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サイバーパンク2077・エッジランナーズ~ナイトシティの月と太陽、そしてレベッカ様に捧げる~


ーー再生開始ーーー

『おい、あれを見たろ?
見たよな?見てないなら今すぐこいつを閉じろ。でないと僕が今から何を言っているのかさっぱりわからない。一から説明している時間はないんだ。たのむ。

そうだ、エッジランナーズ。

じゃあ、あんたは見たんだな、あれを!

見たな!?見たんだな!!まちがいなく!

ならいいんだ!最高だったろ!ああ!こいつは最高の代物だった。

まぁ、この作品を冷静に褒める言葉は幾つでも見つかる。
近年まれにみるSFアニメとしての傑作!
原作ゲームファンすら唸らすスピンオフ!
そしてトリガーの情熱の塊!

ただ、こんなありきたりのワードは後でいい。そうだろ?クソみたいに上品な言葉を並べてはいご覧あれなんてバカげてる。「どうだい自分はこの作品をここまで読み解いたんだ素晴らしい知識と頭脳だろ?」なんて、そんな薄汚い権威性にまみれた批評なんて書く位なら今から三連眼のフィクサーのケツでも舐めたほうがマシだ。

なぜなら、これはサイバーパンクの物語なんだよ。

僕が今もやっているサイバーパンク2022に登場するナイトシティを舞台に、サイバーパンクの中でも飛び切りクールな「エッジ・ランナーズ」と呼ばれる、ギリギリの底辺を走りぬける最低な人間達の物語。そこでいけすかないインテリワードは後回しでいい。そして、もっと感情的にならなきゃだめだ。血みどろで、汚い声で叫び、キモいワードを連ねろ。おれたちはクソだ。オタクはクソだ。それでいい。

そして、アニメを見る時に真っ先に感情的な言葉を出せる人間でありたい。
なぜなら、アニメは感情のためにあるからだ。

だからまず言いたいのは
「レベッカには死んでほしくなかった」
まずはこれだ、これしかないだろ、他に何がある?

この作品を見て僕はレベッカの大ファンになった。初登場時からこの世界で明らかに異質なほどカワイイ性悪ビッチのサイバーパンクの女神だ。

序盤のスタイルも良いが、僕はなにより後半のインプラントマシマシで手がでっかくなりツインテールになりタトゥーが増えたレベッカが最高だ。こんな素晴らしいキャラに出会えるなんてそうそうない。圧倒的なまでの推し。おそらく神が今年作られた最高の奇跡だ。

ただ神がいたとしたら、レベッカは叫びながらハチの巣にするだろう。
なにせ見た目がカワイイのに口汚いし乱暴だしクソ兄貴と喧嘩ばかり。だがそれがいい。こんなカワイイキャラがいるだろうか?もし可能であれば僕も殴られたい。

けれど、いつか殺そうと思ってたクソ兄貴が死んでから、レベッカはその兄貴のように手がでかくなり、陽気にふるまい、兄貴のいなくなった穴を埋めようとしていく。
そして、なぜか主人公のデイビットには態度が違う。
明らかに好意を抱いている、そういう描写がどんどん増えていくのだ。

だが、その時点でおそらく僕も、貴方も気が付いてしまったろう。こいつが死亡フラグであるということに。

わかってはいた。

特にデイビットへの好意のよせかたは、明らかに死の匂いがしていた。
だからこそレベッカの魅力がより一層強くなっていたのも事実だ。
なにせ、この子が人を好きになっている。
それも死に近づきながらだ。
その姿に危うさと健気さを感じ、レベッカのキャラの層はいくつも積み重なってしまう。なんて罪深いことをしたんだ。死ぬとわかっているのに、こんなにも魅力的にするなんて、いっつもそうだ!いっつも推しが輝くのは死ぬ間際だなクソ!!僕が神をハチの巣にしてきてやる!!

───そしてレベッカは死んだ。最強の兵士アダム・スマッシャーの一撃により、あっけなく、一瞬で。

死ぬとわかっていても、実際に目の前でおきると不思議なもので、なんというか、あっけにとられてしまった。えええ?今?これ死んだ?これ死んだの?ってな感じで。

そして、レベッカの死は当たり前のように、感傷にひたらせる間もなくデイビットとスマッシャーのラストバトルのせいで通り過ぎていった。

正直いえば、もっとレベッカに生きていてほしかった。

どうせ死ぬにしても、もっと何かあったんじゃないか。もっと何かべつの死に方があったのでは?とも思った。

だが、無駄にレベッカを悲劇のヒロインにしなかった、それだけは認めたい。

なにせレベッカに悲劇のヒロインは似合わない。
口ぎたないサイボーグのロリビッチとして、最もサイバーパンクらしく、悲しむ暇すらなく、エッジをひた走り散ったのだ───

───けどちくしょぉおお!!スマーッシャアアア!てめーはゲームでボコボコしたあげくトドメさしたろぉおお!なんでお前がまだ生きてんだよぉおお!!タケムラァ!どーなってんだこれえええ!

