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湿布の忘れ物

3日前、94歳の母を病院に連れて行きました。整形外科です。膝が痛むので湿布を処方してもらったのですが、家に着くと、見あたりません。
「ママ、湿布はどうしたの!?」
「・・・」
「病院で渡したでしょう?」
「え〜、あら〜、無〜い?」
「どこに忘れてきたのよ! ちゃんと持ってないと駄目じゃない! 自分の薬でしょ!!」
私の頭にはツノが生えました。
あー、失敗した、やっぱり私が持っていればよかった、と後悔。
母親は、まったく動じていません。
「いいよ、いいよ、湿布なんか。そのうち見つかって連絡がくるから」
何を言ってるのよ! と私は腹が立ってきました。たとえ湿布でもお金を払って、薬局で処方してもらったもの。雨だからタクシー使って、往復7000円もかけて病院行って、検査したり色々やって、ほとんど耳の聞こえない母の代わりに対応して、私は疲れてるのに。
 すぐに病院とタクシー会社に問い合わせてみましたが、届出はないとのこと。
「きっと取られちゃったんだ」
「薬だったら他人のは飲めないけど、湿布なら誰でも使えるものね」
そう思って、諦めました。大きなため息をついて・・・

 3日後、電話がきました。薬局からです。タクシー会社から湿布の忘れ物があったと、薬局に連絡が来たとのこと。湿布と一緒に処方明細も入っていたので、タクシー会社→薬局→私の順番で連絡がきました。その後タクシー会社に電話をして、ゆうパックで送っていただくことになりました。
 タクシー会社の方、薬局の方、皆様お手数をおかけして申し訳ありませんでした。ご親切にありがとうございます!🙇🙇🙇 

 母の言う通りになりました。取られてなかったんだ・・・私はほんわか嬉しくなりました。日頃の行いかな、なんて・・・
 湿布が届いたら、母はなんて言うでしょうか。きっと得意気な顔をして、こう言うと思います。
「ほらね。ママの言う通りになったじゃない。」
このせりふ、もう何十回も聞かされています。94歳、さすがママ!





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