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5-15. 役員全員が賛成するような事業では、経営は成り立たない。

西武グループ創始者 堤 康次郎

 堤康次郎は早くから後継者を義明と決め、若いうちから帝王学としてさまざまなことを教えた。
 その中の一つに、この言葉がある。
 義明の説明によると、康次郎から教えられたのは、こうだ。

「役員全員が賛成するということは、それはもう誰もがそれをやれば儲かることに気づいているからだというのです。それなら、他の人たちだって、儲かると思えば手をつけてくるでしょう。でも、私たちの商売は、それじゃ経営は成り立たない。誰も手をつけていないことをやらなければいけないんです。ということは、役員全員が反対した時のほうが、事業としては、やり甲斐もあるし、儲かるということなんです」

この教えを守って、堤 義明は、他人と競ってまで進出はしないが、自分たちが開発したところに他の資本が入ってくることは拒まないと言う。
「気づきが大事であって、マネをするような相手は怖くない」という経営者としての自信だろう。そこにあるのは、他人の気づいていないことをやることこそ、事業家の矜持だという強い意思である。

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