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053.山手111番館(旧ラフィン邸)

■明るいスパニッシュスタイルの洋館
山手111番館は、大正15(1926)年に建てられた、噴水を挟んで横浜市イギリス館の南側にあるスパニッシュスタイルの洋館だ。平成8(1996)年に横浜市が敷地を取得し、建物の寄贈を受けて保存、改修工事を行い、平成11(1999)年から一般公開している。横浜市指定文化財。
ワシン坂通りに面した広い芝生を前庭とし、港の見える丘公園のローズガーデンを見下ろす建物は、大正15(1926)年にアメリカ人ラフィン氏の住宅として建設された。
設計者は、ニューヨーク州バッファロー出身のJ.H.モーガン。大正9(1920)年で、日本フラー建築会社の設計技師長として来日した。横浜では多くの建物を設計しており、旧根岸競馬場一等馬見所(1929年)、ベーリック・ホール(1930年)、横浜山手聖公会(1931年)などのほかに、藤沢に自邸(焼失)が知られている。
昭和12(1937)年に亡くなり、自信が門を設計した外人墓地に葬られている。
玄関前の3連アーチはベーリック・ホールを同じ意匠なのだが、こちらは天井のないパーゴラ。建物と離れているので、よりスパニッシュスタイルが生かされたオープンな印象が強い。

イギリス館から見ると噴水を挟んだ奥、赤い瓦の白壁の洋館が旧ラフィン邸

■シャンデリアの輝く回廊付きの玄関ホール
赤い瓦屋根や窓庇の赤い瓦に白壁の建物は、一見すると2階建てだが、玄関と反対側、港に面したサイドに地階がのぞいている。高低差のある土地なので、裏から見ると3階建てなのだ。まあ、スペインなどにも多い、地階(半地下)で、日本流に言えば、地下1階、地上2階建てということになろうか。
地階はコンクリート、地上が木造2階建ての寄棟造り。 建てられた当初は、地階部分がガレージや使用人部屋に使われていたようで、半円形のテラスがついている。
1階の玄関を入ったとことは、吹き抜けのホールになっていて、そこを核にして周りをぐるっと、厨房、食堂と居室が囲み、2階は海を見晴らす寝室と回廊、スリーピングポーチが作られている、回廊は吹き抜けのホールを上から見下ろすように囲み、天井の中央からシャンデリアが下がっている。
館内は昭和初期の洋館を体験できるよう家具などが配置され、設計者モーガンに関する資料なども展示されている。現在、ローズガーデンから入る地階部分が、喫茶室として利用されている。

ホール(1階)。 柱のない2階まで吹き抜けの優雅なホールで、ぐるっとホールを囲むように
見下ろす回廊が優雅だ。玄関の向かいに暖炉が見えるが(左)、回廊は暖炉の煙道を避けて
バルコニーのように作られている。


ホールのフロアーにはめ込まれている床板。色も枯れて落ち着いたいい雰囲気を出している。
食堂。右の壁に作られている暖炉は、裏がホールにつながっている。
暖炉の上部の装飾なども手が込んでいて素晴らしい。
暖炉

■施設概要
・竣工年 大正15(1926)年築
・横浜市指定文化財
・所在地 横浜市中区山手町111
TEL・FAX:045-623-2957
・開館時間 9:30~17:00
(8月の土・日・祝日は18時まで開館)
・休館日 第2水曜日(休日の場合は、翌日)
 年末年始(12月29日~1月3日)
※12月1日~12月25日は無休
・入館料 無料

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