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【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#3

6月22日、阪神はDeNAとの2戦目を2対5で落とし4連勝は成らなかった。序盤から拙守が連発し、先発伊藤将司がオースティンに3ラン本塁打を浴びるなど、前日のサヨナラ勝ちの勢いは続かなかった。

打線は大山悠輔が本塁打を含む2打点をあげたが、全体的にDeNA先発、東克樹のコーナーワークの前に策が見られず、わずかに5安打。東対策として森下、前川、佐藤輝明らをスタメンから外したが効果はなかった。

そうした中、小幡の打撃の内容は悪くなかった。3打数1安打。打率は.204へ良化した。

小幡は東のような左の技巧派とは相性が良いのかもしれない。

昨年も東の同僚、DeNA石田健太を得意としていた。安打した2打席目は、外寄り高めのスライダーを逆らわず中前へ運んだものだが、この形は昨年、よく見た打撃だった。初球の真ん中高め141キロストレートのストライクを見逃していたところを見ると、この打席ははじめからスライダーを狙っていたような感じがした。

一方、凡退した打席を振り返ると、第一打席の1塁ゴロは完全に詰まった。1-1からの3球目を打ったが、直前の2球目と同一の球種。コースは2球目の方が甘かった。打つべき球を見逃し厳しい球にスイングをかけてしまった。

第三打席、東は初球、真ん中に137キロストレートを投げてきた。小幡はスイングをかけ角度がついた大きな飛球を放ったかに見えたが、東と山本のバッテリーは甲子園特有の「浜風」を計算しての配球だったのだろう。飛球の落下点は右翼手渡会隆輝のほぼ定位置だった。

試合中のSNSでは「小幡のスイングが強くなった」とする記述が目についた。それだけ、前日ウィックの150キロの球を打ち返した打撃が虎党の記憶に残っているのだろう。

また、この日の日刊スポーツに、小幡の打撃フォーム改良の記事が出ていた。波部俊之介記者によると「ワンステップして上げていた右足を、止まったところから上げる仕様に変えた」そうだ。ステップする分、タイミングの取り方を早める必要があったという。

チームは敗れたが、小幡は交流戦最終戦から3試合連続安打が続いている。岡田監督は「ショートは小幡しかいない」と言い切っており、試合展開が劣勢でも代打を出されることもないように思われる。

昨年、スタメンの連続起用は開幕からの「7試合」が最長だった。それ以後は、表現は良くないが「木浪の体調の調整役」としての起用に追い込まれた。

翻って今季、アクシデントとはいえ好機が巡っている。これから小幡自身にとって「未知の世界」へ入っていく。疲労、相手チームのより繊細な配球など、向き合うテーマは少なくない。小幡はどのような答えを出すのだろうか。

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