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【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第二部#13

6月12日、阪神はオリックスとの交流戦二戦目も初戦に続き0対4で完敗。オリックス先発、エスピノーザの前に5回一死までパーフェクトに抑えられるなど、打線は前の試合の流れを引きずっているかのような活気の無さだった。

この日の木浪は3打数1安打。3試合ぶりの安打は「完全試合」を阻止する価値あるもので、凡退した他の2打席も内容は悪くなかった。この試合に限っては、阪神打線の中で最も「可能性」を感じさせた。

第一打席はエスピノーザの投じた初球、外角低めツーシーム(シュート系)を三遊間方向にライナーで運んだ。ボールの下側をたたいたため勢いがなかったか、紅林弘太郎がジャンプ一番好捕し遊直となった。今季ここまで「初球」「外角」はほとんど見逃していた木浪だが、この打席は積極性を示した。

2打席目の中前安打は、カウント2-3からの6球目、エスピノーザの真ん中に入ったツーシームを捉えた。この打席、木浪はツーシームとスライダーを交互に投げ分けられたが、球の見極めができていた印象を受けた。相性が良かったのかもしれないが、ボール球に手を出さなかったためフルカウントまで粘れた。安打はエスピノーザの根負けだろう。

第三打席は三番手、本格派右腕の本田仁海と対峙した。初球は152キロのインコースのボール球を見送り、2球目は外角の150キロストレートにスイングをかけて三塁方向へ流し打ってのファール。3球目は135キロスライダーが外角高めに外れた。カウント1-2の打者有利の場面の4球目、得意のインコースのストレートにスイングをかけるも右飛。打球の角度はライナー性で、スイング軌道は良かったが、少し差し込まれたようだった。

この試合を放送したBSテレ東では、各打者の得意、不得意コースを分析するための「縦×3」「横×3」に9分割されたマス目表を画面上に表示していたが、木浪のそれは見ていて納得できるものだった。

その表によれば、打率3割以上の結果を出しているコースが「ど真ん中」と「インコース高め」で、逆に1割未満のコースが「外角高め」。上段3並びのマスで、左(インコーズ)は得意、右(アウトコース)は不得意と両極端の結果。これは他の選手には滅多と見られないレアなケースだった。

開幕からここまで木浪の打率が一向に上がらないその要因は、素人目には「外角の対応ができていないこと」と映っていたが、まさにテレビ東京がそれを証明してくれた。

自分の手帳には、昨年6月10日時点の木浪の打率は.290と記されている。その1年後は.208。木浪がここから打率を上昇させていくためには、この試合の第一打席で見せた「初球」「外角」球への適応が欠かせない。

木浪は、スタメン出場を継続するためには、もう打率を落とすことは許されない。交流戦終盤戦は、まさに踏ん張りどころのように思えた。

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