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世界でいちばん大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー

資本主義を社会の最大の課題を解決する「高潔な力」と呼んでいる。その意味では、この考えはマイケル・ポーターと完全に一致する。ポーターは企業のリーダーに向けて「共有の価値観(シェアードバリュー)」を作り出すことで社会に貢献すべきだと呼びかけている。

ビジネスというのは勝者と敗者を生むゼロサムゲームではない。win-win-winで全員が勝つゲームであるべき。

「誰かが得をすると損をする者が必ずいる」というトレードオフ的な考え方をしがち。

自社はなぜ存在しているのか?なぜ存在する必要があるのか?
どのようなコアバリューが企業を活性化させ、すべてのステークホルダーを一体化するのか?

コンシャス・キャピタリズムは企業の社会的責任(CSR)とは違う。「グリーンウォッシュ(うわべだけの環境活動)」とみなされるものではない。P51

目的=自分が世界をどう良くしたいのかを語ること
使命=その目的を実現するために実行されるべき中核的な戦略このと
ビジョン=自分たちの目的があらかた実現した暁に世界がどのように見えているのか、という生き生きとした想像上の概念または光景

最高の幸福を得ようと思えば、それを直接追い求めるべきではない。同様に、最高の利益を得るには、それをビジネスの第一目標にしないことだ。それを直接の目標としないことで最高の結果が得られるのだ。

真=知識の発見と増進
善=他の人々への奉仕(健康、教育、意志伝達、教育の質の向上)
美=卓越さと美の創造
高潔さ(heroic)=世界を変え、改善するために正しいことをする勇気

長期投資という言葉は類語反復です。なぜなら投資とはそもそも長期的なものだからです。「短期的投資」はそれ自体が矛盾した用語だと思います。

遠い将来に起こり得る結果を考えずにそのような短期的な利益アップを図っていると、競争力は奪われ、将来に利益を生み出す能力は削がれてしまうだろう。(株主価値と利益最大化の弊害)

リーダシップとマネジメントは同義語ではない。リーダシップとは、変化と変革を促す力のことだ。マネジメントとは効率性の高さと実践力だ。
リーダシップとマネジメントはいずれも必要なのだが、正しいバランスでお互いを補完・調和し合わなければならない。

コンシャス・リーダーは、分析的知能(IQ)、情緒的知能(EQ)、精神的知能(SQ)、システム知能(SYQ)が非常に高いため、組織に最大の能力を発揮する時には奉仕の重要性を痛感している。ほかの人々に手を貸すと個人的に幸せな気分になれることも知っている。(サーバントリーダーシップ参照)

人々と会社の存在目的への奉仕を何よりも重視するリーダー(ほかの人々を育て、やる気にさせるリーダー)が率いる企業では、「個人レベルでは平和と幸福、コミュニティでは尊敬と団結、そして組織にとっては職務の達成」が実現する。

意識が変われば、行動が変わる。行動が変われば、習慣が変わる。習慣が変われば、人格が変わる。人格が変われば、運命が変わる。

掃除をする人が、ほうきを選ぶべきだ。
ルールを極力なくし、自分と他人が自主的に考える風土をつくろう。(エンパワーメント参照)

利益第一主義の企業では、顧客の幸福は利益の最大化という最終目標の手段にすぎない。コンシャス・カンパニーでは、顧客の幸福はそれ自身が目的である。

コンシャス・キャピタリズムについての我々の夢は単純だ。「いつか、あらゆる企業が存在目的を意識して活動し、すべてのステークホルダーの利益を統合し、コンシャス・リーダーを育てて登用し、信頼と説明責任、思いやりの文化を築き上げる日がやってくること」。



【感想】
良い本でした。CSV経営戦略と合わせて読みたい本ですね。特に短期的数値として株主価値を向上させることの弊害は、現在の資本主義の弊害を如実に現していると思います。脱成長というワードが注目されるというところにも繋がっていますね。


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