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【難解!?】国家はなぜ衰退するのか 上

ビルゲイツが読んだ本を調べたら出てきたので読んでみた。
題名の通り過去から現在までの国家がなぜ衰退したのか、あるいは繫栄したのかに関して多くの事例から語っている。
そもそも事例一つ一つが細かくドラマチックに語られていてめちゃくちゃに面白い、その上そこから導かれる論理がかなり納得のできるもので興味深かった。でも正直読んでから時間たってるのであんまり書けない、だから最後の方ばっかになっちゃうけど印象に残った箇所の感想を書いていく。


決定的な岐路

この本で度々触れられる「決定的な岐路」という言葉。これは同じような政治状況、文化、資源を持っていても何かしらの象徴的な出来事によって、その地域の発展を左右するという意味でつかわれる。
例えばそれは私たちの住む日本に関しても起きており、この本では江戸後期に日本と中国の経済成長を分けた事例が語られている。
当時から日本と中国はヨーロッパ諸国に比べるとかなり文化や制度が似ていたが、日本が中国よりある程度絶対主義的な傾向が弱く当時支配していた徳川家が藩主の挑戦を受けやすかったため黒船来航という決定的な岐路が起きた時、藩等の勢力が結束して明治維新という結果を生んだということだった。
もちろん歴史には様々な要因から決まる必然的なことも多いが、人類は多くの「決定的な岐路」を経験し一人の人間や国家によって命運が大きく左右されるということがわかり、私はこの「決定的な岐路」という言葉から勇気さえもらえた気がした。


創造的破壊への恐怖

この本を通して過去から現在まであらゆる人間が持ち得る感情が発見できると思う。それは「創造的破壊への恐怖」という既存権益を守ろうという感情である。
というより既存権益を守ろうという感情の中に「創造的破壊への恐怖」がある感じだと思うが、面白かったのがヴェネチアでの一例である。
ヴェネチアは810年独立を勝ち取ったのち1300年あたりまでかなりの間成長を重ねてきた、その理由としてはコメンダ契約というある種の合資会社が若手の商人が資産を形成しやすい土壌を作ったことや、後に民主的な政治制度が成立していったことである。
順調に見えた成長にも陰りが見え始める、評議会を構成するメンバーがコメンダ契約による創造的破壊の被害者になることが多かったために民主的な政治制度やコメンダ契約という発明までも閉ざし始めてしまったのである。
結果としてヴェネチアの経済発展は終わり、華々しい過去の時代を観光資源として使用する博物館になってしまった。というものである
博物館というユーモアも面白くてかなり好きだし、これ以外の実例からいつの時代も既得権益を守り「創造的破壊への恐怖」を抱く権力者がいるのだと理解できた気がする。
これから世界を考えるにあたっても多くの人間はこの原則に従って動いていると考えると考えやすいかもしれない。この考え方はかなり使える道具なのではないかと思った。

まとめ

この一冊を通して示されていることは、国家が繫栄したり衰退する明らかな一つの論理ではなく、上記のような多くの論理を総合的に示すことでこれから作られるであろう歴史を予想するヒントを与えてくれているように感じる。
何度も言うが一つ一つの例がかなり細かくドラマチックに語られていて物語のような気持ちで読むこともできる一冊だと感じた、一見難解な内容に見えるが論理の部分は流し読みでエピソードを楽しむという読み方をしてもいいのではないかと思った。
ぜひ読んでほしい!

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