見出し画像

ゲーム三昧 episode:15

街を出て王都を目指してから六日目
路に沿って流れていた川は
次第にその川幅を広げ
今や浩々たる大河となった
空は青々と好く広がり
時折見かける飛ぶ鳥と共に
何やら潮の香りが漂い始める

風は陽光と共に心地よく
海から吹く風であろう
隣りを行く荷馬車の幌をはためかせる

"勇者様、もうすぐ着きますか"

「あゝ、もうすぐ着く」

街に着いたらまずはゆっくりと休もう
そのためのへそくりは隠してある

「.….」
「アーシャ」

"何でしょう?"

「王都はこの国で唯一海へと繋がる場所」
「俺はこの国を離れ海を渡ろうと思う」
「一緒に来るか」

"….."

"勇者様…海に出てどこへ行くお積もりですか"

「分からない」
「行かなければいけない場所」
「それを探しに行く」

"..…"

"分かりました、行きます"
"私には戻る場所はありません"
"どこまでも付いていきます"

「そうか」
「分かった」

一羽の鳥が風と共に宙を漂い
大きな川の向こう側へと飛んでいく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?