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【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第二部#17

6月16日、阪神対ソフトバンクの交流戦、三戦目は阪神が4対1で勝利。初回、前川右京の2号満塁本塁打で上げた4点を才木、桐敷、岩崎の投手リレーで逃げ切り同一カード三連敗を免れた。

試合前、「木浪登録抹消」というショッキングな報道が伝わった。前日ヘルナンデスから受けた背中への死球が「左肩甲骨骨折」と診断を受けてのチームの迅速な対応。今後の見通しは不明で、多くのメディアで「長期離脱不可避」とする見出しが出回った。

木浪は死球を受けた直後「全然大丈夫」とのコメントを出していたが、さすがに骨が折れている状況には観念せざるをえなかったのだろう。この試合の前には「折れてたんで・・しっかり治したいと思う」とすでに気持ちの切り替えができたようなコメントを残している。

木浪の代役として小幡竜平が「8番・遊撃」で出場したが、結果は3打数無安打。アピールできずに終わった。

小幡の打撃の課題である「速球」と「インコース」対応が、改めて浮き彫りになったのが4回の第二打席。岡田監督は4点リードの1死1塁の場面で、小幡と走者森下の間で「ヒットエンドラン」のサインを出したが、小幡は遂行できなかった。

この場面、小幡は相手投手石川柊太の初球、真ん中よりのストレートを「大根切り」のような打法で打ちに行くもファールにしてしまう。次の2球目、外寄りのカーブを見逃しカウント0-2と追い込まれた後、3球目、4球目の外角高めの球は見逃し並行カウントにもっていく。そして5球目。再び出たエンドランのサインに打ちに行くが、インコースのストレートに詰まりゴロを打てずに二飛で併殺打にしてしまった。

石川のストレートの平均球速は145キロ前後。小幡はこの周辺の球速のインコースに詰まらされる傾向にあるが、7回、二死無走者の場面で迎えた三打席目でも第二打席と同様の課題が見て取れた。

第三打席で対峙した投手は又吉克樹。小幡は又吉の投じるカットボールへの対応に苦しんだ。全9球のうち7球がカットボールだったが、すべてをインコースに集められた。4球ファールで逃げるのが精いっぱいの状態で、最後はバットが空を切った。

勝負のポイントは、カウント1-2からの5球目、147キロ外寄りのストレートだったように思う。小幡は見送りボールとなったが、微妙なコースだった。バットの芯に届くコース。この球を捉えたかった。

岡田監督は試合後の記者会見で、木浪に関する質問に「骨折してたらしゃーない。心配するよりも抹消」と独特の言い回しで答えていた。同時に「小幡にはチャンスやな」とのコメントも残している。

木浪の回復時期は定かではないが、交流戦以降、阪神の遊撃手は小幡が担っていくことは間違いない。しかし、小幡一人で運用できるのか心もとない。これまで1年半の岡田体制で1軍での遊撃手の出場は「木浪と小幡」しかおらず、木浪の抹消により、二軍から誰を昇格させるのかも気になるところだ。

第三の男が現れるのか。はては、小幡がまたとない好機を生かすのか。木浪不在の虎の遊撃事情。編成面でも今ドラフトにも影響をおよぼし得る需要事項となっている。〜第二部(終)~

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