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【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か?#11

首位攻防戦となった5月21日からのマツダスタジアムでの対広島三連戦。初戦は、村上と床田両投手の今季4度目の投げ合いとなった。結果は広島が村上を攻略し完勝。阪神は2位広島に0.5ゲーム差まで詰め寄られた。

木浪は床田の前に3打数1安打。唯一の安打は足の速くない木浪には珍しい内野安打。外角のカットボールにタイミングを外されたが飛んだコースが良かった。また、3塁手小園の1塁への送球がハーフバウンドになるなどラッキーな面が重なった。

木浪と床田の今季の対戦成績はこの日で9打数4安打。結果だけみれば相性の良さを感じるが、打席の内容は芳しくない。

140キロ後半のストレートに、スライダーやカーブ、パーム、シュート、カットボール、チェンジアップなど多彩な変化球を織り交ぜ、内と外を巧みに投げ分ける床田に対して、木浪は毎打席、狙い球を絞り切れず、緩急に苦慮し詰まらされてる印象を受ける。

この日の3打席はまさにそうした感じの内容だった。

特に1打席目。木浪が得意としている内側の速い球は見せ球にして、外の変化球を主体に組み立てていく床田の木浪への投球スタイルが全8球に表れていた。

決め球は143キロのカットボール。ストレートと同じ軌道と球速帯に木浪は球の上面を捉え遊ゴロに打ち取られた。

床田はストレートを投じる際、球速を投げ分けている。都度、全力では投げていない。それは打者に自身の得意のカットボールの見極めを難しくさせるためなのだろうが、今季はここまで特に冴えていた。この試合終了後の防御率1.27がそれを物語っている。

試合は終始、広島のペースで進み、木浪に4度目の打席は巡ってこなかった。9回の広島のマウンドには左腕・黒原が登っており、木浪は5月1日の5回戦で黒原から左前安打を放っていたが「代打・原口」を告げられた。

「試合終盤・ビハインドの展開・左腕投手」の条件が揃ったとき、今季、木浪は打席に立たせてもらえないケースが多く、まだその状況が続いていた。

打席数が少なければ「規定」到達も遠ざかる。岡田監督に、チーム内の打撃の序列の再構築を促すには打率を上げていくしかない。昨年と同様の成績を残すためには、もう停滞は許されなかった。

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