。保守系の記事を引用しながら反論するほか、考えをまとめたい。

保守系の記事への反論

1本目はこちら。
【LGBT法案】「百害あって一利なし」島田洋一福井県立大名誉教授 - 産経ニュース (sankei.com)

「逆に、米下院ではトランスジェンダー女性が学校の女子スポーツへの参加を禁止する法案が可決された。全米大学体育協会(NCAA)選手権女子自由形で、トランスジェンダーの自称女子選手が優勝するなど、女性の権利が切り崩される事態が起きているためだ。」

 「体は男で心は女の方」が女子スポーツに参加したら有利になってしまうため、女子スポーツへの参加禁止は(迷いはあるが)合理的だと考える。しかしだからといって性自認(心の性)を軽視するのは不適切である。MtFの方の「私は女だ」という気持ちは、ストレート女性の「私は女だ」という気持ちと同じだと推測される。よって性自認は自分で自由に選んだものだと切り捨てるのではなく、尊重されなければならない。

日本に黒人差別禁止に特化した法律はない。黒人差別がないためだが、似たことがLGBTにも当てはまる。キリスト教は宗派で違いはあれど、同性愛を罪深い行為とみなす考えは根強い。日本とは立法する上での条件が違う。

 第一に、黒人差別がないのではなく、人数が非常に少ないから(≠0)見えない。少ないからこそ、かかわることに慣れていないから恐れや無知により差別が生じると考える。
 第二に、日本にも、同性愛を罪深い行為とまでは言わないにしても、政治家の差別発言があったことからも分かるように、良く思っていない方々がいる。また「理性的にはLGBTの人権大事ってわかってるけど直感的には異性愛が普通っていう感じがしてしまう」という人は多いのではないか(私もそう)。

理解増進法案の問題は、何が差別に当たるかが明示されていないことだ。差別の解釈が恣意(しい)的に拡大され、活動家に悪用される恐れがある。問題の多い米国のLGBT差別禁止法案ですら差別の中身を具体的に列挙する努力はしている。

 具体的に列挙する努力は大事である。また線引きが曖昧でも法律ができている事例は多くある。薬の違法・合法の線引きは難しいと思われるが、覚せい剤取締法や大麻取締法がある。セクハラも線引きが難しいが、男女雇用機会均等法 等に規定がある。グレーの線引きが難しいからブラックを取り締まらないのは本末転倒である。

2本目はこちら。
【主張】LGBT法案 女性守れぬ危うい代物だ - 産経ニュース (sankei.com)

人の内心は分からない。申告により性を決める「性自認」は、極めて危うい結果をもたらす恐れがある。男性が、自身は女性だとして女子トイレや女湯に入った場合、混乱が予想される。カナダでは4月、トランスジェンダーを自称する男が女性施設に入り、女性に性的暴行を加えた疑いで逮捕される事件が現実に起きた。

 性自認が危うい結果をもたらす恐れはあるが、だからといって性自認(心の性)を軽視するのは不適切だろう。上で述べた通りである。
 しかし、トイレや風呂等、犯罪を防止し安心感を確保するために男女を分けているところでは、体の性のほうを使うのが妥当かもしれない。ここは女性の人権とLGBTの人権が対立する箇所であり、ここはLGBTの方が妥協せざるを得ないかもしれない。

G7で同種の法律がないのは日本だけと喧伝(けんでん)されるのは誤りだ。法律は、各国の歴史や文化、宗教に基づく価値観に沿って制定される側面がある。日本は憲法や男女雇用機会均等法などの法律で差別の禁止や平等原則を定めている。取り沙汰されるLGBT法案が権利の侵害を招くようでは元も子もない。差別禁止としながら、女性を守れない法律は不必要だ。

 LGBTに関する平等原則はあるのだろうか。また政治家の差別発言からも分かるように、差別は存在している。だから法律を用いて強力に是正する必要がある。LGBTの権利と女性の権利を両立する方法を模索するべきだと考える。

その他

全体的な意見

保守派の方々は「男が『心は女だ』と言い女子風呂に入ること-(A)が許されれてしまう」「(A)に反対したらLGBT差別だと言われてしまう」と考えているらしいが、(A)は許されない。
今のところ私の考えとしては
服装等周囲に悪影響を及ぼさないもの→性自認尊重
トイレ・風呂・スポーツなど合理的理由があって男女分けされているもの→
トランスジェンダーの方に妥協して頂く必要性があるかもしれない。「女性が犯罪に遭わないことや公平性」のほうが重要であるため。
と考えている。
ただその一方でトイレは使用頻度が高いから心の性のほうが当事者としては楽なのではないか?服装や性別適合手術の状況によっても変わるのでは?風呂と異なり体の形が見えにくく、使用が一時的なので融通を利かせても良いのではないかという気持ちもある。

重婚の是非

同性婚を認めるなら重婚も認めるべきでは、又は認めざるを得なくなるのではという意見がある。同性婚も重婚も
・そういう性的志向を持った方がいる(→ポリアモリー - Wikipedia)
・動物にもいる
・現在の日本では認められていない結婚形態
という共通点があるため、少数者に配慮せよというのであれば重婚も認めたほうが良いことになる。
考えがまとまっていないのでリンクを貼っておく。
米国 同性婚の次は複数婚?3人以上の関係も認める動き | The Sekai Nippo DIGITAL (worldtimes.co.jp)
同性愛者3人の共同生活、結婚は認められるべきか | 恋愛・結婚 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)

憲法は同性婚を認めているか

以下が憲法24条の条文である。

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

「両性の合意のみ」が論争になっているようだが、直感的に、「(周囲の圧力じゃなくて)二人の合意のみ」というように読める。また当時は異性婚が当たり前だから「両性」という言葉を使ったのではないだろうか。もし「(同性じゃなくて)両性」を強調したいなら、「婚姻は異性間で行われるものとする」あるいは「同性間の婚姻は禁止する」という文になる気がする。よって、同性婚を禁止しているのではなく、考えていなかったと推測される。

まとめ

当事者でない人間が口出して申し訳ございません。一つの意見にすぎないことをご承知おきください。また文章内主張が矛盾している箇所があるかもしれませんが、女性の人権とLGBTの人権の狭間で悩んでいる証拠です。ご承知おきください。当然ながら差別は許されません。



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