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三月記 3/6

令和 6 / 3 / 6 (水)
天気 曇り  気温 1 ~ 6 ℃

 朝方になって気温が下がって来ました。忍びの術で、朝食の準備をしているのに、気温低下に体が反応して、くしゃみを二回してしまった。
 ここで、昔なら殺られてしまうのだ。気分を変えて大丈夫、誰も気付いていないと、言い聞かせる。

朝食の準備が終わった頃、階段を降りてくる足音がした。
(ヤバい、気付かれたか?)
 息子だった。トイレに入り、また二階に戻って行った。(ホッ、)
 大丈夫みたいだ。

今の私の一番の苦手は、息子だ。
なんか、マウンテンを取っている気がする。まぁ、一家の主だからしょうがないのだが、私に一番辛く当たるのだった。

ある意味、愛情の裏返しだと思う。
私以外に、誰にも甘えられないのだ。
 何せ、一家の主なのだから。

息子が結婚すると大抵、こんなパターンになるようだ。何故そうなるのか心理的現象を私は知らないが、何となく分かる。

実際、私が夫のせいでパニクッタ時、息子に当たった事もあったのだから、
情けないけど、母親だって完璧ではないのです。

私がどんなに息子を愛していたか、伝わらないのです。だって、息子はすっかり忘れているのだもの。
 それでも、彼が自分の息子と接しているのを見ていると「良いお父さんだな~。」と、思います。
 息子は、忘れているけど、私が息子と接したようにしているのです。
私の背中を見て育ったからだと思います。

私は、子供達が、思春期になった頃、あれこれ子供達には言わないようにしました。その代わり、自分の背中を見せようと頑張りました。その時は、分からないけど、大人になったら感じる物があるのではないかと…。

でもねぇ~、今の息子は、余りにも逞しくなり過ぎて、ある意味マウンテンゴリラに見えます。
 可愛いとは、程遠い容姿なのですが、時々、彼の背中をみて、懐かしい思い出に浸るのです。

─ 完 ─

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