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3-10. 平凡なことを完璧にやれば人に感動を与える。

  京セラ会長 稲盛和夫

 稲盛和夫は若手経営者たちに請われて全国で「清和塾」を開いていた。そこでは、稲盛は経営に役立つノウハウのようなものは一切話さない。説くのはいかなる精神で経営に当たるかという、いわば精神主義的な内容である。

 稲盛はもともと技術者であるだけに、技術者としての合理主義のようなものを根底に持っている。そのため、稲盛が説く精神主義は、合理性を追求して行き着いた先にあるような、原理原則に非常に近いものになっている。
 表記の言葉もそれである。

 平凡なことを忠実にやるのが重要なことはよくわかっている、しかしそれができないのだ。そんな体験は誰もが持っている。特に失敗のあとなどは痛切にそれを感じるが、しかし・・・である。

 完璧にやるのは難しい。どうしても、華やかに行動する人が目に入る。それを横目に見ながら、ジックリと基本に取り組むというのは、なかなかできない。よほどの胆力が必要だ。しかし、それをやらねばならないと稲盛は言うのである。
 凡人は胆力がなくてじっと基本を実践することがなかなかできない、との意見に対して稲盛は「それは逆だ」と答える。

「平凡なことを完璧にやり続けることで胆力がつく」

 やさしいことを完璧にやることが会社を良くする……という意見はダイワ精工のトップだった杉本辰夫も語っている。

 杉本の言い方はこうである。


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