薬屋のひとりごと ☆51
朝から歯医者に行く。
待合スペースには『薬屋のひとりごと』を使った厚生労働省のポスターが貼られていた。(上タイトル画像)
「これ、毒です。
特定の薬の飲み合わせで毒にもなることをご存じですか?」
などとポスターには書かれている。
既にお国が認めるほどの大人気マンガ(アニメ)になっていると言って良いのかも知れない。
物語は、大陸の中央に位置するとある大国の後宮が舞台となっているのだが、中国の唐時代をモデルにしているらしい。
私は中国の歴史にとても興味を持っている。唐は、かの国の歴史の中でも最も栄え、華やかに彩られた時代だと言って良いだろう。
杜甫、李白、楊貴妃、玄宗、安禄山、李世民、玄奘三蔵、則天武后など、聞いたことのある名だが、みんなこの時代の人である。
弘法大師が渡ったのもこの時代だから日本人にも馴染みがあるだろう。日本もそうだが、世界中の国から唐を目指して人も文物も集まって来た。この時代の文句なくトップの先進国であった。
『薬屋のひとりごと』はそれを模した世界なのだ。主人公猫猫(マオマオ)は薬屋で、祖父から薬学を習い、精通していたが、薬草を摘んでいるところを人さらいに攫われて、後宮に売りとばされてしまう。
頭が良く、字も読み書き出来、美しい猫猫だったが、彼女は平穏を望み、わざと醜く化粧し、文盲のふりをしていたが、好奇心が強く、後宮で起こった連続不審死事件を解決してしまい、有能であることがバレ、毒見役に抜擢される。なんとか目立たないように、地味に生活したいと願う猫猫なのだが、その後も次々と難事件を解決してしまうのである。
だが、猫猫の特性は薬オタクであるという事だ。彼女は男にも出世にも金にも興味はないが、
薬の事になると目の色が変わる。
かなり危ないタイプの、1歩間違えればジャンキーになってしまいそうなくらい、薬でトリップしたり、気持ち悪くなる事も厭わない変態だ。ヘンタイなのに可愛いから許されるのだろうか??
ただ、猫猫の求めているものが、私には何となく分かる。
何故なら、私は中島らもの大ファンだからだ。猫猫は薬オタクと書いたが、むしろ毒オタクか?実は薬も毒も同じものなのである。
少量の薬を大量に飲めば毒になるし、毒も少量適度に飲めば薬となるのだ。このような事は大体 らもさんの本から教えてもらった。らもさんは、毒を求める人であった。
そう、似ても似つかないが猫猫はらもさんである。
らもさんから学んだ事は毒のことだけではない、人生とは何か深いものを受け取ったような気がする。
けれどらもさんは、晩年アル中となり、階段から転げ落ちて亡くなった。
らもさんは達人だが、劇薬みたいな人である。
らもさんの特性を持つ猫猫を、厚生労働省のポスターに起用して、果たして大丈夫なのか????
今は、杞憂に終わることを祈るのみである。
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