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【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#4

6月25日、阪神は中日との三連戦初戦、倉敷での試合を0対1で落とした。火曜日の先発を今季初めて才木に託し臨んだが、中日先発、小笠原慎之介から松山晋也、マルティネスへの鉄壁リレーの前に屈し、今季、10度目の完封負けとなった。

打線は佐藤輝明が2安打を放ったが、チーム全体で6安打。最終回に二死から粘りを見せたものの適時打が出なかった。

八番・遊撃でスタメン出場した小幡は3打数無安打、1三振。4打席目に代打を告げられるなど、良いところは見られず。打率は試合前の.204から.192へ下がった。

リーグを代表する左腕投手、小笠原との対戦を見て格の違いを感じた。

小笠原攻略に今岡打撃コーチは「ストレートに狙いを定めつつ浮いた変化球を捉える」ことと話していたが、この試合の小幡はストレートに力負けしていた。

第一打席は全7球すべて外角に球を集められていた。スライダーを見せ球にストレート勝負、という配球の組み立てだったが、小幡は初球、二球目のストレートを空振りと見逃し。早々に追い込まれてしまう。3球目のスライダーがボールとなった後、4球目の146キロストレートを打ちに行くも3塁方向へファゥル。その後、フルカウントまでもっていくが、最後の7球目、甘めのコースに来た135キロストレートを引っ張り1塁ゴロ。この打席のストレートはいずれも厳しいコースには来ていなかっただけに、狙っていたのなら捉えたかった。

二打席目も外角中心の攻めだった。

小幡は初球から144キロストレートにスイングをかけたが押されてファゥル。2球目、3球目はスライダーが続いたが、小幡はやや高めに来た3球目を空振りしてしまう。1-2と追い込まれた4球目、この日初見のカーブを辛うじてファゥルにした。そして決め球の5球目。ストレート狙いの思惑が外れ、3球目と同一コース、同一球種のスライダーだった。小幡は引っかけるような形で2塁ゴロで凡退。タイミングを見事に外された。

三打席目は7回、1死1塁で巡ってきた。次打者が投手の才木だけに何とか1死、1.3塁の形を作りたい場面。

小幡は引っ張るためにインコースに狙いを定めていたと思うが、小笠原と加藤のバッテリーはインコースには1球も投げてこない。全球外角やや高めに集めた。これに対して、小幡は初球の140キロストレートを空振り、二球目、落差の大きいカーブを見逃し0-2と追い込まれ、決め球は小笠原の渾身のストレート。バットは空を切った。

4打席目は1点を追う9回、二死、1、2塁で打順が巡ってきたが、代打・糸原を告げられる。この日の小幡は小笠原のストレートに対応できていなかった。劣勢の展開、抑えのマルティネスと対峙するには、さすがに荷が重いと岡田監督は判断したのだろう。

この試合、仮に同点に追いつき延長に突入していたら、小幡の後の遊撃は熊谷敬宥だった。木浪と小幡以外の選手が遊撃を守ることは、岡田体制ではなかっただけに興味深かったが、とりあえず、この日は実現しなかった。次戦以降、遊撃・熊谷の起用はあるのだろうか。

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