コミュ強への道は遠い

朝から汗をかきつつ大学へ。学割を発行して昼には新幹線に乗りたいが為に、わざわざ遠回りをしている。お盆期間前に発行しておくのを忘れたせいで、なんともまあ面倒な羽目になってしまった。数十パーセントの割引率ではあるが、金欠大学生にとってはなかなか大きい。大学までの定期の期限が切れてなくてラッキーだった。

するっと言葉が出てくる人になりたい。
お喋りやスピーチのように、話すことが予め分かっている場面では割とすらすら話せる。しかし1人で移動中など、完全に気を抜いているタイミングでは言葉が喉につっかえてしまう。
先日電車に乗った際、目の前の女性が席を立った拍子にカバンから財布が落っこちた。彼女は気付かずそのまま降車しようとしたため、慌てて拾い上げ声を掛けたのだが咄嗟の事で何も出てこず、

「ア…アノ……コレ……オトシ……」

と言うのが精一杯。カオナシかよ。
幸い彼女は目の前の財布を見て全てを察し、ありがとうございますと言ってくれたのだが、いくらなんでも気持ち悪すぎるだろうと後悔。今後周囲の人に不快感を与えないためにも、これからは咄嗟に言葉が出てくる人になろうと決意したのである。
さてこんな風に腹を括った上での今日だ。近くのドアから小さなお子さんを2人連れたお母さんが乗車し、お子さんをわたしの隣の席へ座らせようとしていることに気がついた。幸いわたしの座った場所の周囲には幾つか空席があり、わたしが席を立ちさえすれば丁度親子3人並んで腰掛けることができる。そこでわたしは素早く立ち上がり、お母さんに宜しければお席どうぞ…と声をかけようとした瞬間、

「あっ…!ありがとうございます!」

なんということでしょう、優しそうなお母さんに先手を打たれてしまいました。
あ~~~そのパターンは予想してなかったどうしよう何か言わなければと思考を巡らせることコンマ数秒、

「イエソンナトンデモナイデスヨロシケレバドウゾッ!!!(小声早口)」

そして逃走。隣の車両まで移動して一息。

ああ本当に、心から、まともなコミュニケーションがとれるようになりたい。

2022/08/22

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