見出し画像

ゲーム三昧 episode:11

成果はウサギ一匹
どうも今日は巡り合わせが悪い

帰ろう
アーシャもそろそろ起きてくる頃だろう

森の空気はまだ朝の匂いを纏いながら
自ずと太陽の温もりに身を任せる

この森を抜ければ新たな街に着く
そこでまた装備を整え先へと進もう

風に揺られた木の枝から
葉が舞いゆっくりと地に落ちる

ふいに空気が変わる
心が殴られたよう突如としてざわつく

"たすけて"

そう遠くには来ていないはず
咄嗟に剣を抜き真っ直ぐに駆ける

前方の木々が荒々しく揺れ
葉が煙るように舞う

視界が開けアーシャの姿を目に捉える

魔物
大きな角と毛むくじゃらな胴体
四匹
アーシャを半円形に囲んでいる

魔物はまだこちらに気付いていない

アーシャの攻撃を受けたのであろう
手負いの魔物を剣で突き刺す

仕留めた

その一頭の魔物は力尽きて地にひれ伏す

すぐさま剣に付いた血を払い
魔物の群と対峙する

一頭が依然としてアーシャに向かい
力を溜めている

「アーシャ!正面に立つな!」

突進する魔物
アーシャは横に飛び辛うじて身をかわす

アーシャの元により魔物の群から
アーシャを守る

「いけるか」

"いけます"

「こいつには睡眠が効く」

アーシャは魔法の杖を胸の前に抱え
詠唱に入る

魔物は突如として現れた
闖入者に戸惑いこちらの様子を窺っている

"天より使われし夜の聖霊よ"

"彼らを深き夢の永えへと誘い給え"

辺りの景色が揺らぐように色を変える

魔物たちの様子が変わる
目が虚ろにその場に崩れるように倒れ込む

手抜かりないよう一匹ずつ急所に止めを刺す

魔物を倒した

戦いの興奮も覚めやらないまま
アーシャはその場でへたり込む

"勇者様、死ぬかと思いました…"

「すまない」

"でも、助けに来てくれると信じてました"

「次からは気を付ける」

アーシャはおどけるように笑顔を見せる

もう、アーシャを決して一人きりにはしない


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?