【読書会】『異邦人』は深すぎる名作!
6月23日(日)。前回と同じ仙台駅から徒歩7分の「BACARO風見鶏」にて開催。
雨にもかかわらず、5名の参加者が来てくれました。
おひとりは初参加!県外から2回目の参加をしてくれた方も!
まずはひとりずつ自己紹介!
この会に参加した経緯や好きな作家、また最近のできごとについてもご報告。
この読書会のメンバーの一人が出店した「文学フリマ@盛岡」についての話題がやはりメイン!
さらに6月22日・23日開催の「SENDAI SUMMER ZINE FEST」に行った話で盛り上がりました。
課題本はカミュの『異邦人』!
今回の課題本は、アルベール・カミュの小説デビュー作『異邦人』。4月の『老人の海』に続き、翻訳作品としては2作目です。
すべて新潮文庫だけど、新旧で違う表紙が見られるのが楽しい。
いざ、感想タイム!
ひとりずつ順に、本を読んで感じたことを話します。『異邦人』について書かれた論文や解説本に載っている考察なども紹介され、「おぉー!」と感嘆の声が上がりました。
さまざまな角度から情報共有してくれるおかげで、作品の理解がグッと深まります。
まず、主人公ムルソーの印象について。
不条理だというけどむしろ彼の言動に共感するという声や、「頭おかしい!」「変な人だと思った」と意見が分かれたのが、おもしろかったです。
感想コメント(一部)を一挙にご紹介!
「前半と後半で、主人公ムルソーの印象が変わった。一部で“ふらふら人間”かと思いきや、二部では、かたくなな人になる」
「一人称で語られているのに、感情を見せないのがいい」
「作中の『タバコ』が印象的。口寂しいから吸うもの?とすれば、乳離れができていない=母を思っていたんじゃないか?」
「食べ物について頻繁に書かれていることで、(ムルソーの)生きる意志を感じる」
「キューブラー・ロスによると、人が『死』を受容する過程には5段階ある。ムルソーもこのステップを踏んでいる。死への揺れ動く気持ちの描写が濃密だった」
「人が何をもって死を実感するかというと、葬式だ。棺を開けない、泣かないというのは、母の死を受け入れできなかったのだろう」
「ムルソーは、体の欲望に素直で、自分に正直な人。逆に人間らしいと感じた」
「こう振る舞うべき、という『あるべき姿』から外れていたから『L'Étranger』だったのか?」
「ムルソーの周囲の人たちは、異端児扱いしていない。『あるべき像』の通りに振る舞っているわけではないだけ。死刑はかわいそう」
「アルジェリア生まれのフランス人であるカミュ自身も、どちらにも属せず、よそ者扱いされていた」
「カミュから見ても、ムルソーは変な人として書いている。一部はカミュに近いけど、二部で分離していく」
「ムルソーは観察眼が異常なほどに優れていて、そのことに自信がある。司祭に『あなたの心は盲ている』と言われてキレちゃったところがおもしろい」
「ムルソーもキリストも、30歳で処刑。暗喩されているのか?」
「ムルソーは自分の感情を、自然を通して表現している」
「ムルソーは肉体的な要求を第一に考えている」
「ムルソーが撃ったピストルの『4発』については、棺の四隅をネジで止める意味があったのでは」
「(ムルソーは)この人頭おかしい、と思っていたけど、最後の3行で、やっぱり孤独だったんだと感じた」
「ムルソーにはムルソーなりの思いがある。太陽みたいにまっすぐな熱い心を持った人だと感じた」
「異端児を探すという、ジョージ・オーウェルの『1984』に似たものを感じた」
などなど……。まだまだあるけど、とても書ききれない!
今回欠席のメンバーのひとりも、読了後に感想を送ってくれました。いつもながら鋭い読解コメントに、参加者全員、大きく頷いていました。
いやー!掘れば掘るほど、どんどん深まっていくし、もっともっと考えたくなる!
無限に深掘りできちゃう作品というのが、世界中で読み継がれる名作と呼ばれる所以なのでしょうか。
さて、最後は「オススメ本」紹介タイム!
今回は、自費出版本が多めの印象!日記本をたくさん持ってきてくれました!
また、カミュと同時代の作家ラディゲの関連本や、
文庫化されたばかりの人気作家の小説などなど。『樹木たちの知られざる生活』は、別のメンバーが以前も紹介していました。
どれもこれも読みたくなります!
みんな熱心な表情で、ページをめくっていました。
今回もまた濃くて深い、あっという間の3時間でした!
次回は7月28日(日)!
来月の課題本は、武者小路実篤『友情』です!
どんな読書会になるのか、今から楽しみです。
初めての方もお気軽にご参加ください!
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