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三重Love ☆102

むかし、仕事で3ヶ月くらい三重県に住んでいた事がある。

三重県の方言は近畿方言に属する、要するに関西弁だ。三重の人に「関西弁ですよね?」と念をおすと、「いや、本当の関西弁とは違うんやが」と返される事が多いが、まあ、関西弁の1種なのだろう。

関西弁は非関西圏の人が聞くと、とても面白い。普通の会話が漫才のやり取りみたいに聞こえるし、

同じ言葉でもイントネーションが違うから、全く別のものに聞こえたりして、話の流れや前後から推察し「あ、そういう意味か」と2瞬くらい遅れて合点したりする。

その繰り返しが、また楽しいのである。関西弁には古語や、古い言い回しがそのまま残っていたりして、それに気が付くのも嬉しいのだ。

三重にいた3ヶ月の間、休日毎に京都奈良名古屋、足を伸ばして大阪神戸へ遊びに行ったものだ。特に京都は何度も行って探索したのである。

三重の人とも仲良くなって、伊賀の忍者村へ連れて行ってもらったり、松阪伊勢神宮にも行った。

本当に毎日が充実していて、楽しくて、このまま三重県に住んでも良いのにと思ったくらいであった。

そのような日々を過ごしながら、ある日三重のローカル線に乗ってのんびりしていると、

ガラガラだった車両に、ワラワラと小学生達がたくさん乗り込んで来て、

元気に軍艦じゃんけんを始めたのである。

懐かしい、私も子供の頃に友だちとよく遊んだものだ。

やり方は普通のじゃんけんとほぼ同じなのだが、グーが「軍艦」、パーが「ハワイ」、チョキが「チビス」と呼ばれ、

「軍艦、軍艦、ぐ~んか~ん!!」

だとグーを2回振って最後もグーを出す。

「ハワイ、ハワイ、チ~ビス~!!」だと、パー、パー、チョキだ。優劣はじゃんけんと同じという、他愛ないけど、やってみると結構面白い遊びだ。

しかし、彼らの掛け声は私の知っているのと少しだけ違っていた。

チョキは「チビス」ではなく「沈没」と言っているのだ。??

驚いた、なるほど、軍艦、ハワイ、沈没でパールハーバーじゃないか!!
チビスより意味が繋がる!こちらの方が正しいだろう。

私は『悪魔の手鞠唄』を解決した時の金田一耕助ばりに衝撃を受けた、時空を越え、大きな謎がいま解けた感動に震えた。

でも、じゃあ「チビス」ってナニ??

私は髪の毛を掻きむしった。私が夢中で遊んでいた、あの「チビス」は一体何だったんだ??

沈没なら素直に「チンボツ」と、そのまま地方にも伝わりそうなのに、「チビス」に変化した理由が分からない。

少し調べてみると、軍艦じゃんけんは、地方によって、時代によって様々なバージョンがあるようだ。

チョキを「ピーナツ」と言ったり、朝鮮、チェス、艦長、長官、チョビス、チマ、ピストル、ピストン、などと言われているようだ。

ふーむ、でもやはり、三重での衝撃は忘れがたく、「軍艦」「ハワイ」「沈没」が1番意味がハッキリして、スッキリするように思うのだけどな。

地方を旅していると、言葉にハッとさせられる事が、時々あるのだ。

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