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ぎゅっと掴んで。ぱっと離して。

ぎゅっと掴んで。ぱっと離して。
弓をぎゅっと掴んで。ぱっと離せば簡単に矢は飛んでいく。
引き金をぎゅっと掴んで。ぱっと離せば簡単に鉄砲玉は飛んでいく。
レバーをぎゅっと掴んで。ぱっと離せば簡単にスプレーは噴射する。


きっとどこかでいつも人はぎゅっと掴んで。ぱっと離してを繰り返しているのだろう。
地面を足で掴んで離せば歩けるし、頭の中で言葉を掴んで口で離す。
今、これを書くのも50音のどれかを画面上で掴んで離して文字を打っている。


掴んだものは簡単に離れるのだ。
勝手に離れていくときも、自分から離すときも。
掴んだ力が強ければ強いほど、遠くに飛んでいく。離した方向が高ければ高いほど遠くに飛んでいく。
今掴んだ何かも、これから掴む何かも、きっとどこかへ飛んでいく。
束縛しすぎたらきっと友人や恋人は自分から離れていってしまうかもしれないし、親の思うがままにしつけられたら子は親元を離れていってしまうかもしれない。
離れてはいけないものはなるべく掴んでおきたいし、離してはいけないものは力を込めて掴みたい。


ただ、何事も掴んだものは離れてしまうのであれば、離れても自分が狙った場所に届くようにね。弓矢みたいに。離れても拾いに行けばすぐに掴める。
それが良いときもあれば悪いときもあるけど、良い方に向かえばいいな。


無鉄砲でも投げやりでもなく、しっかりと照準を合わせて。
ぎゅっと掴んで。ぱっと離して。

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