【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第二部#8
6月6日、楽天との交流戦最後の試合も阪神は敗れ三連敗。楽天先発、藤井聖の切れの鋭いスライダーに翻弄され、安打は右打者4人による4本のみ。直近13試合中11試合が2得点以下という深刻さで、最大7あった貯金をとうとう使い果たした。
木浪は「8番」で出場するも2打数無安打。3点を追う8回に「代打・小野寺」を告げられベンチに退いた。
第一打席は3回、無死二塁の場面で打席が巡ってきた。二塁打の梅野を置いて、藤井の投じた2球目、進塁打を狙っていたのだろう。インコース高めの140キロ速球にスイングをかけ2塁ゴロ。
梅野は三進しケースバッティングには成功したが、昨年なら中前安打になっていてもおかしくないような二遊間への打球。今年はスイングスピードが弱いのか、打球に勢いが出ない。そのため、1塁ゴロ、2塁ゴロでの凡退頻度が多い印象を受ける。
二打席目は5回、二死無走者の場面で藤井の142キロ外寄りの速球に空振り三振。この打席、NHK野球解説者の藤川球児氏によれば「藤井はストライク3球すべてストライクゾーンで取りに来た」という。続けて藤川氏は「こうしたパターンの打ち取り方はセ・リーグには無いので阪神の打者は戸惑う」と解説した。
配球パターンのセとパの違いは野球評論家に任せるとして、楽天バッテリーが前日に続いて木浪には外角中心で攻めていたことは素人にも明らかだった。そして、この二打席目は前日同様「木浪は早打ちはしない」と見切ってストライクを簡単に取りに来ていた。
初球、二球目いずれの外角141~2キロの速球に、案の定、木浪はバットを出さない。カウント1-1の後の3球目。「打ってもファールにしかならない」インコースのスライダーを木浪は打ちにいくが、楽天バッテリーの術中通り、ファールでカウント1-2と追い込まれる。そして4球目。外寄り若干低めの速球にバットが空を切った。厳しいコースには見えなかったが、木浪は顎が上がってしまっていた。
技術的なことはプロ野球解説者の説明が無いので分かる由もないが、初球、二球目のカウントを取りに来る外角球を平然と見逃す姿勢がとにかく目につく。3球目以内に1-2と追い込まれた後、決め球もおおむね外角低めの傾向だ。外寄りの速球、変化球いずれも引っ張り込むため、ショートの頭を超す安打をほとんど目にしない。これが今季、ここまでの木浪の打撃の特徴といえる。
この試合終了後の木浪の打率は.209。スタメン起用継続が不思議なくらい悪い打撃の状態。はたしてこれから、木浪は打率を上げることができるのだろうか。また、打率が上がらなくともスタメン起用は続くのだろうか。
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