小さな男
突然の訪問に
彼は驚きを隠せない
見窄らしい格好の小さな男
彼はこの男を知る
だからこそ何故今更訪ねてきたのか
見当が付かない
「綾瀬さん、今一度貴方に謝りたくて…」
謝りたい?どういうことだ?
もう全ては済んだ話
今更何を謝ることがあるというのだ
「新庄さん…でしたね」
「もう全ては済んだことです」
「こちらとしてもこれ以上あなたと関わる気はありません」
彼は伏し目がちに辿々しく言葉を紡ぐ
「綾瀬さんの言い分も分かります」
「ですが私には妻も子供もいます」
「このままでは生きていくことができません…」
終わっていないのか
警察を呼ぼうか
「申し訳ないが自分に言われても困ります」
「私が決めたことではないので」
彼は顔を上げじっとこちらを見つめてくる
その目にまるで何もかもが映し出せるかのように
「私は何も悪くありません」
「それなのに…どうしてあなたは」
「あなたたちは」
つづく
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