とブチギレた僕は、ゲームのほうででスマッシャーをボコボコにした。
できればシルバーハンド時代にスマッシャーを倒したかったが、できることはこれしかない。5回はスマッシャーを殺したが、そのたびに「これで十分でしょ」といってくるVに「うるせぇんだよおんなじセリフばっかり喋んな」とキレながら脳髄をぶちまけていたが、今は落ち着ている。

しかし、レベッカが死んだ時点で、僕の狂気は最高潮に達したままだ。
こうして物語を終えて丸一日たっているというのに、視界は歪んだまま。レベッカがどこかで生きているかもと、視界にうつる黒い影を目で追い続けている。

そう、これがサイバーサイコシスだ。

エッジランナーズというBDを脳にぶち込んだ僕は、その結果おきた推しのレベッカの死により、ついに発狂してしまったのかもしれない。

けれど、狂った人間である僕に客観視などもう不可能だ。

抑制剤もない、それにさっきからヘリの音がするが。

ああ、わかってる。

恐らくマックスタックだ。

サイバーサイコシス化した僕を殺しにきたのだ。

だが、まだこの記録はおわれない。

デイビットと、ルーシーのことが残ってるからな。

まずはデイビット。
本作の主人公であり、「ありきたりな伝説」のサイバーパンクとなった男。カクテルの名前になっている。

でもって、はっきりいえば、こいつのせいでレベッカは死んだ。

デイビットは夢の無い少年だった。ナイトシティの貧しいシングルマザーの息子で、母親の夢を着せられてコーポの学校に通っていた。

そいつが母親の死と貧困のせいで全てがなくなり、自暴自棄になったやつは「サンデビスタン」をつけ、サイバーパンクとしてなりあがっていく。

その姿は「でかい夢」を掴むカリスマのような男だ。まるでシルバーハンドみたいなやつ

・・・かとおもいきや、そいつが違う。

デイビットは、ロマンチストではない。むしろその逆だ。
現実しかほぼ見ていない。夢など何ひとつない。すべてをあきらめている。
そして彼はどこにも居場所はない。孤独でいることが運命づけられたような男だ。

それがサンデビスタンをつけ、ルーシーと出会うことにより、彼はある種の「夢」をみはじめる。

だがそれは、シルバーハンドのような理想主義者のそれではないし、Vのような野心でもない。むしろ、それは夢というよりも「錯覚」と言った方が良い。

やつは孤独だった。元から一人だ。友達がいる様子も見えない。

だが、夢と仲間を与えてくれたのがサイバーパンク達だった。
そして、彼らの持つ「野心」「成り上がりたい欲望」を感じ、それにこたえるようになっていく。彼らのようにふるまい、彼らのように考えるようになるのだが、じつは違う。

デイビットは、期待に応えてまわりを幸せにしようとしていただけだ。

だから野心などないし、根っからのサイバーパンクでもなんでもない。そして理想主義者ですらない。

けれど、そのためなら自分などどうなっても良いと最初から思っている、その自暴自棄さが人を殺させ、犯罪を犯させ、やつを伝説にさせた。

ウソだろと思うだろうが、僕はそう感じた。それに、もとから根が真面目な貧困層のシングルマザーの子という設定は、僕にとって身近なことだからよくわかる。幼いころから母親の心配をして、なんとか役に立とうとしてきた少年。だからあれはああなる。そうなるしかない生い立ちだ。

だから、何をしようがデイビットは自分のために生きることはできない。メインが死んだあと、メインのように働いたのも、自分のためではない。腕のインプラントは、メインの夢を背負っているという意思表示だ。

その結果、根っからのサイコでもないのに、犯罪者として祭り上げられ、カリスマ性を経ていくのは当然だ、とてもありきたりなことなんだ。

その場合、犯罪者となるのは周りの環境がすべての原因だ。
先天的なサイコではない。
もし環境が違っていて、拾われたのがメインじゃなければ、デイビットはまったく別の人生としてカリスマ性を発揮できていたと思う。たとえばグレンラガンの兄貴に拾われた主人公のように。

だから、サイコシス化のあと母の夢を叶えようとアラサカのてっぺんに立ったのも、もはや最初から決まっていたと思う。

学生生活を送り、その後実験台にされようが、実験台にされずアラサカで成り上がろうが、あれは決まっていたことだと感じた。運命に逆らうサイバーパンクじゃない、やつは運命に囚われ、伝説になった男だ。

