1-13.知らないことはいいことだ。
1-13.知らないことはいいことだ。
セメダイン元会長 原 正直
原がセメダインに入社したのは戦後のことである。出身は文科系だから技術的なことはまったく知らなかった。そのために、接着剤の開発でも、いわゆる専門家の常識がない。そのためにかえって自由に考えることができてそれが非常に大きな力になったという。
原の発案で生まれたヒット商品に、エポキシという樹脂とシリコンのシーリング剤を組み合わせた弾性接着剤がある。
前者は有機、後者は無機で、専門家なら両者を組み合わせようという発想は生まれない。しかし原には専門常識がないから、「やればできるんじゃないか」と思えてくる。それが新製品を生んだのである。
知識があるにこしたことはないけれど、既製の理論や常識にとらわれているようでは、そんな知識はむしろないほうがいいということもわかる。自由な発想の妨げになってしまうということもあるかもしれない。
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