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透明 ☆83

「ムーミン」に出てくるキャラクターでニンニという少女がいる。

彼女は、いじわるで皮肉屋のおばさんと暮らしていたが、毎日まいにち皮肉を言われ続けた挙句、臆病になり、だんだんと姿が薄くなって、ついに透明人間になってしまった。


顔も服すらも見えなくなって、あとはリボンと鈴だけしか残っていない。声すら発する事も出来なくなって鈴だけがチリーン、チリチリーンと鳴って、彼女の存在をかろうじて表しているだけなのだった。

そんな事情の彼女は、ムーミン一家がしばらく預かる事になるのだが、ムーミン達の優しさに、心が折れていたニンニも次第に心を取り戻し、少しずつ姿が見えるようになり、

残るは、あと顔だけが見えない状態まで来る、声もか細くだが話せるようになってきた。

顔のないニンニも、シュールで悪くないのだが、そんな彼女にミイは言い放つのである。

「それがあんたの悪いとこよ。戦うってことを覚えないうちは、あんたには自分の顔はもてません。」

ミイの意見は辛辣のように響くが、ニンニは叫ぶ事が出来るようになり、顔を取り戻し、闘う事も覚えて、またおばさんと暮らす事を選ぶのである。

やっぱり、か弱くて儚げで消え入りそうなニンニよりも、

明るくて元気で、強いニンニの方が良いなと思う。けれどこのどちらもが、両方とも同じニンニなのだけれども。


仕事と勉強の合間にアニメを見ている。昨日見て面白かったのは『日常』長野原みお だった。

彼女は女子高生、
祐子、みお、麻依の仲良し3人組だが、祐子(ゆっこ)は明るく元気な天然娘、ちょっとおバカさん。

みおは頭が良いが、オタクで常識人。3人の中ではツッコミ担当。

麻依はとても無口な優等生だが、祐子やみおが引く程のボケを平然とかましてくる。

で、この みおがオタクで漫画家を目指しており、美少年の裸ばかり描いている(授業中でも)。いわゆる腐女子なのだが、まだ祐子にもその事はカミングアウトしていない。

宿題をやったノートにすら、つい美少年のエッチな作画をしてしまい、後で思い出して慌てたり、

男名で作品を出そうとする所を、警察官に呼び止められ、言動が少し不審なので持ち物検査しようとする所を(そんな事されたらBLの恥ずかしい作品が見られてしまうので)、

神業のような速さと身体能力で、警官、傍にいた祐子、通りがかりのヤギを瞬殺して、漫画原稿を守るのである。


日本では、腐女子が世間から認知されて来ているが、夢中になって描いている本人ですら、カミングアウトするかどうかはまた別問題なのだろう。

腐女子に関しては深い考察が行われているようで、調べてみたら結構深くて簡単にはまとめられない。

日本では何となく認知されているが、国によっては法律で禁止されたり逮捕される所もあるようだ。

私からしたら、ぜんぜん無害だと思うのだが、屈折の仕方が面白いと思うのだが、

そんなのは有害図書だと考える方々も居られるようだ。

自作を他人に見られるだけで、パニックになる みおだが、もう少し大人になったらコミケなどで売るようになって、

圧力なんかに動じない、筋金入りの腐女子に成長するのだろう。

ねえ、ムーミン?

※加筆・私の知っている腐女子の人は、50近くで毎年コミケに参加しているが、普通に結婚して娘も大学生になっている。趣味と実生活は違うので、悩んだり、恥ずかしがる必要はないのである。

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