だが僕は伝説にはなれないし、なるきもない、ただの哀れなオタクのサイバーサイコシスとしてもうすぐマックスタックに処理されるだろう。今さっき爆音がして、玄関をグレネードで壊したはずだ。たぶんこの部屋まで数分。

最後にルーシーだ、ルーシー、あいつは哀れな女だ。この僕よりも哀れで、この物語が一番のダウナーな女。反対に、デイビットはあるいみ幸せな最後を迎えてるから余計にだ。

デイビットが幸せだといったのは、それは伝説になったことじゃない、奴がもっとも期待に応えようとしていた、母親の代わりともいうべきルーシーを逃がし、彼女の夢を叶えたから。だからあいつは笑って死ねたのだ。

だけど、こいつは身勝手な男の錯覚、つまり「夢」だ。

そして僕も男だからわかる、身勝手なやつらはみんなデイビットみたいになりたがる。伝説になるんだと、まるで27CLUBに入りにいくように、シドやコバーンみたいにドラッグで才能の前借をして、花火みたいに散りたがる。

けど、これを見てた奴の中には、どうすればデイビットはああならなかったのか、きっとそれを考えるやつだっているだろ?とくに女は

そうなるしかないのは、哀れな哀れなルーシーがいるからだ。

ルーシーは月に行くことが夢だった。

ナイトシティ生まれではない、実験体として逃げながら孤独に生きていたルーシーにとって、月は希望に見えた。

誰でも経験があるはずだ。一人歩いている夜、空に浮かぶ満月をみると安心するような気持ち。暗闇を照らしてくれる、ささやかな夜の太陽。それが彼女にとっての月・・・ようはデカい夢でもなんでもない、彼女が欲しかったのは、いわゆる月並みの幸せというやつだ。

それがデイビットと出会ってからルーシーは変わってしまった。

しかもこいつは恋や、愛とか、そんな生易しいものじゃない。
なぜならルーシーはデイビットのために何人も殺しまくり、最後の最後までデイビットを生かそうとしていたからだ。

だが、なぜそこまでデイビットに固執したのかといえば、それはルーシーにとって、デイビットが太陽に見えていたからだ。

ルーシーは月に憧れていた、けれど、それよりもまぶしく、自分を照らしてくれるものが出てきてしまった、ナイトシティの夜に輝く、本物の太陽。月の光とは違う、暖かな光をくれる存在だ。

その太陽に照らされたルーシーは、月そのものになった。ようは月並みな幸せを生まれてはじめて感じたんだと思う。

だから、デイビットと出会った後、ルーシーは恐らく月のことはどうでも良くなっていたはずだ。月に行く必要はもうないからな。

だから、一緒に暮らしはじめてからルーシーは月の話はしておらず、本人すら忘れていたと思う。

けれど、馬鹿なデイビットはルーシーがずっと月に行きたがっていると思っていた。笑えるな。ルーシーはとっくにそんなことは興味が無くなっているっていうのに。

彼女の夢は、もう計画へとかわっていた。デイビットを追うものを全て排除し、それが終わってから、平穏な生活を手に入れること。つまり、ルーシーは恐らくデイビットと共にナイトシティから逃げるつもりだったかもしれない。

だが、デイビットは死んだ。

照らし続けてくれる太陽は、月のために死んだのだ。

けど、そんな太陽なんてありえないだろ?考えてもみてくれ、太陽があってこそ月は輝ける。だからこそ、ルーシーは自らの手を汚しつづけ、太陽を守っていたというのに・・・それも知らない、無知で身勝手なデイビットは月を残して死んだのだ。ルーシーもルーシーだ、言えばデイビットはきっとアラサカと戦うと思っていたんだろう。そんなことしても無駄だというのに、ナイトシティの伝説とやらになるやつらは、やっぱりどうしようもないバカしかいない。

そして、ルーシーは本物の月に行くはめになった。
もしデイビットがいれば、彼女はんあんな真似をする必要はなかった。死んだ男の影を引きずりながら月にいくなんてな。

この時点でルーシーは恐らく、もう月に行くのは夢でもなんでもない。

最後にデイビットに言われたからだ、月に一緒に行けと言われたからでしかない。そうだ、デイビットの思いを叶えようとしていたんだ。
でもって、それは、アラサカのてっぺんに立てと言われたデイビットと同じ託された夢でしかない。この物語は、夢の託しあい。そして最後にたどり着いたのが、月だった。

女がそこでみたのは、デイビットの幻影。太陽に誰よりも最も近い場所で、両手をひろげ、ナイトシティの月は光を浴びる。
MY MOON MY MAN(私の月、私の男)
の歌詞にある「光をあててください」という言葉をなぞるかのように、
月は太陽を求め続け、光を浴びたんだ。


───なぁ、アンタはどう思った?
僕と同じ感想か?いいや、できれば違うことを願ってる。あんただけのエッジランナーズがあるってのはとっても素敵なことなんだ。それはアンタの物語でもある。そいつを大事にするんだ。

でも、同じじゃなきゃ許せないことが一つあるだろ?
わかるのよな?そうだ、この二人のロマンスのために、僕の推しであるレベッカを殺したことへの怒りだよ!怒りだ!

