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若草日記 5/29 曇り一時雨

令和 6 / 5 / 29 (水曜)
天気 曇り一時雨  気温 14 ~ 16 ℃

 朝目覚めた時、雨垂れの音が聞こえていた、いつものように。
 静かな朝だった。

 私の頭の中で、流れるメロディー。

 どこから 春はやってくるのか?
 しらずしらず 大人になった。

 米津玄師の「さよなら いつかー」
 何度もなんどもリフレインする。
 メロディー。

 こんな雨の日によく似合う。
 こころもよう。

 怠さは相変わらず、私の背中に押し掛かる。雨季の気圧が体全体にかかり、あちこち痛いのだった。
 いやそうではない、草取りをしたからだ、日曜日の贈り物なのだった。

 ホームセンターでは、ミニトマトの苗は売っていなかった。萎れた五鉢が、隅に打ち捨てられていた。
 大葉も当然なかった。それらの時期は5月の連休が最盛期のようだ。
 私は、打ち捨てられた鉢の中から、少しでも元気な者を購入しようと思って、触れてみた。可哀想な苗たち。

 私は、暫く考えてから冷たく他を当たってみることにしたのだった。
 だが、近くのスーパーにあったのは、これも又売れ残りの小玉のトマトの苗と胡瓜の苗だった。

「ミニトマトは諦めよう。この「桃太郎」の苗でもいいじゃないか。」

 想像の中の夫が優しく話しかけてくる。
 
「そうよね、小玉のトマトも美味しいわよね。」

 そう、言いながら残っている二三鉢を手に取り見定めてみる。

「あなた、胡瓜もどうかしら?」

「そうだね、そうしよう。」

 何とも素敵な夫婦の会話だろう。
私にはあり得ない風景。

 想像を追いやり、店に入って、いつもの親子丼の材料を購入する。

 今、庭には二羽鶏がいる?
 今、庭には桃太郎のトマトと胡瓜が植えられている。

 勿論、離ればなれに植えた。そうしないと喧嘩が始まるのだった。
 二つの苗は並べられない。程よい距離が必要なのです。
 私の夫のように。

 それでも、胡瓜には、小さな黄色い花が二三個ついているのだった。毎日の私の楽しみになるはずです。

 おそらく、夫も散歩をしながら眺めるでしょう。
 そして、私に隠れて水やりもするかも知れません。

 私には解る。

 梅雨入りの空を眺めながら、誰かが微笑んでいるのを…。

─ 🍀 ─

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