子供のままで ☆76
来年の誕生日で還暦を迎える予定なのである(今日が誕生日という意味ではない、念のため)。
つまり、干支で1周して、新たに生まれたようなものだと、寿命の短かった昔は還暦を長寿として祝ったのだが、
医学が進歩し、栄養が行き届いている今の日本では、60歳で亡くなったら短命だと嘆かれると思う。
60歳で亡くなった人は、私の大好きな藤山寛美。それから手塚治虫、石ノ森章太郎も60歳で亡くなっている。
けれどこの人達は皆天才と言われ、尚且つ命が擦り切れるほど頑張って仕事し過ぎたから早死にしたのだと思う。
徹夜ばかりしてたから彼らは早死にしたのだと吹聴していたのは水木しげるなのだから、本当にそうなのかも知れないが、
好きな仕事のやり過ぎで死ぬのは、本望であり、幸せな終わり方かも知れない。
この頃、私にとって60歳とは何だろうと、考えてしまう。単なる通過点なのは、たぶん間違いないのだけれども、
55歳にして何もかも失ってしまったから(『書く ①』参照)、そこからもう1度やり直せという意味なのだろうか。
記事の間に近況を小出しに伝えているけれど、私は通信教育を始める。昨日、学生証が届いたので4年以上は勉強を続けるだろう。
通信教育だが、おそらくそんなに簡単ではない筈だが、もう1度勉強し直したい。
そしてもう1つ、
昨年の話だが、温泉で漫画を読んでいて、1つの傑作に出会った。
東村アキコ『かくかくしかじか』だ。
これは、読んでいて泣いてしまった。東村アキコの半自伝と言うべきか、
作者の代表作は『海月姫』、『主に泣いてます』『東京タラレバ娘』と映画化、テレビドラマ化した作品が幾つもある実力派だが、
もともと絵の才能を鼻にかけていて(美術部入部して天狗)、漫画家を目指していた彼女は、
地元の絵かき、日高先生の絵画教室に通う事になって絵を完膚なきまでに叩き直されるのである。
作者東村アキコというよりも、この日高先生(本名は日岡兼三)の生き様に泣けたのだか、
日岡兼三は57歳で亡くなっている。絵を描く事が彼の全てで、何のために絵を描くのか?という疑問すらなく、
ひたすら絵に、描く事に人生を集約させた、ブレない人である。
絵画って何?絵描きは儲かるの?それより漫画家の方が儲かるよ。
そんな疑問にも、この作品は答えてくれる。彼の生き様を知ってしまったら、何だか、
私も何十年ぶりかで絵を描きたくなってしまった。
60歳から描く絵は、どんなものになるのだろうか。
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