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[モラベックのパラドックス]このAI時代に生き残る仕事を考える

どうも、NekoShadowです。今回はモラベックのパラドックスからこのAI時代に生き残る仕事を考えたいと思います。

モラベックのパラドックスとは?

モラベックのパラドックス(Moravec's paradox)とは、1980年代にAI•ロボット研究者であるハンス•モラベックらにより提唱されたパラドックスであり、「AIにとって高度な推論よりも感覚運動スキルの方が多くの計算資源を要する(難しい)」というものです。
高度な推論というのは大学レベルの難解な数学や物理学、将棋や囲碁などのことであり、感覚運動スキルとは「歩く」「走る」「物を掴む」等の子供でもできるようなことです。
つまり、かみ砕いて言うならば「AIにとっては我々にとって簡単なことが難しく、我々にとって難しいことが簡単である。」ということです。
これは我々にとって受け入れがたい結論でありパラドックスに該当します。

モラベックのパラドックスの理由の考察

モラベックは次のように述べています。

人間の脳の感覚と運動に関する部分は、自然界で十億年間経験し生き残ってきたことで高度に進化してきた。我々が推論と呼ぶ意識的プロセスは、より古く強力な通常は意識されない感覚運動的知識によって支持されなければ意味がない薄いベニヤ板のようなものだと私は信じている。感覚と運動の領域では我々はみな並外れたオリンピック選手であり、難しいことも簡単にこなすことができる。しかし抽象的思考は新たな技であり、おそらくここ10万年で発展してきたものである。我々はそれをまだマスターしていない。それは本質的には難しいことでは全くない。単に我々がそれをしようとするときに難しく思えるだけである。

ここで、この主張をもとに僕は次のように考察しました。

考察:人間が外界を認識したり、空間を走り回ったりするなどの感覚運動スキルは約十億年間もの長い間経験してきたため高度に進化しているので難しい事であるが、それらは無意識化で動くことがほとんどであるため我々には簡単に思える。
これとは逆に抽象的思考は約10万年という比較的短い期間で進化してきたものであるため難しいことではないが、その期間が短いが故に我々はまだそれをマスターしておらず、難しく思える。

証明されつつあるモラベックのパラドックス

モラベックのパラドックスは仮説に近いが、そのモラベックのパラドックスが近年、ChatGPTやAlphaGoなどの登場によりある程度証明されつつあると言えるでしょう。
実際にこれらのAIのような専門的な問題を論理的に解答できるAIが存在する一方で、画像認識や空間の移動などの感覚運動スキルについては人間並みのレベルに完全に達しているAIは存在しません。
この現状こそがモラベックのパラドックスを証明しつつあると言えるでしょう。

このAI時代に生き残る仕事を考える

先ほど述べたようにモラベックのパラドックスは証明されつつあるのでモラベックのパラドックスを認めて、最後にこのAI時代に生き残る仕事を考えていきます。
僕の結論は一言で雑にいうならば「ホワイトカラーは危険、ブルーカラーは当分安泰」ということになるでしょう。
感覚運動スキルよりも高度な知的作業の方がAIにとって簡単ということを考えると上記のような結論に至りました。
もちろん、ホワイトカラーのすべてが危険、ブルーカラーのすべてが安泰というわけではなく、そういう傾向があるだろうという話です。
実際に、認知心理学者のスティーブン・アーサー・ピンカーは以下のように述べています。


35年に及ぶAI研究で判明したのは、難しい問題が容易で容易な問題が難しいということである。我々が当然なものとみなしている4歳児の心的能力、すなわち顔を識別したり、鉛筆を持ち上げたり、部屋を歩き回ったり、質問に答えたりといったこと(をAIで実現すること)は、かつてないほど難しい工学上の問題を解決することになる。…新世代の知的機械が登場したとき、職を失う危険があるのは証券アナリストや石油化学技師や仮釈放決定委員会のメンバーなどになるだろう。庭師や受付係や料理人といった職業は当分の間安泰である。

この発言はまさにモラベックのパラドックスを認めたうえで、AI時代に生き残る仕事を考察しているものですね。
これは僕の結論と非常に近いものがあるのではないでしょうか?
モラベックのパラドックスを認めてこの結論に近いものが出てくるのはごく自然であると思います。
ただし、一点注意するべきなのはAIの進化は非常に速いということです。そのため、すぐにAIが感覚運動スキルも人間程度に扱えるようになり、ブルーカラーにもすぐに大きな影響を与える可能性も否定できません。

この記事を最後まで読んでくださりありがとうございます!
今後もAIに関するトピックについて、記事を投稿していくつもりです。
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