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【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#1

6月18日、交流戦最後の試合、阪神は日ハムに2対1で勝利。延長11回、敵失が重なり幸運な勝ち星を得た。交流戦を7勝11敗で終え、リーグ順位は首位広島と2.5ゲーム差の2位。交流戦も貧打に喘いだが、貯金を2つ保ちオールスターまでの約1ヶ月、混戦状態のペナントレースに挑む。

この物語の当初の主人公、木浪聖也が骨折で登録抹消となったため、これからは当分、小幡竜平の打撃を追いかけることになる。

その小幡、「八番・遊撃」で出場し、2打数1安打2四球。打率を.171から.186とした。

僕個人として小幡の打撃に関して注目している点は「速球」と「インコース」の対応なのだが、そうした点から、この試合は各打席興味深かった。小幡が対戦した細野晴希、杉浦稔大、マーフィーいずれもストレートの球速が150キロを超えるパワーピッチャーだったからだ。

しかし、凡打も安打もいずれも変化球。2つの四球は細野、杉浦両投手の自滅によるもの。この試合に関しては、150キロ速球へのアジャストをファールですら見ることはできなかった。

小幡が常時出場を果たすためには、打撃の向上を首脳陣にアピールしなければならず、そのためには150キロ周辺の速球を1、2塁間に引っ張るクリーンヒットを量産する必要がある。岡田監督は昨年の就任当初から、この点を打者の技量、調子の指標としている。これは、日々の記者とのやり取りを追跡していれば明らかで、決して素人の思い込みではない。

小幡がこの試合で放った安打は9回の第4打席、マーフィーのやや内側にきたカーブだった。小幡は再現性は別として、スライダー、カーブ、抜けたフォークなど変化球はコース、高低問わず安打にすることはできる。

打率.282の昨年もその傾向はあった。22安打のうち7~8割は変化球、残りが「半速球」「シュート回転のストレート」だった。そして、もう一つの特徴がDeNA投手陣から計12安打放ったということ。とりわけ石田健太を得意としていた。初球のカウントを取りに来る外側のスライダーを逆らわず安打した打席が幾度となくあった。

自分のノートには『小幡は「初球」の「変化球」は決め打ちしてくる』と赤字で残されている。そして『小幡が木浪から遊撃のポジションを奪うには、打撃面、「150キロ速球」と「インコース」対応が鍵』とも記されている。

小幡への個人的なチェックポイントとして、ここは今季も変わらない。

この日の朝、デイリースポーツに今ドラフトの阪神の補強ポイントに関する記事が出ていた。記事は『三遊間の即戦力野手に狙い』と銘打ち、続けて補強の要因に言及していた。三塁に関しては『佐藤輝明の不調』、遊撃に関しては『木浪の離脱』と『小幡の打撃の伸び悩み』がそれにあたる。

このことを見ても、木浪だけではなく小幡にとっても今季は正念場ということが分かる。またデイリースポーツは、遊撃手の指名候補に宗山塁(明大)だけでなく浦田俊輔(九産大)の名まで出している。球団に一番近いメディアのこのような具体的なドラフトの予測報道。阪神スカウトの言動にそれなりの「匂い」をかぎ取っているのだろう。

小幡の交流戦後の最初の対戦投手は、DeNAの東と予想されている。東の速球に力負けせず打ち返せるか。

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