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【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第二部#14

6月13日、阪神対オリックスの交流戦三戦目は阪神が先発、西勇輝の好投で5対0で勝利。西はオリックス打線に的を絞らせず散発6安打で完封。3勝目を上げた。一方、打線は豊田寛がプロ初安打を含む2安打を放つなど下位打線で好機を作り着実に加点。終始、試合の主導権を渡さなかった。

この日、木浪は「9番」で出場し4打数1安打1打点。先制点を上げた直後の追加点となる適時2塁打を放ち勝利に貢献したものの、他の打席は内容に乏しく打率をなかなか上げられない状態が続いている。

今季13打点目を上げた場面は、4回、1死1、3塁で巡ってきた第二打席。直前に、原口文仁の好走塁で先制点を上げていたため、リラックスできたのだろう。オリックス先発、田嶋大樹の投じた初球、外角のカットボールに対し積極的にスイングをかけていった。結果を出したのは空振りした直後の二球目、インコース高めを右手1本で右翼線に運んだ。

打った球種を木浪は「ストレート」と言い切っていたようだが、画面超しには体の方向に曲がってきたカットボールに見えた。いずれにしろ、失投だった。木浪のインコース高めの打率は3割を超える。あの場面、インコースに投じるのであれば、低めに落とすことが最適解だったように思う。

インコースが得意なことは先制打の場面以外に、吉田輝星と対戦した第三打席でも見て取れた。中飛で終わったが、インコース寄り140キロ台後半の高めのストレートを捉えていた。

しかし、相変わらず外角球への対応ができないでいる。自身の配球の傾向に対策をたてられていないのだ。2回、二死、満塁の場面の好機で巡った1打席目はまさにそうだった。

中飛で凡退したこの打席、田嶋が投じた初球、二球目はいずれもストレートだった。初球は外角を見逃し、二球目はど真ん中に来たが、木浪は打ち損じる。その後の3球目、外角低めのスライダーを打ちあげてしまった。

外角、内側(中)、外角と攻めてくるのが「木浪封じの鉄板」の配球。

この試合の8回、4打席目で対峙したオリックス三番手、才木海翔の時にも見られたが、木浪は相手の術中にはまったままだった。

初球151キロ外寄りストレートを見逃し、2球目は134キロ低めに落ちたフォークを空振り。早々に0-2と追い込まれた。三球目は外角にフォークを落とされ、木浪は当てるのが精いっぱいだった。結果は二塁ゴロ併殺。

才木はストレートとフォークのコンビネーションで打者を圧倒していく本格派。そうしたタイプの投手にはストレート1本で待ち、初球からでもスイングをかけるのが常道だと思うのだが、いかんせん、今季の木浪は初球を見送る傾向にある。積極性に欠けるため、難しい球を打たざるをえない状況(カウント)を自分自身で設定してしまっている印象が強い。

この試合終了後の木浪の打率は.209。交流戦に限らってみれば.175。この状態でもスタメン起用は続いている。

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