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カレーの足し算、引き算


カレーというとまず思うのは、
みんな大好き、カレーなら何日続いても、
週に何回でも大丈夫、

というのが、常識のような感じですが、

我が家の子供たち(男子ばかりの三兄弟です)
はカレーがあまり好きではありません。


カレーさえ作り置きしておけば、
用事があって夕飯が作れなくても大丈夫。
必殺技のように、友達や近所の奥さん達が言っ
ているのに、

我が家では子供たちからの「今日の夕飯なに?」
に対して

「カレー」と言うと、
「カレーかぁ‥」と残念そうな返事が帰ってき
ます。

作ってるほうとしても、まったく張り合いがあ
りません。



でもそれは、私のせいかもしれません。
子供たちがまだ小さいころ、私が仕事を始めま
した。
小さな町の医院で、朝夕の診察があるところで
した。
朝は子供たちが幼稚園や学校に行っている間
に、仕事が終わるのですが、週に1、2度は夕
方に仕事があり、仕事が終わって帰宅が8時ご
ろになってしまいます。

昼間に夕飯を仕込んでおいて、子供たちだけで
夕食を食べてもらって、私が帰宅するという感
じでした。

子供たちの父親はいないの?
と思われているかもしれませんが、父親は仕事
の都合で、帰宅はほとんどが夜の10時ごろに
なっていました。



仕込んでおくご飯はどうしても、少し温めれば
食べられる、
カレー、ハヤシライス、シチュー、オムライス
などとなってしまいます。

翌日も美味しく食べられるカレーは、登場回数
が多くなってしまいました。



時が過ぎて子供たちが成長して、私もしっかり
と日中にお仕事するようになりました。
そして、毎日夕方には帰宅できるようになり、
夕飯を作っている私のそばに、帰宅した順番に
子供たちから、「今日の夕飯はなに?」と‥
その頃から子供たちの口から、「カレーかぁ‥」
の言葉が聞かれるようになりました。

その度に私には、罪悪感がよぎりました。
子供たちが小さな頃の、夕方から夜の時間まで、
母親が家にいない日の不安。

カレーが子供たちの寂しさとリンクしてしまっ
ているように思えて‥

子供たちは、カレーがあまり好きではないので
はなく、不安な時間が甦るのではないかと‥


その後、更に月日が過ぎて
今は、カレーでもレパートリーが増えました。
カレーうどんやカレードリア、キーマカレーな
ど、子供たちの「カレーかぁ‥」の声も聞くこ
とがあまりなくなり、
私の罪悪感も随分少なくなりました。



それでも、カレーを作る時には、ちょっと心苦
しさが残っていました。



そんな時、子供たちとの会話で救われました。
それは、三男が学校の友達と話しているという
会話のこと‥

私は何故か、カレーのルーを辛口、中辛、甘口
と混ぜて煮ると美味しくなると思っています。
と同時に辛口に甘口を足すと、本来の辛口の味
より甘くなって、そこに中辛を足すとまた少し
辛くなって‥とまるで算数の足し算、引き算の
ように思っていました。


そのことを三男が友達に話すと、
大爆笑になったと言うのです。
辛いものにいくら甘口と言っても辛いものを足
しても、甘くはならないだろうと‥

ジュロキアにダバスコ、ババネロを足しても少
しも甘くはならないし、むしろ辛くなりそうだ
し‥というのです。

確かに、言われてみればそうなのですが、
辛い香辛料と、カレーのルーはちがうと思うん
だけど‥と思っていた矢先
ちょうど帰宅してきた次男も交えて、
改めてカレーのルーの話をしたのですが、

三男が友達に、「お前の母さん、面白いなぁ」
と、ネタになっていると言えば、

次男も、「俺も前からおかしいやろ‥なんで混
ぜるんやろ‥って思ってた」と

「そんなに、変かなぁ‥」と納得できない私
に、

次男も三男も、「マジかぁ‥わかってないわ
ぁ‥」とお腹を抱えての大爆笑でした。


「じゃあ、カレーのルー、混ぜへんようにする
わ」という私に、

三男が「友達との会話のネタになるし、そのま
までいいやん」と‥


この時に、私の心に引っかかってってた、カレ
ーへの罪悪感というマイナスの部分に、
子どもたちが楽しい会話でプラスをしてくれた
みたいでした。

1番幼くて、寂しい思いをさせてしまった三男
にとって、友達と笑いながら話せるネタになっ
てるんだ‥
と嬉しくなり、カレーに対する心苦しさが無く
なりました。


今は、必殺技とまではいかないけれど、
カレーも我が家の普通のメニューのメインライ
ンナップとなっています。


カレーを、めぐっての足し算、引き算は、
一応、大爆笑という解答がでたのですが、


となると、我が家の子どもたちがあまりカレー
を喜ばないのは‥という疑問が残ります。


単純に、私の作るカレーが美味しくない‥
もしくは、そもそもカレーがあまり好きではな
い体質‥?ということなのか‥

うーん‥

どちらも、あまり認めたくないことではあるの
ですが‥


その答えにしても、何となく今は、
時間が経って、ふとしたことから、解答が出る
のでは‥と


その時は、またその話を忘れないように、
文章にしてみたいなぁ‥と思っています。

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