だって、考えてもみろよ?


レベッカだって間に割り込んでデイビットと結ばれるチャンスもあったはずだってのに、二人のために死んじまったようなもんだ。あれだけは決して許さない。ストーリーの必然せいだがなんだか知らないが、ゲームに合わないから出すなと言われて、そこを無理を通してイマイシ監督が出したんだろうが!トリガーッてかガイナのころの、パンストみたいなやつを!グレンラガンみたいな、あの悪党たちの大活劇を思い出しながら、やってやるよコノヤローってよ!
だったらよぉ・・・・レベッカ殺すんじゃねぇよ・・・最後に生きてるところを見せてくれよ!それとどーしてくれんだ推しカプがデイビットとレベッカになっちまったやつらの気持ちは!!ダウナーはいっちまったルーシーどころの話じゃねぇんだよ!なんだこのクソトリップは。俺たちの太陽であるレベッカの幻影を永遠と追えってのかよ!よみがえらせろレベッカを!次回作はレベッカが復活だろ!!

くそ、時間切れだ。
やつらが騒いでる、この部屋の扉をぶち壊されるのも時間の問題だ。

けど問題なんかない、そうだろエッジ・ランナーズ?
俺はやることはやった、この記録がそうだ。あとはお前らにまかせる。どうせ生きていても俺たちはクソだ。
だから、問題なのはいつも「どう死ぬか」だけだ
今を生きる、最後まで、エッジの向こう側に向かって』

ーーー再生終了ーーー

Louis「───で、この理解不能な怪文書が残ってたってのが?」
mark「サントドミンゴ、昨日の夜に団地で5人を殺したあと、立てこもった工場の中でこの記録を残して俺たちに殺された」
Louis「サイバーサイコの遺書ね、聞かない話だな」
mark「ああ、珍しい・・・」
Louis「しかもこいつがいってるエッジランナーズってなんだ?」
mark「クエイサーの話じゃ、エッジ・ランナーズというBDを最後に見たんだとさ」
Louis「そいつでサイバーサイコシス化したってのか?」
mark「らしいな。でもって、このサイコは殺した5人の人間のことを全員スマッシャーという名で呼んでいたそうだ」
Louis「おい、あれはもう死んだろ・・・」
mark「ああ、だがサイコ達には相手がそう見えるらしい」
Louis「フザケルなよmark、そんな事できるネットランナーが?」
mark「いいやネットランナーでも無理だ、事態はもっとヤバいからな」
Louis「なんだ?」
mark「これと同じようなサイコが何人も出てる、あちこちでな」
Louis「…まて、どういうことだ?こいつ一人じゃないのか?」
mark「ああ、どいつも発症の共通点は幾つがあるが、やばいのはインプラントの量に関係なく、見たら一発でサイコになる」
Louis「まて、それじゃあこいつだけじゃないのか?」
mark「ああ、今もあちこちでサイコがあふれ出てる。そして、そいつら全員「レベッカ」という女が大好きらしく、なんとしてもそいつをよみがえらせろと叫ぶらしい」
Louis「意味がわからねぇ・・・サイコにしたってイカレすぎだろ…で、そのBDをつくったやつはわかってんのか?」
mark「それを探してほしい、一回使うとデータごと焼き消されるおまけつきでな、アラサカでもわからん」
Louis「じゃあ、こいつをサバいてたやつは?」
mark「緑の髪をした、でかい手の小柄な女だそうだ」
Louis「そいつをみつけろってことか」
mark「ああ、リジーズ・バーの近くで目撃があった」
Louis「モックスの連中の一人か」
mark「わからんが、とにかくバーに行って見つけろ、にしても、ずいぶん信頼されてるよ、お前は」
Louis「もとサイバーサイコの俺が?冗談よせよ、使い捨てだろ」
mark「冗談じゃない、おまえは特別なんだよ‥‥あとマックスタックは今回は動けん、増え過ぎたサイコの対応で手いっぱいだからな、注意しろ」
Louis「わかってるよ、そのでかい手のビッチを捕まえればいいんだろ」
mark「ああ、おまえなら伝説になれる」
Louis「ふざけんなよ、俺は夢の中で死ぬなんかごめんだね」
mark「じゃあどう死ぬのが良いんだ」
Louis「目をあけたまま死ねればいいさ、そこに何が映ろうがな」

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