見出し画像

ゲーム三昧 episode:17

晴天広がる空
心地よい風が頬を撫でる

"勇者様、どこへ行くのですか"

「この街には冒険者ギルドがあるらしい」
「そこへ行く」

"冒険者ギルド?…何ですかそれは"

「要は冒険者の仕事斡旋所だ」
「金を稼がないと宿にも泊まれん」

"たしかに"

「まあ今までは刈り取った毛皮とか」
「宿屋に売っていたがそういうのも」
「全部扱っている」

"なんと、それは便利ですね"

「うむ」

人通りはさすが王都
賑わいは通りに満ちている

防具を売る行商
ここいらで獲れたのであろう
野菜や肉、魚を売る売り子
賑やかに活気よく勢をなす

この路を左に曲がりその先の建物
あれか

風にたなびく赤色の旗
冒険者ギルド

入口の押戸を開け
中へ入る

少し薄暗い部屋には
いくつかのテーブルと椅子があり
冒険者と思しき幾人かがそこで
テーブルを囲み屯っている

"旦那、何か用かい?"

カウンターに肘を置き
受付らしい男が不躾に語り掛ける

「仕事を探している」

そういうと男は
壁の掲示板を顎で示す

そこには仕事の依頼が書かれた紙片が
鋲で掲示板一面に貼られている

ふと手に温もりを感じる
小さな手

その手を軽く握る

鋲で貼られた紙片を一つ剥がし
受付に渡す

"こいつは…"

男は口の端を歪め値踏むよう見上げてくる

"期限は十日だ、精々頑張んな"

酒の匂いが籠ったギルドの戸を開け
外へと出る


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?