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夏の終わりの海

君は海派?山派?と聞かれたら、迷うことなく「がち海派だよ」と答える。
これはおそらく、幼少、少年期にどんな風土で育ったかで決まってくるの
だと思う。
毎日山を眺め、その懐で育ったならば、山に抱かれている安堵感がその人
の感性を育むはずだ、と今は高尾山の目の前に住んでいるので良く分かる。
 
自分は大人になるまで、とりわけ海のすぐそばで育ったわけではないが、
頭の中の絵日記に描いてあるのは山ではなく、海ばかりだ。
父親に連れられて釣りにいった横浜港のヨットハーバー、京浜急行で三浦
海岸までの間に幾つもあった海水浴場、大きくなって仲間と通った湘南の
砂浜、狭い船室に詰め込まれて向かった伊豆七島・・・。夏の思い出は海
と共にあると言っていい。
さらにその追憶は、光に溢れたキラキラの7月の海、そして少し影のある
けだるく感傷に包まれた8月後半の海に分かれる。
どちらも良いが、どちらかを選ぶとしたら、夏の終わりの感傷的な海の方
が好きだ。理由は説明できず、ただ好きなのだと言うしかない。

さらに、そんな感傷的な気分を代弁してくれる歌があり音声投稿しました。
晩夏の湘南を舞台にした、懐かしく切ない映画主題歌です。


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