film, C'mon C'mon(2021)

『C’mon C’mon』(2021)
 
これはなんだかしみじみしっくりよかった。
全編白黒。子どものインタビューは即興。
子どもたちは大人が思うよりもずっとかしこく生きているんだなあ。
 
まあまず予告がとてもいいなと思ってさ。
絵本の朗読の音声流しているんだけど、そこで流れる映像たちがね。
 
寓話であるように見せたくて白黒で撮ったって監督インタビューに書いてあったけど、
あれはさ、やっぱり、視覚情報に制限かけられると音を聴くよね。
しかも伯父のジョニーはラジオジャーナリストでいつも音を録って生きてる。
耳で生活しているひとを映像で描くなら白黒だなあそれはなあ
だから彼の日記はおのずと自分の声を録ったものになる。
私は手紙のやり取りが好きだけど、それはメールとかよりも相手からの手書きの文字で、相手が私にかけてくれた温度みたいなのを感じるからで、
それでいうと、声の日記って、声音が直で残っていくんだねえ
それはなんか、なんかいいなあ
自分の声が好きになりすぎたら試みたい。
 
ラジオで流すため、全米回って子どもたちにインタビューしてる様が、
ほんとうにその地その地の子どもたちに生でインタビューしているものを使っているらしくて、
それがたまらなくいいんだよね。
大人は、子どもたちが自分より弱きものだと勝手に勘違いしてるけど、
彼らは彼らの世界で、たくましく生きているわけで。
ああいう語りだったりとか、語れないなかの瞳だとかに、私はぐっときてしまうだなあ。
言わされたことばでなくて、語られてしまったことばっていうのが、私はなんとも好きなんだな。
 
 
 
こだわりつよめのふしぎboy甥っこジェシーに振り回されてばかりの大の大人が、
気丈にふるまって大丈夫を装う子どもに「戸惑っていいんだよ。」って声かけてまず先に自分が、そしていっしょに森で叫ぶとき。ずっとずっとちびっこに振り回されてぜえんぜんかっこいいとこなしの伯父さんジョニーが、ここにきてとんでもなくかっこいいんだ。
 
つよいむすびつきが生まれていたはずなのに、共同生活からあっさり去るジェシーの背中はかわいらしいし。
そこに録音で残された “C’mon C’mon…C’mon C’mon……”
だよ。
 

 
白黒の色見?っていうのかなあ
なめらかプリンな感じで永遠と見ていられる

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