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1-12.会社は社長とコンピュータとパートタイマーがおったら動く。 しかし、新しく仕事を始めることはコンピュータとパートタイマーではできない。

会社は社長とコンピュータとパートタイマーがおったら動く。
しかし、新しく仕事を始めることはコンピュータとパートタイマーではできない。
 ダイエー会長 中内 功

 ダイエーの中内功は、
「会社は社長とコンピュータとパートタイマーがおったら動く。仕事をやるだけやったら、マニュアルとチェックリストがあればできる」
と語っている。
 ただし、この言葉には「……しかし、新しく仕事を始めることはコンピュータとパートタイマーではできない」が続いている。

 そもそも、社員という考え方すら必要ないのではという意見もある。ミスミの社長・田口弘である。

 ミスミは機械工具、部品などの商社であるが、標準品を中心に扱うことで、カタログ販売を実現し、セールスマンのいない商社として知られている。取り引きには電子メールなどを日常的に使う。生産財の商社としては実にユニークだ。

そのミスミ社長田口弘はこういう。

「固定した組織を持ってはいけない。顧客優先を貫くには、市場の変化に合わせて企業の構造も変わらねばならない。人事部や総務部などは持たないほうがいい。」

 組織があると、組織に合わせて仕事をするようになるが、正しいのは仕事に合わせて組織を作ることだ。

 しかし、そのたびに組織を組み替えなければならない。そうした弊害を避けるためには、組織をなくしてしまうほうがいい……というわけで、実際に総務部門をなくしてしまったのがミスミである。

 そのかわり、社員に自分のやりたい仕事を提案させ、それが役員会で承認されたら、その提案者がリーダーになって社内でチームメンバーを公募し、組織を作る。その仕事がなくなれば、組織も解散である。つまり、人事異動は社員と役員の協議事項で、社員と会社は一対一の関係になっているのである。

 現在は社内の人間がチームメンバーやリーダーはなっているが、田口は、

「いいプランがあれば、誰でも当社にきて手をあげればいい。日本国民、いや世界中の人が潜在的社員です」

 と必ずしも対象は社員に限っていない。誰でもリーダーになれるというわけである。さらに、こうも言っている。

「世の中のエグゼクティブは全部ウチの社員だと思っている。必要な時だけウチにきてやってくれればそれでいい。ずうっと定年までやると言ってくれなくてもいい」

 つまり、必要な時に、必要な人材が集まって仕事をこなすようなネットワーキングができればいいというのである。この考え方は最終的には企業という枠さえ超える。

 自社に固定した社員を置かず、外部のネットワーキングでモノ作りを行うというシステムをすでに持っている業界として、ハンドバッグ業界がある。ミスミのような会社はこれから次々と生まれてくるだろう。

 市場変化の激しい今、固定した組織、終身雇用は実情に合わなくなってきているのかもしれない。

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