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やーくんの世界旅

【やーくんの世界旅その日いきなりやってきました。
一人娘のユウリちゃんのママはユウリちゃんが3才の時にお月様になりました。

その日波が打ち寄せる波べで、
ユウリちゃんのばばが、ユウリは新しいママが欲しい?と聞くと
『おかあさんはひとりでいい!』と、お父さんにむかってなん度も大声で言いました。
お父さんはユウリちゃんの小さなからだをぎゅっとして誓ったのです。
あしたからユウリと2にん3きゃくでいきていこうと。


その日から16年経っていました。
『お父さんのからだじゅうに癌が散らばっていて、
何もしなければ半年の命、治療しても1年もつかどうか、どうされますか』
病院の先生が言いました。
お父さんはそくとう、もちろん治療をします。始めてください。
ユウリちゃんに目をやると強くうなずきました。
あの日、浜辺で誓ったときのユウリちゃんの瞳でした。
16年前となにも変わらない父と娘のすがたがありました。


それから4年経ちました。
2にん3きゃくはかみあったり、くるったり親子といっても、それぞれの個性があるのは自然なことであるはずで。
枝は色んな方向に、それぞれのタイミングで、それぞれのいろんな花を。
でも、同じ根、幹であることでは間違いなく。
今を生きることに思い上がりたくないと思う。
やーくんの世界旅の始まりです。】

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